『ロードマン』は1974年から1999年にかけてブリヂストン社が販売していたスポーツ用自転車のエントリーモデルです。 ドロップハンドル車の入門的な位置付けとして広く普及しました。
それまで値段が高いイメージのあったスポーツ用自転車だが、無駄を省き低価格を実現したロードマンは少年達の憧れの存在となり、後のサイクリングブームの立役者となったんだ。
そのロードマンの名を冠するこのゲームは自転車レースが題材になっているわ。
現実に最も規模の大きい自転車レースは、毎年7月にフランス周辺で開催されるツール・ド・フランスだ。 1903年に初開催され、100年以上の歴史を持つ世界的な大会だ。
6〜8人ほどの集団を組み、約3週間を掛けて距離約3500km、高低差は2000m以上の起伏に富んだコースを走り抜く過酷なレースです。
自転車には乗らなくても、この大会は知ってるって人は多いでしょうね。
自転車人気の高まりを受け、ツール・ド・フランスを参考に日本でもロードレースの大会が開かれることとなった。 …という設定のもと開催されるのが本作のロードマンカップ'89である。
日本全国を走破せよ。
東京からスタートして北海道、本州、九州、四国と反時計回りに巡って東京に帰ってくる全18ステージ、総距離およそ4,000kmという長丁場です。
参加するのはアメリカ、フランス、イタリア、日本の4か国から各5人の計20人だ。
各キャラクターにはスピード、根性、スタミナ、テクニックのパラメータが割り振られています。 国によって得意分野が出ていますね(^^)
スピードは最高速、スタミナは体力、テクニックはカーブの曲がりやすさに影響するわ。 根性は…なんだったっけ?(^^;)
どうやら山岳に強くなるようだ。辛い傾斜を我慢して登るってことだろうな。 日本列島は山が多いから、そういったステージでは優位に立てるかもしれない。
今回はそんな日本のエース、『コーイチ』を選んでプレイしてみますね。
長い戦いの始まり。
ではスタートだ。 本作の画面は後方見下ろし型となっている。ファミコンのレースゲームにおいてはよく見るタイプだな。
だけど他のレースゲームとは一線を画す特徴があるわ。 なんたって操作しているのが自動車ではなく自転車なんだからね!
カーレースのゲームの場合、ボタンを押し続けると加速するのが一般的です。 これはボタンの押し込みとアクセルの踏み込みをシンクロさせているからなのですが、自転車にはアクセルはありませんよね。
そこで採用したのが、Aボタンの一押しがペダルの一漕ぎになるという操作形態だ。 加速するためは連打しないといけないわけだな。
本物の自転車に乗ったことがあればわかるでしょうけど、乗り始めはスピードがなくて不安定だから強めに漕ぐでしょ? 同じように最初は強めに連打して、スピードが乗ってきたらボタンを押す間隔を広げていくの。
サイクリングロードをスイスイ流す感覚が味わえて気持ちいいですよ(^^)
もちろんただ平地を流すばかりではありません。 登り坂では速く連打しないと失速しますし、逆に下り坂はほとんど漕がなくてもスピードを維持できます。
選手には体力の概念があり、残量を示すパワーメーターがゼロになるとゲームオーバーになってしまう。 速度を出そうと無暗に連打するのは禁物だ。
体力が尽き果て、無念のゲームオーバー。
ステージ開始前にそのステージのアップダウンや天候の情報が示されるわ。 これを参考にどこで温存してどこでアタックをかけるか、ゲームプランを立てるのよ。
距離と斜度を表したグラフ。
ステージをクリアすると順位やパワーメーターの残量に応じてポイントがもらえます。 このポイントで新しい自転車を買うことができるんです(^^)
どれも魅力的で目移りしてしまう。
当然だが、高い物ほど性能が良い。 良い自転車を手に入れることが優勝するための秘訣となるだろう。 山岳ステージに強いマウンテンバイクや平坦に強いスプリントバイクもあるぞ。
レース中に違う自転車に乗り変えることもできるから、早めに買っておきたいわね。
レースに勝つためには接触を避けることも重要だ。 敵車や障害物に衝突すると転倒して落車してしまい、大きなタイムロスになってしまう(´Д`;)
接触により落車してしまった…。
それどころか体力も減るし自転車も傷つくし、悪いこと尽くめよ。 敵車が近くにいるときは神経が尖るわね(^^;)
接触しないようにうまく幅寄せすると敵車だけをコース脇に激突させることもできちゃいます。 スポーツマンシップには反しますけどね(^^;)
敵車との接触は厳禁だが、同じチームの選手であれば接触しても転倒しない。 時には回復などのアイテムをくれることもあるぞ。持つべきものは仲間だな。
東北地方では美しい桜の中を走る。次の区間ではどんな景色が待っているのだろう。
レースの動向に気を取られがちですが、本作は風景も見どころのひとつです。 ステージごとに地域の特色が出ていて美しいんですよ(^^)
その都市っぽさがよく出ている。
各ステージを走破すると、ゴールの都市を表現した映像が出るわ。 旅の実感が湧いてちょっぴり感動しちゃうわね。
これもまたツーリングの醍醐味だな。 知らない場所を走るというのはそれだけで楽しいものだ。
自転車レースの面白さを凝縮した一作だ。 機材の選択、ペース配分、得意分野を活かした戦略的アプローチと、マネージメント勝負だと言われる自転車レースの要素をゲームに上手く落とし込んでいる。
景色を楽しむようなツーリングの楽しさもね。 当時はロードレースのゲームなんて他にないから比較対象がないけど、よく出来ていると思うわ。 このオリジナリティは貴重ね。
プレイ後は本物の自転車に乗りたくなりますね。 ゲームでは感じられない風を求めて、たまには自転車で遠くまで出掛けてみるのもいいんじゃないでしょうか(^^)
初稿:2020年12月19日
最終更新:----年--月--日