眠り薬と赤い水

フロントラインファミリーコンピュータ|ゲームレビュー

パッケージ表

パッケージ裏

ROMカセット

タイトル画面

リクエスト回 その1

肴倉もろみ

これからは時々リクエストにもお応えしていきます。 今回はプランさんより、ファミコンから『フロントライン』のご希望をいただきました。 プランさん、リクエストありがとうございます(^^)

更科みどりこ

ありがとー(^^)

肴倉もろみ

本作は『フロントライン』=『前線』の名が表すとおり、舞台は銃弾飛び交う戦場の最前線。 プレイヤーは軍曹として敵陣を奪い占領するのが使命です。

更科みどりこ

チラシには『超リアルな戦争ゲーム』なんて書いてあったから、 そこだけ聞くとシリアスな感じを想像しちゃうけど…。

ピータン

実際は全然そんなことないな。 グラフィックはこんな感じだし。 足を左右に振り上げてピコピコ音を立てながら歩く姿はコミカルでさえある。

歩兵同士の戦い。

肴倉もろみ

殺伐としがちな戦場の雰囲気を和らげる絵作りで、私は結構好きですよ。

更科みどりこ

ま、まあ当時のゲームはこんな感じよね。 しかし昔のゲーム広告ってほんと罪作りだわ(´Д`;)

ピータン

このゲームは遡ること2年前にアーケードで大きな人気を得ていた実績があった。 その秘密についても後で紹介しようと思う。

攻略開始

ピストルの射程は短い。接近戦を覚悟せよ。

肴倉もろみ

では攻略を始めていきましょう。 ステージは任意に移動できる縦スクロールとなっていて、プレイヤーは画面の下から上方向に向かって進んでいきます。 進軍を阻む敵兵にはピストルと手榴弾で応戦しましょう。

ピータン

操作はAボタンが手榴弾、Bボタンがピストルだ。 生身の兵士相手にはピストル、装甲車と戦車には手榴弾が効くぞ。

更科みどりこ

それはいいけど、手榴弾の軌道に凄まじくクセがあるわ…。

手榴弾の軌道に慣れろ。

ピータン

ピストルもそうなんだが、右腕の先から発射されるから着弾点が少し右寄りなんだよな。 だが早いうちに慣れておかないと後で苦労するからな…。 ここで少し練習しておけ。

肴倉もろみ

さあ、草原で装甲車を見つけましたよ!

装甲車

装甲車を発見。

ピータン

緑の車両は敵だが、青いのは味方で乗りこむことができる。 装甲車の武器はマシンガンだ!

更科みどりこ

マシンガンったって、連射が利かないから性能はピストルと一緒じゃない?(´Д`;)

マシンガンなのに一発ずつしか撃てない…。

肴倉もろみ

いえいえ、ピストルじゃ戦車や装甲車は倒せないんです。 手榴弾なら倒せますけど、真っすぐ撃てるマシンガンの方が狙いやすいですよ。 しかし一撃受けるだけで即ゲームオーバーなのは変わらないので、油断は禁物です!

ピータン

敵も大きな戦車が増えてきて、装甲車では心もとないな…。 やはりこちらも戦車に乗るんだ!

戦車

最終兵器現る。

肴倉もろみ

これが戦場の最強兵器である戦車です。 乗り込んで敵に主砲を浴びせてやりましょう!

一撃受けると煙を吹くが、すぐにはやられない。

更科みどりこ

いけない、砲撃を食らったわ!Σ(゜Д゜;)

ピータン

なんの、戦車は一撃受けたくらいじゃ大丈夫だ。 もう一度食らうかそのまま乗っていれば時間経過で爆発するが、一度降りて乗りなおせば耐久力は元通りになる。 浮沈戦車の実力を存分に見せつけてやれ!

更科みどりこ

なにそれファミコンらしいわね(´Д`;) でも攻撃も守りも強いし、戦車に乗っていると安心感が段違いだわ。

肴倉もろみ

戦車戦が本作の醍醐味ですね。 戦場での強さを存分に体感できます。 でも一度降りる時に少し隙ができるので、そこで被弾しないようにだけは注意してくださいね。

敵陣

目標地点へ到達。

ピータン

草原、砂漠を抜けるとそこが目指す敵陣だ。

更科みどりこ

トーチカが一台あるだけじゃない。こんなしょぼいのが敵陣?

