前回取り上げた『ヨッシーのたまご』だが、実はファミコン版だけではなくゲームボーイ版も存在している。
両機種対応での同時発売でした。 任天堂のパズルゲームにはこの形式のマルチは多いですね。
こういうパズルゲームは手軽な携帯機の方が向いていると思うのよ。 私もゲームボーイの方をよくやっていたわ。
ルールは前回で紹介済みですので、今回は趣向を変えてファミコン版との違いについて見ていくことにしましょう。
白黒画面でも視認性に問題はない。
とは言え、見た目の印象はさほど変わらない。 キャライラストや音楽はできるだけ近づけているし、各種演出やボーナス画面もそのままだ。
もともと白黒で表現できるキャラばっかりだしね。 すぐにわかる違いって言えば、解像度の都合で画面がちょっと狭いことかしら?
ゲームボーイ版はプレイフィールドを目一杯広げているが、ファミコン版より高さが1段分少ない。
画面が狭いことで積める段数がファミコン版では8段なのに対しゲームボーイ版は7段と、1段低くなっています。 その影響で各種ヨッシーの生まれる条件である卵に挟むキャラの数が少し変更されていますね。
段数が下がったことで空間の余裕が減り、少し難しくなったかもな。
視認性が良いからあまり気にならないと思うけどね。
そうそう、もう一つ大きな違いがありました。 ファミコン版と同じように対戦ができるのですが、ゲームボーイでは相手の画面が見えませんよね。
お互いにどっちが優勢なのか良くわからない。
一応、お互いのプレイフィールドにキャラがどれだけ積まれているか知れるようになっているが、状況はほぼ分からないに等しい。 ファミコンでは相手の状態を注視しつつどこで攻めてどう凌ぐかという駆け引きが重要だったが、その要素は失われてしまったんだ。
この情報を有効的に活用するのは難しい…。
つまり先手必勝、相手が何か仕掛けてくる前に打って出るゲームになったのよ!
インターフェイスの違いでこれだけプレイスタイルが変わってしまうのは面白いですね。 予兆もなくキャラが送り込まれることが多いのでちょっと理不尽な感じもしないではないですが、この不確定要素が実力差を埋めるファクターになっています。
両機種の違いはこんなとこか。 もともとゲームボーイの性能を念頭にファミコン版も開発されているから、さほど目立つような差異はないんだよな。 もっとも見た目や操作感の話であって、対戦の質は全然違うが…。
ヨッシーを含めて、マリオとルイージ以外のキャラクターはみんなゲームボーイ初登場だからちょっと新鮮だったわよ(^^)
差異ではありませんが、前回も触れなかった音楽についても話しておきましょうか。 1人用のゲームではプレイ中のBGMを3つのうちから選択できるようになっています。
好きなBGMを選曲しよう。
オーソドックスなキノコ、静かな雰囲気のフラワー、アップテンポなスターの3曲だ。 その時の気分次第で使い分けることができるぞ。
それと無音にすることもできちゃうわよ。 BGMがなくても効果音は鳴るから、これはこれで趣があるわよね。 何よりヨッシーの鳴き声がはっきり聞きたいならこれだわ。
対戦では専用の曲が流れます。 集中力を高めてくれる1人用の音楽とは違い、いかにもバトルという感じで盛り上げてくれますよ(^^)
本作はポケットモンスターで知られるゲームフリーク製で作曲者も同じだから、音源やメロディに共通するところがあるな。 聞き比べてみても面白いだろう。
そうそう、クレジットがないからしばらく知らなかったんだけどゲームフリークの製作なのよね。
ゲームフリークはクインティの成功で1989年に株式会社として組織され、翌1990年にポケットモンスターの原型である『カプセルモンスター』の企画に着手したという。 しかし膨大なスケールの作品であったことから開発は難航してしまう。
ポケットモンスターが発売されたのは1996年でしたから、結果的に6年近くかかったことになります。 その間の資金繰りやスタッフの能力向上のため、他社からの下請けを行うようになりました。 『ヨッシーのたまご』もそのひとつです。
ポケットモンスターもゲームボーイだし、このゲームの開発で良い経験を積めたのかしら。
『ヨッシーのたまご』は半年という短期間で開発されたが、ワールドワイドに198万本を売り上げるスマッシュヒットとなった。 本作による収入はゲームフリークを大いに助けたと言う。
北米版のタイトルは『YOSHI』。中身だけじゃなくタイトルまでシンプル。
本作がなければ今のゲームフリークはなく、ポケットモンスターもなかったかもしれません。 売上以上に大きな役割を持っていたソフトでした。
初稿:2020年11月29日
最終更新:----年--月--日