眠り薬と赤い水

プライベート・アイ・ドルPCエンジン(SUPER CD-ROM2)|ゲームレビュー

パッケージ表

パッケージ裏

CD-ROM

タイトル画面

タイトル

更科みどりこ

なんかいかがわしい感じのタイトル・・・(`□´;)

肴倉もろみ

わかりやすい勘違いの仕方ですねえ(^^;)  別にアイドル達のをつけまわして私生活を覗いたり、部屋に押しかけたりあまつさえ弱みを握って脅迫したりするゲームじゃないですよ?

ピータン

何でそんな生々しい例え方を・・・。 このタイトルは『プライベート・アイ』(探偵)とアイドルを組み合わせた造語なんだ。

更科みどりこ

ああ、なるほどね。 じゃあ、アイドルが事件に巻き込まれたり、探偵の真似事をして警察に煙たがられたり、あまつさえ素人捜査の行きすぎで逆に命を狙われたりするわけだ?

ピータン

だから何でそんな生々しい例え方なんだ!?Σ(゜Д゜;)

肴倉もろみ

だいたい合ってるような気もしますけどねー(^^;)

SCENE1 闇夜のRainy Cry

主人公の『メイ・スター』(ボクっ娘)と相棒である人口知性体の試作品『ナビ』。

ピータン

主人公は人気急上昇中のアイドル、メイ・スター。 第一話では怪奇特集番組の特ロケのため、他のタレントやスタッフ達と、かつて凄惨な事件が起こったという山奥の館へやってくるところから物語は始まる。

肴倉もろみ

メインスタッフの到着が遅れているため、メイは同じ事務所のアイドルである綾華ちゃんと2人で館を探検してみることにします。

メイと同じプロダクションに所属する『立花綾華』。

更科みどりこ

つまり、この綾華が犯人ね!

ピータン

なんでだよ!Σ(´Д`;)  早えよ!まだ何も事件起きてねえよ!

更科みどりこ

主人公と一番仲が良さそうな奴が犯人なのは推理小説の定石よー! 犯人はヤス!m9(゜□゜)

肴倉もろみ

そんな使い古されたネタ・・・(^^;) 的外れもいいとこですよ!綾華ちゃんは第一の犠牲者なんですから!

『助けて、メイちゃん・・・』。悲痛な叫びは届かなかった。

更科みどりこ

えっええええええ!?Σ(゜□゜;)

悲壮な決意

目の前で突然起こった惨劇。メイは犯人暴きを誓う。

肴倉もろみ

主人公の友人ポジションが真っ先に被害に遭うっていうのも推理小説の定石じゃあないですか。

更科みどりこ

くっ、確かにそうだわあ。 一流探偵への道はまだまだ遠いわね。

ピータン

お前には向いてねえよ(´Д`;)
こうしてメイは親友の命を奪った犯人を追うことになった。 奇しくもこの館に通じる道は大雨による崖崩れで塞がれていて、外部からの犯行はありえない。

肴倉もろみ

また並行して他のアイドルが幽霊に攫われる事件も発生しています。 これらの事件を結ぶ鍵は、かつてこの館で起こった事件にあるようなのですが・・・。

更科みどりこ

ありがちなクローズド・サークルだと思ったけど 描写に雰囲気が出てて恐怖で息が詰まりそう。心臓バクバク・・・(゜□゜;)

20年前の惨劇

ピータン

探索は見下ろし方のマップを歩き回る方式で行う。 従来のアドベンチャーゲームは場面切り替え式が主流だったが、本作ではRPGと同様の形式を取ったわけだ。

更科みどりこ

ああ、私はこのほうが嬉しいわね(^^) 切り替え式だと自分が今どこにいるのかわからなくなることがあるからさー。

RPGのような探索風景。

肴倉もろみ

描き込みの細かさはもとより、大事なものを見つけたらアップで表示されるため場面がイメージしやすいです。

ピータン

さて、調査を進めると色々なことがわかってくる。 20年前、この屋敷には不死の研究や悪魔の招喚を試みた魔術師が住んでいた。 その研究に使う血を得るために女性の命を奪い続けていたというのだ。

某一流大学のオカルト同好会出身というスタッフの笹木から話を聞こう。

更科みどりこ

うええ、オカルト(´Д`;)

肴倉もろみ

現場検証やアリバイ捜査を進めていくと、霊感タレントの幻条優子さんが行方不明になったアイドルのかんなちゃんを探すための儀式を行うことになります。 指し示した場所には隠し扉があり、その先では眠っていたかんなちゃんが発見されました。

館に隠された拷問部屋。ここでかつての惨劇が…。

更科みどりこ

こっちもオカルト?(´Д`;)

ピータン

だが、この誘拐も彩華の殺害も、人の手によるものである痕跡があった。 誰が何のためにこのようなことをしでかしたのか…。

肴倉もろみ

ここは陸の孤島、言い換えれば犯人は必ず関係者の中にいるはずです。 ナビと協力して証拠を集め、証言を分析して犯人を暴いてください。

更科みどりこ

まかせて、彩華の仇は絶対に取って見せるから!