肴倉もろみ

見た目は置いておきましょう(^^;)
これでも戦車の主砲も通さない鉄壁の守りです。

更科みどりこ

えー。そんなのどうやって倒すのよΣ(´Д`;)

ピータン

練習しておけと言ったろ?手榴弾だよ。

最後は生身で特攻だ。

肴倉もろみ

おめでとうございます!ゲームクリアですよ(^^)

更科みどりこ

え、おわり?次の面は?

ピータン

ステージは続くが、敵の強さが少し違うくらいでマップは同じなんだ。

更科みどりこ

ループゲーってこと。でも1面しかないなんて短すぎない? 始めてから5分くらいしか経ってないわよ。

ピータン

1983年の水準で考えれば特に短いってことはないんだけどな。 だがファミコンに移植された時期が悪かった。 何せ翌月にはあの『スーパーマリオブラザーズ』の発売が控えていたんだからな。

肴倉もろみ

かつてない膨大なボリュームを引っ提げ、全世界で累計4000万本を売り上げたゲームソフトと同じタイミングというのは不運というほかないですね(^^;)

更科みどりこ

フロントラインも戦車戦は面白かったし、これはこれで悪くないと思うけど、そんな怪物と比べられちゃしょうがないわね(´Д`;)

ピータン

まあしかし1985年になってもフロントラインのような水準のゲームはまだ多かったから、 むしろ『スーパーマリオブラザーズ』の規格外ぶりを表す意味で比較対象にされていたかな。

チャンネルスイッチ

ピータン

さて、冒頭で触れたアーケードでヒットした秘密について最後に話そうか。

肴倉もろみ

アーケードでは入力装置に特殊な機構、チャンネルスイッチを搭載していたんです。 これをを使った操作の面白さが受けたんですね。

ピータン

そのチャンネルスイッチについてだが…形状はガスコンロに付いてるスイッチをイメージしてもらえればいいかな? ツマミを捻ることで銃を向ける方向を変え、押し込むことで銃を撃つことができる。 つまり移動しながら自在の方向に銃を撃つことができたわけだ。 この特殊な操作体系により攻撃的なプレイスタイルが楽しめた。

更科みどりこ

実際の戦車みたいな動きができたって事ね?それは確かに面白そうかも。

ピータン

このシステムはフロントラインが初めてというわけではないが、戦車という題材にピッタリはまったわけだな。 戦車に乗ることでプレイヤーが強くなり、爽快感が増すという仕組みも当時としては新しかったし、設計と設定が上手く噛み合って名作と呼ばれたんだ。

肴倉もろみ

しかしファミコンにそんなスイッチはないので、移植の際に問題になったことは言うまでもありません。 そこで開発チームが取った手法はゲーム性を大きく変容させてしまうものでした。

ピータン

自分が向いている方向にしか銃を撃てないようにしたんだ。 これによって前進しながら左右の敵を倒すことができなくなり、ゲームのテンポが変わってしまった。

肴倉もろみ

果敢に撃ちながらどんどん先に進めたアーケード版に対してその場に立ち止まって迎え撃つ局面が増えました。 見た目はそっくりでも遊んだ印象は別のものになってしまったんです。

更科みどりこ

機能的に仕方ないんだろうけど、せっかくの長所を捨てちゃったのね(´Д`;)

ピータン

戦車戦の面白さこそ生きているが、原作で評価され個性たらしめた操作性が移植されなかったのはやはり残念だったな。 そこまでして移植してもマリオの陰に隠れてしまうこととなり、アーケードほどの支持は得られなかった。

更科みどりこ

移植って難しいわね。オリジナルで独自の機構に凝って、それで評価を得たのはいいけど今度はそれがネックになったのね。

肴倉もろみ

さらに後世の移植ではチャンネルスイッチに替わり、撃つ方向を変更できるボタンが割り当てられるようになりました。 この悩みはボタンの数が少ないファミコンならではのものだったんです。

ピータン

本作を開発したタイトーは他にもアーケードで『アルカノイド』など、特殊な入力装置を搭載していた。 『アルカノイド』はファミコンへの移植にあたり専用のダイヤル式コントローラーを同梱することで対処し名作の誉れを得たが、 これはフロントラインでの反省を活かした結果だったのかもしれない。

初稿:2018年11月10日

最終更新:----年--月--日

← 前の記事へ | 一覧へ | 次の記事へ →

PAGE TOP