ドンキーコング生誕13周年記念作。 ファミコンの『ドンキーコング3』から数えて10年ぶりに登場した新作がこのゲームボーイ用『ドンキーコング』なのよーっ!
テンションが高い!Σ(´Д`;)
あの…13周年って、記念にするにはちょっと半端じゃないですか?(^^;) 10周年や15周年というならわかるんですけど。
う、いきなり冷や水を浴びせてきたわね(´Д`;) それは、開発スタッフが他の作品で忙しくて後回しにされてたからよ!
記念作なのに後回しにされたのか…。
本当は10周年で何か作りたかったらしいけど実現しなくて、その時はスーパーマリオカートにJrを出すくらいしかできなかったそうよ。 かつての看板キャラとは思えない扱いね(TДT)
泣くなよ(´Д`;)
ですが、遅れたことで結果的に良かったところもありますよね。 スーパーゲームボーイに対応することができましたし。
スーパーゲームボーイはスーファミでゲームボーイソフトを遊ぶことができる周辺機器だな。
スーパーゲームボーイには一部の対応ソフトで専用フレームと最大13色の着色がされる仕様があるの。 『ドンキーコング』はその対応ソフト第1弾になったのよ。
スーパーゲームボーイを使ったタイトル画面。
とても綺麗なタイトル画面ですよね。惚れ惚れしちゃいます(^^)
このフレームは初代アーケード版の筐体を模している。 旧来からのファンには嬉しい演出なんだ。
それじゃあストーリーから行ってみましょ。 原作はマリオとドンキーコングのデビュー作だから、これがシリーズ原初の物語になるわ。
工事現場で働くマリオはドンキーコングという名のゴリラを飼っていた。 マリオとコングは大の仲良しで、どこに行くにも一緒だったという。
ところが、マリオにポリーンという新しい女性友達ができるとコングは置いてけぼりを食らうようになってしまいます。
焼き餅を焼いたコングはとうとうポリーンを攫い、工事現場の奥に逃げ込んでしまうわ。 これをマリオが追いかけるところからゲームが始まるってわけ。
攫われるポリーン。
ドンキーコングがペットだったという設定は現代の関係性を見ると少々意外に思えるな。 これも黎明期ゆえの特徴か。
コングが攫う女性はオリジナルでは固有名がなく『レディ』と呼ばれていましたが、本作から『ポリーン』と改名されました。 これは欧米での名前を逆輸入して統一したことによります。
それを言ったらマリオにもオリジナルだと名前がついてなかったけどね。 『ジャンプマン』とか呼ばれていたはずよ。
正式にマリオと呼ばれるようになったのは2作目の『ドンキーコングJR.』からだな。 マリオという名前を得て大きく台頭した後にこうしてデビュー作のリメイクに凱旋したのは感慨深い。
かくして、1981年にアーケードで始まったマリオとコングの戦いがよみがえります。
左:ファミコン版/右:ゲームボーイ版。
オリジナルの雰囲気は十分に再現されていますが、解像度が違うということでレイアウトには手が加えられています。 見比べると鉄骨の段差の数が減ったり、ハシゴが短くなったりしているのがわかりますね。
ファミコン版ではカットされていた2面。
だけどファミコンでは削られていた2面が収録されてるのは嬉しいわ。 このゲームで始めて見たって人も少なくないと思うわよ。
(3面)左:ファミコン版/右:ゲームボーイ版。
(4面)左:ファミコン版/右:ゲームボーイ版。
3面を経て、4面では直接対決だ。 コングを落下させてポリーンを取り戻し全ては解決…。
コングを落下させ、無事にポリーンを救出…?
とはいかないのがこのゲームボーイ版です! なんとコングはすぐさま起き上がり、再びポリーンを捕まえて逃げ去ってしまうのでしたΣ(^^;)
コングは倒れていなかった!
そうなの、よく知られているここまでのステージはほんの序章。 マリオとドンキーコングの追いかけっこはここからが本番だったのよ!
