みどりちゃんは、何故ああも虫が苦手なんでしょうねえ…。
世の中に虫が苦手な人は多いし、特に不思議なことでもないだろ? 見た目がダメだとか、過去に手痛い危害を受けたことがあるとか、そんなところじゃないのか。
うーん、でもあの怖がり方は尋常じゃなさそうですよ。 きっと何か理由があると思うんです。そうだ、あの人に聞いてみましょう!
あの人って…あの人か(´Д`;)
みどっこが虫嫌いな理由?
はい!みどりちゃんが抱えるトラウマの8割方を負わせたというガマズミさんなら何か知ってると思いまして。
多いな!(´Д`;)
それについてはあいにくだけど2割の方ね。 私が係わっているわけじゃないわ。
そうですか…当てが外れちゃいました(;ω;)
でも、知らないこともないわよ。
!
ぜひ、教えてください!
人の弱みをあんまり詮索するもんじゃないぞ…(´Д`;)
じゃあこのゲームについて知ってもらうわ。
ドンキーコングの新たなる戦い。
『ドンキーコング3』。ファミコン発売から約1年後に登場したドンキーコングの新作よ。
以前の作品である初代とJRは既に紹介済みだ。 2作ともファミコンのローンチタイトルだったな。
このゲームにみどりちゃんの虫嫌いとの関係が? でも、みどりちゃんは偏執的なまでのドンキーコング大好きっ子なんですよ。
この『3』に限ってはちょっと事情が違うわ。 ドンキーコング前2作は画期的なゲームだったけど、具体的にどういう点が新機軸だったかしら?
アスレチック的な楽しさがある世界初のジャンプアクションであり、ゲーム内でどんどんストーリーが展開していくところですね。 ちゃんとしたエンディングがあるのも世界初だと聞いたことがあります。
及第点。それがドンキーコングという作品に対する一般的なイメージでしょうけど、3はそれらの特徴を持っていなかったわ。 全く違う姿となってユーザーの前に現れたの。
ドンキーコングから植物園を守れ。
前作『ドンキーコングJR』にてマリオの魔手から逃れたコングが今回現れたのは、このフラワーガーデン。 新主人公の『スタンリー』は暴れるコングと花を狙う虫達を撃退する役目を背負うわ。
殺虫剤のスプレーを噴射し、上から降りてようとしているコングを一番上まで押し戻すか、一定数の虫を倒せばステージクリアになる。 花を奪われないよう守りながらのプレイ、これがなかなか難しいんだ。
任天堂としては珍しいシューティングゲームなんですね。
虫と野獣の大攻勢に大混乱。
虫の数が多い、そして動きが速いです! 攻撃すると爆発する蜂や特攻してくる蚊が鬱陶しいし、普通のスプレーで倒せない芋虫の邪魔も厳しいです!Σ(゜Д゜;)
頼みの綱のパワースプレーもとっくに使い切って、打つ手がなくなってるな(´Д`;)
何か言う暇もないんだから。 仕切り直して最初から解説した方がよさそうね。
忘れた頃に放たれるココナッツ攻撃。
改めて、画面中央上側でロープを掴んでるのが今作のドンキーコングよ。 子分の虫たちをけしかけてきたり、ココナッツを投げて攻撃してくるわ。 時間経過で少しずつ降りてきて、下まで降りられたらワンミスよ。
コングはスプレーを当てることで押し上げることができる。 最上段まで押し上げることができればステージクリア―となるぞ。
コングの股間にスプレーを浴びせるのだ。
クリア条件はもう一つあって、それは虫を一定数倒すこと。 登場する虫の特徴を少し紹介しておくわ。
どの虫もなかなかに嫌らしい攻撃をしてくるな。 上方向にしか打てないスプレーで大群をさばくのはなかなか大変だ(´Д`;)
そこで切り札になるのがパワースプレーというわけ。 スタンリー1人につき1度しか使えないけど、その威力は高力無双。 親蜂ベスピーを一撃で倒せるし、普通のスプレーじゃ少しの間気絶させるだけで倒せないクリーピーも倒せるわ。 連射も効くからコングをどんどん押し上げることだってできちゃうわよ。
なるほど、そういうアイテムなんですね。 出し惜しみしてやられたら元も子もないと思ってすぐに使っちゃいましたけど、 そういうことならイモムシが登場するステージで使うのがよさそうです。
気付いたか?どいつもこいつもスタンリーじゃなくて花を狙ってくるんだよ。
だから左右に動き回らないといけないんですよね。 本当ならコングの真下に陣取って戦いたいところなんですけど、そうはさせてくれないのが憎いです(^^;)
まあ、実のところ花を守ってもステージクリア時のボーナス点になるだけで、全部取られてもミスにはならんのだがな。
えー、そうだったんですか!?Σ(^^;)
パーフェクトボーナスは3,000点。
時には見捨てることも必要ね。 とは言え花を守ることが目的なんだから、おろそかにしてちゃスマートなプレイとは言えないわ。 コングの押し上げと虫たちの迎撃、どちらにも固執しないでバランスよく片づけるのがコツかしらね。
あまり他にないタイプだから慣れる必要があるが、やりこめば奥の深さがわかってくる任天堂らしい設計だな。
