妙なタイトルが妙に記憶に残る、ディスクシステムの『きね子』だ。
あー、これねー。 タイトルで内容の想像がつかないゲームの筆頭だったわ(^^;) 意味を聞いたら納得はできたけどね。
人名っぽくありますが、それにしては珍妙な名前なのでなおさら興味が湧くというものでしょう。 しかしてその正体は、ちょっと意外なものでした。
大きな枠と小さな枠。
こちらがきね子のプレイ画面です。 上部に大きなキャンバスと、下部には小さな複数のピースが配置されていますね。 そしてこのピースはアニメーションしています。
これらのピース、元は一つの映像が分かたれたものだ。 キャンバスに嵌め込んで元通りに組み上げよう。
いわゆる動画のジグソーパズル、それがきね子の正体なのよ。
きね子とは『キネティック コネクション』(Kinetic Connection)の略なのでした。 もともとはソニーからMSX用ソフトとして発売されていたものですが、ディスクシステムに移植される際に名称が変更されたというわけですね。
ではこれがどんなものなのか、プレイを進めてみよう。 ピースをじっと見ていると、動きが大きいものと小さいものがあることがわかる。 大きいものに注目してみると、元がどんな映像だったのか断片的に見えてくるだろう。
動きが同期するピースを繋げよう。
ピースを動かしてくっつけてみて、ぴったり動きが同期すればその組み合わせは正解です。 正解の組み合わせが増えるとより深く全体像が見えてきますね。
一見、問題はないように見えるが…。
うまくできたかしら?
いや、完成したら自動的にクリアになるはずだ…。
アニメーションが噛み合っていなかった。
やっぱりグチャグチャじゃないか!(´Д`;)
あれー?(^^;)
瞬間的には合ってるように見えても一連のアニメーションで見ると不正解ということもあります。 目を皿のようにして取り組みましょう(^^)
上下左右の反転もあるから、ピースは少ないが難易度は高めだな。
動きが揃ったアニメーションで感動もひとしお。
今度こそ完成ね(^^)
本作にはこのようなムービング・パズルゲームが10ステージ収録されている。 せっかくなので全ての完成図を見てみよう。 なおステージによっては左右や上下が反対でも正解になるものもある。
ステージ1:シー ブリーズ
こちらは先程もプレイしたステージ1の『シー ブリーズ』です。 穏やかな湘南の海をヨットが通り過ぎていくシーンですね。
ステージ2:トミー・ザ・パイロット
ステージ2は左から右へ複葉機が飛ぶ『トミー・ザ・パイロット』。 背景が空の青一色なのと、複葉機の飛ぶ高さが毎回ランダムなせいで迷うところが多いわ。
ステージ3:ポンポコダヌキ
ステージ3は『ポンポコダヌキ』。月夜にタヌキが踊るぞ。 背景が黒一色なせいでどれを置いたのか、どこに置いたのか不明になりやすいトラップが仕込まれている(´Д`;) 上段・中段・下段とそれぞれ違うものが配置されてるのがせめてもの救いだ。 下段のタヌキから埋めていくとよかろう。
ステージ4:アクアリウム
優雅に泳ぐサメ達、ステージ4は『アクアリウム』です。 みな姿かたちは同じなので最初は何匹いるかもわからないところから始まります。 動き始めの両サイドのピースからアタリを付けていくといいでしょう。
ステージ5:SF インベーダー
ステージ5は『SF インベーダー』。 どこかの星に降り立つエイリアンたちよ。 地面とUFOのおかげでピースを置く位置は絞りやすいけど、エイリアンが小さくて目が疲れるわ〜(^^;)
ステージ6:タップ・タップ・タップ
ステージ6、水面に立つウォータークラウン『タップ・タップ・タップ』だ。 広がる波紋のスピードを捉えるのが難しいが、中心から離れるほど輪が大きくなることに気付けば対処はしやすい方だろう。
ステージ7:メイジアン