タイトルが昔のままでしたし、オリジナル版の移植だろうと思ってたのでこの展開にはビックリしましたね。
最初の4面をステージ0として扱っており、次のステージ1から直接の続編となる新たなゲームが始まるんだ。 すなわちリメイク+新作という構成なんだが、その新作のボリュームがなにしろ尋常ではないんだよ。
マリオのアクションも追加されて、もはや別のゲームって感じよね。
そうなんだ、本作のマリオは実に万能だ。 何と言っても取れるアクションの種類が他の作品と比較しても格段に多い。
マリオの代名詞でもあるジャンプ。
まずはAボタンでジャンプです。 これはお馴染みですが、敵を踏んで倒すことはできません。 そのかわり乗ることができます。
頭上から持ち上げて、放り投げる。
Bボタンを押せば乗った相手を持ち上げて投げることもできるわ。 敵キャラだけじゃなくてタルやゴミ箱だって持ち上げちゃうわよ。 『スーパーマリオUSA』でも登場したアクションね。
ジャンプで培ったこの脚力。
次は逆立ちだ。十字キー下+Aボタンで発動する。 この状態では上から降ってくる鉄アレイやタイヤなどの障害物を蹴り飛ばすことができるぞ。
逆立ちから反動をつけてのハイジャンプ。
さらに逆立ちの状態からはハイジャンプができます。 普通のジャンプより高く飛べちゃうんですよ。
咄嗟の時にも使いやすいバック宙返り。
歩いている状態から逆方向+Aボタンを押せば体操選手顔負けのバック宙返りもできちゃうわ。 高いところに行きたいときはこれが便利なのよ(^^)
ステージ0ではハシゴを使わない攻略も可能。
実は、ハイジャンプやバック宙返りを駆使すればワールド0のステージはハシゴを使わなくてもヒョイヒョイ飛んでクリアできるんだ。 使い方次第ではコースギミックを無視できてしまう、とんでもなくスーパーな能力だな。
回転の遠心力を利用した特大のジャンプ。
最後にお見せするのは大車輪ハイジャンプ。 鉄棒を掴んで十字キーの上を押すとぐるぐる回転を始め、遠心力が最大になったところでAボタンを押せばとても高く飛びあがることができますよ。
この多彩なアクションと身軽さ、マリオは大工というよりとび職なのかも知れないな。
サーカス団員としてもやっていけそうよね。
ステージ1:BIG CITY。
それでは新作ステージの内容について紹介しましょう。 ステージ1の舞台はマリオが住む大都会です。 この街は工事現場が多いみたいですね。鉄骨やハシゴで入り組んだ中を追いかけることになります。
ここからのステージはこれまでとルールが若干変わる。 ステージ内にある鍵を拾い、コングが逃げ込んだ扉を開けることでクリアとなるんだ。
鍵を拾って扉に向かおう。
この鍵が曲者なのよ。 マリオと同じくらい大きく描かれているけど、これは表示上の都合で本当は小さいんだろうって思うじゃない? だけど本当に巨大な鍵なのよね(^^;)
取ると頭上に持ち上げる形になりますからね。 両手が塞がってしまうのでハシゴを登れなくなりますし、逆立ちなどのアクションもできません。 移動手段が大きく限られてしまいます。
離れた足場に投げたりコンベアで運んだりといった方法も取れる。 しかし鍵を手離したら一定時間で初期位置に戻ってしまうんだ。 速やかかつ確実に回収を行わねばならん。
鍵を取る前と取った後で操作性がガラッと変わるのが面白い所ね。 取りに行くまでは楽で、その後が難しくなるステージは多いわ。
エディットアイテムは矢印のパネル。
次はエディットアイテムについての説明です。 上の画像にある矢印の描かれたパネルのことですね。
画面上の好きな位置に設置するとその場所から矢印の向きに障害物のある場所まで延び、足場として使うことができる。一定時間で消えてしまうがな。
エディットアイテムの存在もあって、全体的にパズル要素が強いゲームになったわね。 1〜1.5画面の狭いマップに詰め込まれた謎解きを楽しむ感じかしら。