ナビと一緒に真相を暴き出そう。

SCENE2前編 朝風にVainDance

ピータン

2話前編の舞台は船上だ。 前回の事件のことで落ち込んでいたメイを見かねた素子の誘いで離島へ遊びに行くこととなった。

肴倉もろみ

しかし楽しい船旅になるはずが船内で指輪の盗難騒ぎが発生し、メイたちは解決を買って出ることにします。

指輪の行方は何処。

更科みどりこ

素子は第1話にも登場してたし、新しい友達のポジションに収まったみたいだから犯人ではなさそうね(・3・)

ピータン

お前はそういう読み方をするのをやめろ!(´Д`;)

肴倉もろみ

今回は殺人は起きないので、終始重苦しかった前回に比べると割合ライトな雰囲気で進行します。 箸休めのような位置付けで楽しんでください(^^)

更科みどりこ

箸休め、てことは後編はまた重いのが来そうね…(^^;)

SCENE2後編 白昼はBleakVacation

ピータン

とんだ騒動はあったが目的地の児島に上陸したメイたち。 しかし突然目の前に鎌を振りかざした婆さんが現れ、帰るように凄まれてしまうΣ(゜Д゜;)

観光気分も吹き飛ぶ不気味さ。

更科みどりこ

こわっ!(゜Д゜;)

肴倉もろみ

お婆さんは誰にも相手にされず、引きずられるように連れていかれてしまいます。 新たな事件を予感させますね。

ピータン

その通り、ここでも殺人事件が発生してしまった。 しかも容疑者は…素子だ!

素子が、なぜ…!?

更科みどりこ

素子が犯人のわけないし、何とか濡れ衣を晴らしてあげないとね。 事件のカギは殺された青年の素性にありそうだけど…?

ピータン

少しはわかってきたようだな。 被害者の青年の父親は昔メイの父親や立花刑事と組んでいた警察官だったが、ある事件の捜査中に殉職してしまったんだ。

肴倉もろみ

その事件とは武器や麻薬の密輸です。 背後には大きな組織の力があり、警察もその存在を知りながら捕らえることができずにいました。 被害者の青年は父親の復讐のため当時の事件を調べていたようなんです。

更科みどりこ

亡くなったメイのお父さんも刑事だったのね。 正義感や行動力は父親譲りだったんだ…。

在りし日の3人の刑事。

ピータン

唯一の生き残りである立花刑事は今この島にいる。 この島に組織に関する何かがあるという情報を得て訪れたらしく、この殺人にも組織が関与があると考えるのが自然だろう。

肴倉もろみ

となると、組織の存在を示す証拠が必要です。 誰が組織の一員かわからないというのが恐ろしいですね…。

更科みどりこ

住人みんな怪しく思えちゃうわー(´Д`;)

ピータン

メイが過去に関わった事件とは大きく違う巨悪の存在、それに立ち向かうメイの芯の強さを見てほしい。

SCENE3 黄昏のPopIdol

ピータン

いくつかの事件を解決したことで一躍時の人となったメイに一日署長の仕事が舞い降りる。 この仕事が最後の事件への幕開けだった。

強引な少女の頼みだが…。

肴倉もろみ

休憩中、見知らぬ少女にいきなり飛び掛かられます。 行方不明になった父親を捜してほしいと言われ流石のメイも困惑してしまいますが、泣かれてしまっては断れませんね(^^;)

更科みどりこ

この子、葉(よう)ちゃんがいきなり現れたのはテレビで『メイ・スターならどんな事件も解決できる』って言ってるのを聞いたからなんだって。 誰が言ったのか知らないけど無責任なものね(^^;)

ピータン

この子の家で手掛かりを探すと、父親は探偵業を営んでいることがわかった。 だが、さらに調査を進めパソコンの中でとんでもないものを見つけてしまう。

メイの父親は睡眠薬での服毒自殺と報道されていたが…。

肴倉もろみ

草薙事件…メイのお父さんが自殺したとされる事件に関する調査資料です。 葉ちゃんのお父さんはこの事件を調べているうちに失踪してしまったようですね。

更科みどりこ

ただの人探しが一変して深い闇を纏ったわ…(´Д`;)

ピータン

その闇に呼応するように、行く先では新たな殺人事件が起きていた。 ここで面白いのはメイが警官に成りすまして事件現場に入っていくところだな。

女優として見事な演技力を見せる。

更科みどりこ

そういえば一日署長をやることになってるから衣装はあるんだもんね。女優だけあって様になってるわ。

長所

肴倉もろみ

本作では最終的に草薙事件の真相を突き止めて組織との因縁に決着をつけることになりますが、それに至る展開が秀逸なんです。 最後の真相を暴く快感は後の『逆転裁判』シリーズにも劣らないカタルシスがあります。

ピータン

詳しくは伏せるが、終始泰然とした態度を崩さない黒幕の人物を落とし入れる逆転劇は一見の価値がある。 一日署長の件も含め、主人公がアイドルだったからこそ成立した見事な構成だと思う。

更科みどりこ

ほんと、3話で終わっちゃうのが残念なくらい面白かったわ! 特に欠点らしい欠点もないし、もっと遊んでみたい気持ちが尽きないもの。

肴倉もろみ

欠点がなく長所の多い作品ですね。 PCエンジンで主人公がアイドルという前情報から受ける印象とは異なる本格派のシナリオは 組織との対立を縦軸にメイの成長物語にもなっていて読みごたえがあり、いい意味で予想を裏切ってくれました。

ピータン

グラフィックも細やかに描かれており、立ち絵は大きく表情のバリエーションも多い。 マップ上の小さいキャラもよく演技していて感情がダイレクトに伝わってくる。

更科みどりこ

登場キャラにはモブも含め全員にプロの声優が声を当ててるし、8BIT機で作ったとは思えないくらい豪華よね。 既に後継機のPC-FXやサターン、プレステも出てたんでしょ? これら32BIT機の作品と比べても遜色ないし、よくここまで作りこんだものだわ。

肴倉もろみ

アーケードカードにも対応していて、差し込めばCD読み込みのシーク時間もほぼなくなります。 PCエンジンの末期にはハード性能を限界まで使った良作が多く発売されましたが、本作はその中にあってもひとつ際立っていました。 ハードを代表する作品として忘れられない一作です。

初稿:2019年7月6日

最終更新:2019年7月9日

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