1997年に始まったスーパーファミコンのゲームソフト書き換えサービス『ニンテンドウパワー』だけど、2000年にはゲームボーイでの展開も始まるわ。
当初から計画はあり、ロッピーにもゲームボーイ用のスロットが付いていた。 しかしスーパーファミコンから2年半後と大きく遅れ、2000年3月1日のスタートとなったんだ。
2年半?さすがにちょっと待たせすぎなんじゃない(´Д`;)
ただでさえ当初のアナウンスから長くかかったうえ、サービス開始予定日の直前にGB用メモリカートリッジを製造していた台湾で発生した921大地震の影響でさらに遅れることになったんです(^^;)
だけど悪いことだけじゃないわ。 準備期間が長くなったぶん、開始初日からずらり75タイトルを揃えることができたの。 この時点で任天堂タイトルの大半を網羅できていたことは特筆に値するわね。
新たなサービスの開始にあたっては衆目を集めるための目玉が必要だ。 そこで任天堂が打った手は、その中にひとつ新作ソフトを仕込むことだった。 それが今回取り上げる『スーパーマリオブラザーズデラックス』だ。
マリオの新作なんて、がぜん注目しちゃうわね。 そこから興味を持ってくれる人もいるだろうし。
新作と言っているけど、これを新作と言いきるかどうかは悩ましいところもあるわ。 基本的にはファミコンの初代『スーパーマリオブラザーズ』の移植で、そこに新たな要素を色々と付加しているのよ。 どう違うかは追い追い見てもらうわね。
それまでに世界で最も売れていたゲームが初めて携帯機に移植されたこと、また1995年の『ヨッシーアイランド』(スーパーファミコン)以来久しぶりの2Dアクションのマリオであることから密かに期待されていたゲームだったな。
密かに…って、ちょっと気になる言い方ね。 マリオのゲームならそれだけで関心を集めるんじゃないの。
実は、このサービス開始日のすぐ3日後にプレイステーション2の発売日が迫ってたのよ。 その熱狂の陰に隠れたことは否めないわ。
えっ、それタイミングとしては最悪なんじゃない(´Д`;) 歴代ゲームハードで史上最も売れたプレステ2でしょ?
だから、本当に密かでしたね(^^;) でも本作のことを知る熱心なファンには期待されていたんです。 私も書き換え開始日には朝から自転車で40kmを駆けて最寄りのローソンまで行ってきましたよ!
40km!?…そっか、当時はまだ地方にローソンが少なかったもんね(^^;)
待っていた発売日だったので長い距離も苦ではなかったですね。 走ってる間ずっとワクワクしてましたよ(^^)
ファミコン版の完全移植…とはいかなかった。
繰り返すけど、本作はファミコンの初代スーマリをベースに多数のゲームモードを収録しているのが売りよ。 まずはオリジナルからの再現を謳った『ORIGINAL1985』モードから見てみましょう。
ぱっと見た感じ、雰囲気はかなり近いですね。
ゲームボーイでここまでできるのは素直に驚嘆するわね。 そういえばゲームボーイカラーの同時発色数はファミコンより多いのよ。 あんまり知られてないみたいだけど。
色数では確かに優ってるんだけどな…。 だからといってゲームボーイでファミコンの完全な再現ができるわけではない。 それはファミコン版の画面と並べてみるとよくわかる。
左:GBC版。右:FC版。
ああ、ゲームボーイは画面が狭いもんね…(´Д`;)
キャラクターのサイズは寸分違わず再現されている…。 だが、ゲームボーイはファミコンに比べ各段に解像度が低いんだ。 だから同じ大きさのキャラクターを出そうとすると必然的に画面が狭くなってしまうんだな。
このことがゲームの難易度にも影響を与えているわ。 見て、下の2枚は全く同じ場面で撮影されたものなんだけど。
左:GBC版。右:FC版。
左の画面じゃ地面が見えなくて、次に一体どこにジャンプしたらいいのか全くわかんないわ(´Д`;)
ファミコン版は横にしかスクロールしないんだが、本作では上下が1画面に収まらないため方向キーを押しっぱなしにすることで表示される範囲がスライドする仕様となっている。
なのでこの場合は下キーを入れて地面を表示させるのですが、オリジナルでは必要のない操作が加わることでややテンポが悪くなってしまいました(^^;)
ちょっと無理がある感じの移植になっちゃったのね。
そこは残念なところだけど、携帯機でスーマリを遊べるのはやっぱり大きいわ。 セーブ機能が追加されたりループ面では正しいルートを通ったかどうか判定する音が鳴るようになっていたり、改良点はプラスに働いてるわよ。
ステージ内に隠された赤コインやヨッシーのたまごを探そう。
『CHALLENGE』はコースに内に隠されたヨッシーのたまごと5枚の赤コインを探し出したり、コースごとに設定されたチャレンジスコアを目指すモードです。
マリオの面白さのひとつである探索要素をさらに突き詰めたモードで、タイムアタックとはまた違った楽しみがあるな。
コース自体は『ORIGINAL1985』と同じものよ。 使いまわしで容量を節約しつつ新しい遊び方を提供しようというわけね。
何百回と遊び慣れたコースだけど、ちょっと手を加えただけで全く違うプレイ感覚になるわね。 目からウロコだわ〜(^^)
左:1Pのマリオの画面。 右:2Pのルイージの画面。
『VS GAME』は通信ケーブルを使った対戦型のモードだ。 2人で同じコースを妨害しあいながら進んで行き、先にゴールに辿り着いた方が勝ちとなるいわゆるレースゲームだ。
このモードは点線ブロックの使い方がカギです。 点線ブロックは実体化している時は通り抜けられませんが、ただの点線になっている時は通り抜けることができる特殊なブロックです。
一方の画面で実体化している時は相手の画面では点線になっているのよ。 お互いで見えてる状態が違うのね。
このブロックの状態を切り替えることは自分が進む道を開くことでもあり、相手を足止めすることでもあるってことね。面白いじゃない。
これがな、声を掛け合いながらやると白熱するんだよ。対戦型ゲームとしてのマリオの可能性をまた一つ広げたゲームだな。
ひとりでもテレサとレース。
まだまだ続きますよ、お次はテレサレース。 こちらは先述の『VS GAME』モードをテレサ相手に一人で遊ぶことができるモードです。
なんでルイージじゃなくてテレサなのかしらね?