ステージ1の最後の戦い。タルを担いで投げ返せ。
扉と鍵の面を3つクリアするごとに、ドンキーコングとの直接対決が待っている。 毎回趣向は違うが、どれもアクション性の高いステージとなっている。
ステージ途中で挟まれる対決はコングのところに辿り着けばクリア、 ステージの最後の対決ではタルをぶつけ返して倒せばクリアになるわ。
パズルで頭を使った後に爽快なアクションを楽しめる、メリハリの効いた構成となっています(^^)
今回のコングはしつこいというか根性があるというか、何度倒してもまた起き上がっては逃げちゃうのよね(^^;)
そう、今回のコングはどこまでも逃げていく。 最初の大都会から始まり、船の中やジャングル、飛行機、砂漠、岩山に氷山など、世界を股にかけた逃走劇が繰り広げられる。
ステージ2:森
ステージ3:船
ステージ4:ジャングル
ステージ5:砂漠
ステージ6:飛行機
ステージ7:氷山
ステージ8:ロックバレー
ステージごとに特色ある敵キャラや背景になっているわ。 ジャングルのステージでは蔦を渡ったり、飛行機のステージでは風が吹いていて流されたりといったギミックも多彩よ。
ステージ9:塔
冒険の果てに辿り着くのは大きな塔です。 どうやらコングの故郷らしいですね。
コングは闇雲に逃げてたわけじゃなくてここを目指していたのね。 こんな大きな棲み処を持っていたなんて驚いたわ。 なんでペットなんてやってたのかしら(^^;)
この最終ステージでは全部のステージがドンキーステージとなっている。 長かった旅も終わりが近づき緊張感が高まるな。詳細は省くが、最後の戦いは大迫力となっているぞ。 イタズラ者をこらしめてやろう。
見慣れた土管とハテナブロック。そして…。
エンディングで判明するんだけど、コングの故郷はキノコ王国のそばにあったのよね。 マリオが初めてスーパーキノコで巨大化するシーンを見ることができるわ。
おそらくこの後マリオはこの辺りに定住するんでしょうね。 そして『スーパーマリオブラザーズ』に繋がっていくのでしょう。
これまで有耶無耶になっていたドンキーコングシリーズとスーパーマリオブラザーズの関係性が明確になったわけだな。 このあたりの繋がりを疑問に思っていたファンもいただろうし、こうして回答が示されたのは嬉しい。
だけど、事実上この記念作がドンキーコングの引退作になってしまったのはちょっと切ないわね。 シリーズ完結編の意味合いが強く感じられるエンディングだったもの。
本作から5か月後には孫の二代目ドンキーコングが主役となる『スーパードンキーコング』がスーパーファミコンで発売され、本作のコングは文字通り隠居することになってしまいましたね。
今となってはマリオと二代目への主役交代が同時に描かれた、というふうにも取れるな。 しかしマリオ相手に大暴れしたコングの雄姿はゲームをプレイした皆に強い印象を残したことだろう。
パッケージイラストやタイトルの印象でオリジナル版の移植だと思われることも多かったみたいだけど、その実ボリューム満点の新作よ。
練り込まれたマップと多彩なアクションが織りなすパズル性はもはや職人芸と言ってもいい。 短い時間でサクサクと遊べ、頭と指が心地よい感覚になれる。
音楽周りの出来栄えも素晴らしく、コミカルからシリアスまで聞き応えのある曲がたくさん揃っています。 特にエンドクレジットの曲はスーパーゲームボーイで起動するとスーパーファミコン音源に切り替わる仕掛けが施されており、満足度を高めてくれています。
マリオもこの作品の後はしばらく3Dアクションゲームの方向に進んじゃうから、ここでいったん2Dマリオは途絶えることになるのよね。 だから本作は2Dマリオの決定版といってもいい内容になっているわ。
マリオを動かしているだけでも楽しいんですよ。 ゲームボーイを持っているなら一度はプレイしてほしいゲームです。
初稿:2021年2月14日
最終更新:----年--月--日