1978年にインベーダーブームが起こって、タイトーの『スペースインベーダー』とそのコピーゲームでアーケード市場が席巻されたことは知られているわね。
翌年になるとブームは沈静しますが、拡大した市場の後釜を狙うポスト・インベーダーと呼ばれるヒット作が幾つか出現するようになります。 ナムコの『ギャラクシアン』、ユニバーサルの『ギャラクシーウォーズ』、電気音響の『平安京エイリアン』などですね。
その中から今回取り上げるのは、セガの『ヘッド−オン』だ。 世界初のドットイートゲームと言えば衆目が集まるか?
ドットイートゲームの代表作と言えば『パックマン』だけど…それ以前にもドットイートがあったのね。
『ヘッド−オン』オリジナルの基板は未所持ゆえ紹介できませんので、ゲームボーイへの移植版を取り上げることにしますがご了承くださいね。
え、セガのゲームなのに任天堂のゲームボーイで出てたの?(^^;)
セガのゲームはライセンスして他社ハードで発売していることも多いぞ。 件のゲームボーイ版ヘッド−オンはテクモにより移植が行われた。
テクモは色んなハードで活躍してるけど、セガ・マークV時代の唯一のサードパーティだったこともあってセガとの繋がりが強かったのよね。 本作もその関わりの中で開発されたものだと思うわ。
サーキットを駆ける2台のマシン
こちらが本作のプレイ画面です。 マイマシンを操作して、サーキット場に敷き詰められたチェックドットを残らず獲得することが目的ですね。
背中合わせで発進するジャマ―マシンは自機狙いの特攻機よ。 決して近づいちゃいけないわ。
狙いすました特攻劇。
怖っ!Σ(゜Д゜;)
絶対にこっちを殺そうとする鉄の意志を感じるわ…。
ジャマ―マシンにぶつからずにドットを全部取らなきゃいけないのね。
残りのチェックドットに気が取られるとジャマ―マシンへの対処が疎かになりがちだ。 どう動かせば良いか、次はマイマシンの操作について見てみよう。
マイマシンは反時計回りに走り続け、止まったりUターンすることはできない。 プレイヤーにできるのは低速/高速の切り替えとレーンの変更だけなんだ。
高速/低速の使い分けは大事なポイントよ。 マイマシンはジャマ―マシンと同じレーンを走らないようにしないといけないわ。 もし相手が同じレーンに流れてきたら、すぐに離れる必要があるわけ。
ジャマ―マシンは一定のアルゴリズムをもってマイマシンに近づこうとします。 レーン変更はレーンの切れ目でしか行えないので、速度を調整しながらレーンを移動のタイミングを見極めましょう。
このとき注意すべきはマイマシンのスピードだ。 低速の場合は2レーン隣まで移動できるが、高速の場合は1レーン隣にしか移動できないからな。
低速時と高速時の比較。
確かに、高速時のスピードじゃ2レーン分は曲がり切れそうにないわね(^^;)
クリアーしたら次のラウンドに進むわ。 ジャマ―マシンの数が増えたりスピードが上がったり、段々と難しくなっていくわよ。
ですがこちらができることは変わりません。 シンプルにまとめられた操作を用い、どのようにドットを取りどのようにジャマ―マシンを避けるのか判断するのが攻略の楽しさですね(^^)
ここまでの話はオリジナルのヘッド-オンを基にしたノーマルモードについてだ。 しかし1978年のゲームを1991年になってそのまま移植するのでは物足りないと思ったのだろう、本作には新モードとしてスペシャルモードが搭載されている。
スペシャルモードは新たなギミックがたくさん追加されています(^^) まずは踏むと滑る『オイル』から。
オイルでスリップ。
高速で踏むとスピン回数がより多くなるわ。 なるべく踏みたくはないけど、やむなく踏む場合も焦らず低速でね。
ランダムで出現する壁。
こいつは進路変更を阻む『ポイント』だ。 設置場所がランダムで入れ替わるからタイミングに気を付けよう。
進路が限定されて衝突の危険性が上がるけど、上手くやればジャマ―マシンの回避にも使えそうね。
移動する床。
『スクロールロード』では動いている方向に少し流されるわ。 具体的に言うと、流れている方向に対して1レーン分強制的に移動させられるのね。
例えば、低速の場合は流されている方向に3レーン隣まで移動できますが、逆側には1レーンしか移動できなくなります。
これらのコースギミックはマイマシンにもジャマ―マシンにも同様に作用する。 それとは別に、スペシャルモードにはマイマシンだけが使えるアイテムというものがあるんだ。
アイテムはコース上にランダムに現れて、獲得したら任意のタイミングで使うことができるわ。
ずいぶん種類が豊富ね。 どれも有利に使えそうなものばかりだわ。
パワーやボムの導入はかなり画期的ですね。 というのも本作のオリジナルのシステムでは仕様上ジャマ―マシンを倒すことができず、逃げ回るしかできなかったんです。 それが閉塞感を生んでいた面もあるんですが、解消してくれました(^^)
反撃手段を増やして対戦要素を高めていることがスペシャルモードの特徴だな。 このモードでは通信による2P対戦もできるようになっている。盛り上がることは受けあいだ。
改めて、本作の面白さはマイマシンとジャマーマシンによるカーチェイスの駆け引きにある。 どうすればジャマ―マシンをぶつからないように誘導できるか、常に考えて実践していくギリギリの攻防が夢中にさせるんだ。
失敗した後も、どうすればよかったのかずっと考えちゃうんですよ(^^;) シンプルゆえに熱中度は高いですね。
ドットを全部取るっていうのもわかりやすいし、ルールも操作も明快なのはいいことね!
車をモチーフにしたのも一目で何をすればいいかわかりやすくて大した説明が要らないから、という意図だったそうよ。
そうそう、『HEAD ON』という言葉には頭を前にした真っ向からの正面衝突という意味があるの。
ゲームオーバーの瞬間を切り取ったんですね。 なかなか攻めたネーミングです。
ぶつからないようにするゲームなのにね(^^;) だけどインパクトは抜群だわ。
本作は難しいゲームだ。 ヘッドオンの瞬間にプレイヤーは何度も遭遇するだろう。 しかしその瞬間は、最も気分が盛り上がる瞬間だとも言える。 本作を象徴する上手いネーミングなんじゃないかな。
初稿:2021年1月15日
最終更新:----年--月--日