このモードはクリア時のベストタイムが記録されるんだが、テレサは必ずそれと同じタイムでゴールするんだ。 いわゆるレースゲームで言うところのゴーストだな。そしてゴーストと言えばテレサだろう。
ダ、ダジャレ…!?Σ(゜д゜;)
テレサは幽霊だから地形を通過できるというのも理由でしょうね。 わりと理に適った起用よ。
難易度は最上級。
"FOR SUPER PLAYERS"…年季の入ったマリオファンなら馴染みのある言葉ね。
高難易度で鳴らした『スーパーマリオブラザーズ2』のジャケットカバーに記載されていた文章だな。
ディスクシステムの『スーパーマリオブラザーズ2』。1作目に慣れたプレイヤーに向けて高難度に作られた。
そう、このモードはスーマリ2の移植ね。 とは言えオリジナルとの差異も多いからそこは心得ておいてほしいわ。
オリジナルにおいてマリオとルイージではジャンプ力やスリップ力が異なっていましたが、こちらでは全く同じ性能です。 開始時にどちらを使うか選べるようになっているのは雰囲気を残すためでしょう。
また厄介なギミックだった追い風もなく、さらに隠れワールドのワールド9とワールドA〜Dがないなど、削られた要素が多いんだ。
うーん、残念だけどやっぱり容量の都合なのかしら(^^;)
コースは再現されてるけどプレイ感覚はどうしても変わってくるわね。 仕様の違いが難易度に直結する部分はちゃんとバランスが再調整がされているから、こういうものだと思って楽しむといいわ。
マリオキャラクター達が運勢を教えてくれる。
おまけモードも充実しています。 こちらはその日の運勢を占ってくれるおみくじですね。 ここで大吉を引いておくと次に選択したゲームデータの残機が5UPする隠しギミックもあります。
アルバムの画像一例。入手条件が分かるかな?
こっちはアルバムね。 ゲーム中にある条件を満たすと画像が増えていくのよ。
おみくじやアルバム等のおまけモードの画像はポケットプリンタを使えばシールとして印刷することもできる。 その種類はなんと100以上だ!
そんなにあったら集めるの楽しそうね〜。
腕が鳴るわ!(^^)
30世紀まで使うことができるカレンダー。
カレンダー機能もあり、なんと西暦3000年までのデータを格納。 大事な記念日を登録したり予定を書きこむこともできちゃいます。 かなりの充実度ですね。
そんなに先の予定なんかねーわよ(´Д`;)
とまあDXの名に恥じない豪華さを備えているこのソフトだが、ニンテンドウパワーのサービスが終了した現在では入手困難となってしまった。
なお海外ではパッケージ販売もされていたわ。 うちでも扱うことはあるけれど、希少品だからどうしても値段が張ってしまうわね。
北米版パッケージ。対戦モードを意識したかのような構図。
海外版の中古なんて、日本国内じゃそうそう見かけるもんじゃないわよ?(´Д`;)
その後も一度だけ入手できるチャンスがありました。 去る2013年12月18日から2014年1月20日までの期間限定で行われていた『ニンテンドーネットワークID 登録 感謝キャンペーン』です。
ニンテンドー3DSのニンテンドーネットワークIDを取得すると、本作を3DSバーチャルコンソールの形で無料ダウンロードできるというキャンペーンよ。
だから当時の3DSユーザーには入手する機会があったんだよな。 とは言っても現在新規にダウンロードできないことに変わりはない。 後日ニンテンドーeショップで有料配信すると言われていたが、2021年になってもどういうわけか音沙汰がないままだ。
こんなにサービス旺盛で、特に対戦モードは今でも通用する面白さなのに、このまま埋もれさせちゃうのはもったいないわね。 また改めて配信の機会を作ってくれないものかしら?
初稿:2021年5月22日
最終更新:----年--月--日