昔のゲームを移植する場合、オリジナルの再現に留めることもあれば時代に合わせたアレンジを施すこともあり、 時間と予算が許せば両方搭載するケースも少なくありません。パックマンも後者の一つです。
え、てことはゲームボーイのパックマンはただの移植じゃないってこと?
んー…そんなの知らないから同じだろうと思って遊んでなかったわ(^^;)
一体どんな風にアレンジがされているのかしら?
それを紹介する前に、パックマンのゲーム内容について少しおさらいしておこう。
プレイヤーはパックマンを操作し、4体のモンスターの追跡を縫って迷路に並ぶドット(エサ)を食べていくんだ。 全ての餌を食べつくすとステージクリアとなり、次のステージに進むことができる。
全てのドットを食べ尽くせ。
あれ、画面がスクロールするようになってない?
ええ、本来パックマンは固定画面のゲームですが、ゲームボーイでは解像度の都合からドットバイドットでは全てを表示できないんです。 そこで表示方法については2つのタイプが用意されることになりました。
これはスクロールタイプと言って、パックマンの動きに合わせて画面がスクロールするのよ。 画面外でモンスターがどうしているか見えないから緊張感が増したわね。
タイトル画面の左右で表示モードを切り替えられる。
そしてこちらは1/2タイプと呼ばれるものだ。 グラフィックはやや簡素になるが、フィールド全体を1画面で見られるようになっている。 小さいせいか電子LSIゲームのような雰囲気が出てるな。
オリジナルとはどうしても異なってしまいますが、どっちも変わった感覚で遊べてこれはこれで面白いですよ(^^)
ところでさ、ちょっと気になったところがあるんだけどいいかしら?
ほえ、なんでしょう?
モンスターを見てて思ったんだけど、もしかして色がさ…。
モンスターの紹介テーブルならちゃんと用意してあげたわよ。ほら。
やっぱり見た目が全部いっしょ!Σ(゜Д゜;)
そうなんだよな…色の濃度も模様も形さえも変わることはなく、全て寸分違わず同じ見た目をしている。 もう少し何かやりようはなかったのかと思うのだが…(´Д`;)
うーん、モンスターの色ってこのゲームの大事な構成要素だと思うんだけど…これじゃちょっと遊びにくい感じがするわね(^^;)
でも性格付けのアルゴリズムは変わっていないので、動きを観察すればどれが誰なのかわかるようになってくるんですよ。 咄嗟に見分けるのは難しいですけどね(^^;)
ちょっと理不尽な気もするけど、これも本作ならではの味かしらね。
味と言うなら2Pモードは差し置けない。 なんたってゲームボーイ版にはパックマン史上初の対戦モードが搭載されているからな。
へえー、そうなのね。 どうやって対戦するのかしら?同じ画面でドットを多く食べたほうが勝ちとか?
それも面白いかもしれないわね。でも残念だけど違うわ。 ゲームボーイは設計上データの伝送量が少なくて、同じ画面を共有するほどのやりとりは難しいのよ。
時代を経ると工夫で乗り越えるソフトも出てくるが、パックマンに関しては別の方法を採っている。
では実際に少しプレイしてみましょう(^^)
1P側の画面です。
あんまり変わんない、というかほぼ同じね。 違いは相手の得点が見れるくらい?
最初のうちはな。ではパワーエサを取ってイジケモンスターに噛み付いてみるといい。
1P側でイジケモンスターを噛むと、2P側に異変が…。
あっ!イジケモンスターが自分じゃなくて相手側の巣に帰ったわ!Σ(゜Д゜)
そうそう、それが対戦型パックマンの特徴なの。 イジケモンスターを送って妨害しあうことができるのよ。
モンスターの圧力から逃れるためについパワーエサに手が伸びそうになるが、パワーエサは有限だからむやみに使うことはできない。 制限をどう生かすかというのが悩みどころであり面白いところだ。
いつ相手から送られてくるかもわからないし、使いどころが大事だわね。 勝利条件はどうなってるの?
どちらかのプレイヤーが4ラウンドクリアした時点で得点が高い方が勝利です。 また、途中でパックマンの残りがなくなりゲームオーバーになった場合はリタイアとして負けになるルールです。
イジケモンスターを連続で食べると高得点になるから、あえて溜まるまで待ってから一掃するなんて戦略もあるわよ。 相手の画面が見えないだけに駆け引きが重要になってくるわね。
シンプルなシステムに一発逆転の要素が加わって、対戦が白熱しそうね(^^)
惜しむらくは、通信対戦専用のモードであるために体験したプレイヤーが少ないことだろう。 1996年の『ポケットモンスター』登場以前の通信ケーブル普及率はいまひとつだったからな。
かねてから残念だと思っていた折である2011年7月7日、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで本作が配信されることになったのですが…。
あら、それじゃあ3DSで対戦できるようなったのね?
それが、バーチャルコンソール版は通信対戦機能が削除されていたわ。 バーチャルコンソールはソフトによって対戦できるものと出来ないものが混在しているのよね。
ええ…この通信対戦がゲームボーイ版の強みでしょ? 入れておいた方が良かったと思うんだけど(´Д`;)
ファンの間からそうした期待はあったんだが、残念ながら応えられなかったということだ。 1人用だけなら翌年により移植度の高いファミコン版が配信開始され、存在感が薄くなったゲームボーイ版は2017年4月28日をもってひっそりと配信が終了してしまう。
パックマンシリーズは移植・復刻の機会が比較的多いのですが、本ゲームボーイ版の完全移植については2021年現在未だ果たされていません。 いつかこの面白さが広まることを願いたいと思います。
初稿:2021年2月12日
最終更新:----年--月--日