やればやるほど味わいがわかってくるゲームですね。 でも花を守り切るのはすっごく難しいです!(´Д`;)
今でも珍しい任天堂製のシューティング。 丁寧に作られてはいるけど、残念なことに当時としてもあまり新しさを感じるゲームではないのよね。 ちょうど新世代のシューティングゲームである『ゼビウス』が全国のゲームセンターで大ブームを巻き起こしてるさなかで、固定画面式の本作は時代遅れの感もあったわ。
エンディングがあっさりしていたりステージごとの変化が少なくなったり、前作より地味になった部分も目立つな。 そういったところがドンキーコングらしさであり価値だったと思うのだが。
今作のエンディングがこちら。
エンディングって、コングが蜂の巣に頭を突っ込んで終わりなんですね。 これはこれで面白い演出ですけど、確かに過去作に比べると物足りないかもです。
実は本作、遡ること2年前の1982年にゲーム&ウォッチとして発売された『グリーンハウス』に似ているわ。 ドンキーコングこそ登場しないけれど、植物園を舞台に植物を荒らす害虫を殺虫剤で退治するという筋書きは同じ。 これをリメイクしたのがドンキーコング3ということなのでしょうけど、新しさを感じない理由の一つでもあるわ。
クラブニンテンドー特典、ニンテンド−DS用ソフト『GAME&WATCH COLLECTION』より撮影。
グリーンハウスはゲーム&ウォッチの中でも傑作の部類だと思うし、 アレンジも良くできてると思うが、この舞台にドンキーコングを絡める必要はなかったとも思う。 やっぱりドンキーコングの名前を冠するなら純粋なアクションとして遊びたかったというのが本音かな。
あんたら、集まって何してんの?
…うっ、『ドンキーコング3』!?Σ(゜Д゜;)
あ、みどりちゃんです(^^)
あなたの虫嫌いの秘密を知りたいんですって。
人の苦手を暴こうなんて悪趣味よ!(´Д`;)
ああスマン、止めるつもりだったんだが、つい…(´Д`;)
でも確かにイモムシなどの虫はたくさん出てきましたが、これで特別に嫌いになるような描写はなかったように思います。
そりゃね。 本命はこっちの方よ。
ファミコン版の発売と同時期に稼働していた。
アーケード版ドンキーコング3。 このゲームオーバー時の演出が答えよ。
ファミコンだとやられたスタンリーが倒れて終わりでしたケド…。 アーケードだと何か違うんですか?
あえなく倒されたスタンリー。
一斉に群がる虫たち。
跡にはスプレー缶だけが残った。
アーケード版にはゲームオーバー時にスタンリーに蜂が群がって、スプレー缶だけを残して跡形なく消えてしまうの。 これの演出がみどっこのトラウマになったのよ。
きゃああああああああ!!Σ(゜Д゜;)
これ…絶対食べられてますよね! この蜂は人食い蜂だったんですか!?Σ(゜Д゜;)
くすくす…。(ぱしゃぱしゃ)
こんなとこ撮影してんじゃねーわよ!Σ(´Д`;)
なるほど、これは苦手になってもおかしくはないか(´Д`;)
実際、このシーンが怖いという声は当時からよく聞いたわ。 虫そのものとまではいかなくても、このシーンがトラウマとして刻み付いた人は少なくなかったようよ。
よくわかりました。私が悪かったです(TДT;)
そういえば、本作のファミコン版は唐突に発売された印象があるんだ。 チラシやテレビCM等の広告も見た覚えがないし…俺の記憶違いかも知れないんだが。
少なくとも記録には残ってないようだし、合っているかもよ。 それに前2作はディスクシステムでも早々に書き変え専用として供給されたけど、この『3』は最後まで出なかったわ。 そんなこともあって看板キャラを使った割に本作の知名度は高くないわね。
ドンキーコングほどのネームバリューを活かせなかったのは本当に惜しいわ…(´Д`;)
任天堂がどういう戦略をもって本作をリリースしたのかはわからないけど、 この『3』の評判はあまり振るわず、少し後にゲーム&ウォッチで数作の新作が発売されてから シリーズはこの後約10年もの間新作がリリースされない冬の時代を迎えてしまうわ。
こちらが停滞している間に分家したマリオシリーズが大ヒットしてしまうんですから、なんとも皮肉な話ですね(^^;)
マリオの出世作『スーパーマリオブラザーズ』の発売は約1年後の1985年9月…。このゲームは後に全世界で一番売れたファミコンソフトとなる。 この大ヒットで大きく水をあけられ、マリオとコングの戦いはゲーム内でなく場外で決してしまうことになったわけだ。
でも、ドンキーコングのシリーズはこのまま終わらないわ。 さっき言った10年後に大きな転機が訪れて、見事に復権を果たすことになるんだけど…。 その話もいつかしたいわね。
今回使用したアーケード版の画像は自前で用意できなかったから、こちらの動画より引用させていただきました。 死に際の演出以外にもファミコン版と違うところは多いから参考にしてみるといいわ。
初稿:2018年10月27日
最終更新:----年--月--日