閉ざされた迷宮、ステージ7の『メイジアン』です。 複雑な迷路を謎の機械生物が闊歩しているので、移動経路が繋がるようにピースを配置していきましょう。
ステージ8:サイエンス・ラボ
ステージ8は『サイエンス・ラボ』。 ミクロの世界の分子配列を整えましょう。 大きな異分子が3つ、ぶつかり合いながら転がり回っているわ。 スピードと角度の見極めが鍵になるわね。
ステージ9:ケイオス
ステージ9は『ケイオス』だ。 モニタに映し出される走査線のようだな。 垂直に走っているため線の速度に合わせて並べなおしていけばいい。
ステージ10:リコレクション
最後のステージは『リコレクション』…『追憶』です。 切なげな音楽にあわせて風に遊ばれる儚い粉雪を見つめていると、過ぎ去った日々に思いを馳せてしまいますね(^^)
ポエティックなこと言ってるけど、このステージの難しさは桁違いよ!(´Д`;) ひとつひとつの粉雪の粒が上下左右に舞い散るんだから。 どれもこれも同じようなピースばっかりで、これを見極めるには相当な動体視力、あるいは根性が必要よ。
どうしても見極めがつかなければ、最後の手段でひとつずつ当てはめてみればいつかはクリアできるな。 かなりの時間を要するだろうが…。
めでたく全10問をクリアするとエンディングです(^^)
そうそう、本作のパズルは基本4×4の16ピースだが、一度クリアすると4×6の24ピースと6×8の48ピースモードが解禁される。 更なる難易度を求める諸氏はチャレンジしてみてほしい。
リコレクションの48ピースをクリアできたら自慢していいわよ、ほんと。
いったいどこから手を付けたらいいんだ…。
あとこれには悩まされたから言っておきたいが、本作の操作性は決してよくない。 はっきり言っていまひとつだ(´Д`;)
十字キーでジグソーパズルってだけでもちょっと大変なのに、上下左右の反転や入れ替えがこれまたやりにくいのよね(´Д`;) これが馴染まないって人もいるんじゃないかと思うわ。
しかしこの操作性を乗り越えてでもプレイしたくなる奥深い魅力があります。 もう少しでもユーザーインターフェイスが改善されていたら広く受け入れらることができたでしょうね。
ジグソーパズルはアナログの遊びだが、きね子はそこにアニメーションという要素を取り込んだ。 これはデジタルでしかできない遊びだ。
身近なものにデジタル要素を加えることで未来感を感じることができた時代です。 そういう点でもワクワクさせられましたよね(^^)
アナログとデジタルが地続きになってるから誰でもルールが覚えやすいしね。 このわかりやすさは貴重よ。
本作はディスクシステム用ソフトですが、ディスクライターでは書き換えができないパッケージ専売のソフトでした。
そうだったっけ?なんで?
何故だろうな…。 付け加えると翌1987年3月に発売された続編『きね子U』では逆にパッケージ版が存在せず、書き換え専用となっているんだ。
1作目が気に入ったら今度はUを安価でプレイしてほしい、ということなんでしょうね。
あ、もしかしてそういうこと? ディスクの裏面にUを入れて完全版になるみたいな。 今でいう追加コンテンツみたいなことをこの時代にやってたってこと?
それがそういうわけでもなくてな…。 きね子は1作目、Uともにディスク両面を使うんだ。 だからUに上書きしてしまうと1作目はプレイできなくなる。
『きね子』はA,B両面を使うソフトだった。
Uに書き換えたら、また1作目をプレイしたいと思ってもこちらは書き換えをやっていないのでまたパッケージを買わないといけなくなるんです(^^;)
何それ?(´Д`;) 結局こういう販売方法にした理由はわからないのね。
任天堂は空きディスクを販売せず、何かしらのソフトを買って書き換える必要があったからな。 このようなディスク専用ソフトはどのゲームを上書きしたらいいか、いつも悩みの種だった(´Д`;)
初稿:2020年4月30日
最終更新:----年--月--日