眠り薬と赤い水

アクロバットキッズゲームボーイアドバンス|ゲームレビュー

パッケージ表

パッケージ裏

ROMカートリッジ

タイトル画面

エアロ・ザ・アクロバット

ピータン

1993年に海外のメガドライブとスーパーファミコンでリリースされ、日本でも発売される予定があったにもかかわらず敢え無く立ち消えたゲームがあった。

肴倉もろみ

そのゲームは『エアロ・ザ・アクロバット』。 日本で陽の目を見なかった当ゲームが新たな名称を与えられゲームボーイアドバンスでリメイクされました。 その名も『アクロバットキッズ』です。

更科みどりこ

へえ、知らないゲームだけどパッケージのキャラクターが可愛くて目を引くじゃない。

肴倉もろみ

いいところに目を付けましたね!(^^)
私もこのイラストに興味を持って買うことにしたんですよ。 この元気そうなコウモリの少年が主人公のエアロです。

ピータン

コウモリ(bat)とアクロバットを掛けたキャラクターだ。 名前の通りアクロバットの名人でサーカスのスターをやっている。

肴倉もろみ

こんなに可愛いんですから、すぐにでも動くところを見てみたいでしょう?そうでしょう?

更科みどりこ

え?ええ…そりゃ…。

肴倉もろみ

ではさっそく電源を入れましょう、そうしましょう。

更科みどりこ

なんでそんなに急かすの?(´Д`;)

ピータン

……(´Д`;)

真実のエアロ

肴倉もろみ

いいですか、入れますよー。
よーく見ててくださいね。

誰だこいつは。

更科みどりこ

きゃあああああああ!
何よこの怖いのは!?Σ(゜Д゜;)

肴倉もろみ

言いにくいことに、これがパッケージに描かれているのと同じキャラクターのエアロです。
狼狽する心中は深くお察ししますよ(-_-;)

さあ、見比べてみよう!

更科みどりこ

ほとんど面影がないじゃない!(´Д`;)

ピータン

一応言っておくと、ゲーム上のイラストがオリジナルだぞ。 1990年代の海外のゲームのキャラだからな。この方向性で正しいし、現地の人気はあったようだ。

肴倉もろみ

もちろん、現代の日本で受け入れられるかというと大いに疑問符がつきます。 そこで取った手段がパッケージイラストの差し替えだったんですね。

更科みどりこ

それをやるならゲームのグラフィックも差し替えなきゃダメでしょ。 こんなの騙し討ちよ!子供が泣いちゃうわよ!(´Д`;)

肴倉もろみ

大人ですけど泣きましたよ!(つДT)
はじめは何が起きてるのか理解できませんでしたし!

ピータン

これな、雑誌広告でもエアロのイラストを前面に押し出してゲーム画面は一切出してなかったから質が悪いんだよな…。 ちなみにキャッチコピーは『ハイパーアクションヒーローが衝撃的にデビュー!!』だ。

肴倉もろみ

別の意味で衝撃的でしたよ!あうあう(つДT)

エドガーの暗躍

ピータン

しかし意外と言ってはなんだが、本作のゲームとしての出来は良い。 この際きっちりと紹介しておこう。

エドガーの手からサーカスを取り戻せ。

ピータン

サーカスを憎むエドガーの手によってエアロのガールフレンドとサーカスの仲間が攫われた。 テーマパークに平和を取り戻すため、エアロは打倒エドガーのために動き出す。

更科みどりこ

このエドガーは典型的なヴィランって感じね。 気持ちいいくらいの悪人面だわ。

肴倉もろみ

子供の頃にイタズラでサーカスの動物に大怪我をさせそうになって、サーカスから出入り禁止になったのを根に持って復讐を誓ってるんですよ(^^;)

更科みどりこ

とんだ逆恨み!小悪党だわあ!Σ(´Д`;)

探索型アクションゲーム

ピータン

本作はステージクリア型のアクションゲームだ。 3つあるステージは4〜5のアクトに区切られており、アクトごとに決められたクリア条件がある。

アクト開始前にはクリア条件が提示される。

肴倉もろみ

クリア条件はアクト内に捕らわれた仲間を助けたり、魔法の輪を規定数くぐったりするなど様々です。

ピータン

最初のステージはサーカス、アクト1の条件は『7つのスタープラットフォームを壊せ!』だ。

これがスタープラットフォームだ。

更科みどりこ

背景はバルーンも飛んでサーカスっぽい賑やかさね。 この☆が描かれた青い足場がスタープラットフォーム?

肴倉もろみ

はい、上に乗ってジャンプすると壊れます。下から叩いても壊れないので、乗る方法を見つけることも過程のひとつですね。

ピータン

エアロの羽根は伊達ではない。短時間だがホバリングでき、遠くまで飛ぶことができる。 どうすれば乗れるかを探るためにまずは探索して地形を把握するんだ。

飛んで距離を稼ごう。

更科みどりこ

なるほど、探索型アクションだったのね。 アクロバットが得意なエアロのアクションを活かすことになりそう。

天を衝くドリルで敵を貫け。

肴倉もろみ

エアロの攻撃手段はジャンプの状態から放つドリル・アタックです。

ピータン

ステージ内にはサーカスらしいギミックが多数登場する。 トランポリンや一輪車、大砲やシーソーなどだな。攻略にはこれらを活用することも必要だ。

サーカスに使われるアイテムの数々。

肴倉もろみ

たくさんの種類のアクションが楽しめるのが本作の特長です。 新しいギミックを見つけたら積極的に試してみてください(^^)

最初のボス『スティルト・ブラザーズ』。炎を投げて攻撃してくる。

ピータン

ステージの最後にはボスとの戦いが待っているぞ。

更科みどりこ

この手のボスは顔が弱点だと思ったんだけどダメージが通ってないみたい。 うーん、どうやって倒すのかしら?(^^;)

サーカステントを飛び出して。

肴倉もろみ

サーカスステージをクリアしたら、次は屋外に出てテーマパーク全体がステージになります。 ローラーコースターやローターなどのアトラクションを舞台にしたアクションを繰り広げますよ。 最後はエドガーの屋敷で直接対決が待っています。

ローカライズのあり方

更科みどりこ

面白かったわ。 90年代の海外製アクションゲームだから難しいんだろうなって思ってたけど、程よい難易度で楽しめたわね。

ピータン

そこはしっかりと現代向けに調整されているからな。 何よりオリジナル版では触れると即死だったトゲがリメイク版では1ダメージに改められたことが大きい。

肴倉もろみ

あちこちにトゲが配置されてますから、オリジナル版は大変な難易度だったんでしょうね(^^;) ライフは5もありますし、回復アイテムがたくさん置かれているので無茶してもわりと取り返しがつくようになっています。

更科みどりこ

エアロは移動の時のブレーキングにちょっと癖があるけど、慣れちゃえば平気だしね。 そうなると問題点はやっぱりあのパッケージイラストが…(^^;)

ピータン

実はな、俺はもろみからこのソフトを貰ったんだ。 発売日の翌日にな…。

更科みどりこ

え!てことは、発売日にこれ…買ったんだ…。

肴倉もろみ

あうあう(つДT)

ピータン

もちろんまるでプレイはしていなかったようだ。 だが、今回このゲームを取り上げるにあたり改めてプレイしてもらったところ、わりと楽しんでいたようでな。

肴倉もろみ

まあ当時はショックでしたけど、元々がこういうグラフィックだと知ってプレイすれば良くできていることはわかりましたよ(^^;) よく見ればオリジナルのエアロも濃いですがいいデザインですしね。

ピータン

このようにパッケージイラストに惹かれたユーザーはゲーム本編との落差にショックを受けて遊び込まず、 この手の骨太なアクションを好むユーザーは子供向けを意識したイラストのために敬遠してしまった。 むろん全員がそうだとは言わないが、当時こういう事態が発生してしまっていたんだ。

更科みどりこ

それって誰が得するのよ…(´Д`;)
取説も直訳なのか読みづらいし、全体的にローカライズが雑すぎるわ。

ピータン

オリジナル版は人気を博し、続編も発売されるに至った。 当初日本への進出が敵わず、9年の時を経て最良のバランス調整を施し、満を持してリメイクされたはずのゲームがこんな扱いを受けてしまったのでは開発者も報われないだろうな(´Д`;)

肴倉もろみ

ゲーム内容は良かっただけに、それ以外のところで良くない印象がついてしまったのは非常にもったいないですね。 ローカライズの大切さを考えさせる教訓となる一作でした。

初稿:2020年10月18日

最終更新:----年--月--日

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