1990年にファミコンとゲームボーイ向けに発売され、合わせて国内361万本を出荷する大ヒットとなった『ドクターマリオ』。 後にハードが世代交代しても、もう一度プレイしたいというユーザーの声は根強く聞こえていた。
その声に応えるように1997年にはサテラビューで『ドクターマリオBS版』の放送が始まり、スーパーファミコンでもプレイできるようになりました。
だけどサテラビューは加入人口がさほど伸びなかったから、実際にプレイできた人はあまり多くなかったみたいね。
そこで翌1998年にはニンテンドウパワーでの書き換えも開始されることになる。 コンビニのローソンに行くことができれば、サテラビューがなくてもプレイ可能になったんだ。
カプセルとウイルスの色を揃えて消そう。
ゲームシステムはオリジナル版からほぼ変化がありません。 赤、青、黄の3色の中から2個1組で降ってくるカプセルを操作して同じ色のウイルスとカプセルを4個以上直列で並べると、並べた色が消滅します。
これを繰り返してビンの中にいるウイルスを全て消せばステージクリアとなるわけだ。
少しだけファミコン版やゲームボーイ版と違うところもあるのよね。
細かいところがいくつか違いますね。 例えば、オリジナル版ではウイルスの数がレベル20の84匹で打ち止めになるのに対し、本作ではレベル24まで増え続けます。 最大96匹まで積み上がるウイルスは脅威ですよ!(^^;)
過去最大にまで増殖したウイルス。
とはいえ天井までの余裕は確保されているから、ゲームボーイ版に比べると対処は楽なはずだ。 しかしレベル21以降はゲームオーバーになってもやり直しができないからここまで来るだけでも大変だし、疲れからミスをすることもあるだろうな。
5の倍数のレベルをクリアした時に出るデモも変わったわ。 と言うかデモじゃなくなって、やられたウイルスの顔がアップで表示されるようになったわよ。 ちょっと不気味かも(^^;)
禍々しさアップ。
あとは、グラフィックや音質が相応に向上していますね。 色使いが明るくなって、視認性が格段に良くなりました(^^)
ファミコン版との比較。
まるで画面が輝いているような錯覚さえ覚えそうよ。 BGMは既存曲のアレンジだけど、色んな音響効果が乗ってて音の厚みが増したわ。
このスーパーファミコン版がリリースされた意義は2つあります。 ひとつは前述したとおり、当時の現行機種でプレイできるようにしたこと。 これによって往年の名作を手に取りやすくなりました。
ファミコン版やゲームボーイ版はすでに販売終了。 中古品が出回っているとはいえハードが経年劣化で動かなくなることもあるし、 そもそもスーファミしか持っていないユーザーもいるでしょうからリメイクしてくれるのはありがたいわ。
もうひとつはCPU戦を可能にしたということだ。 オリジナルではプレイヤー同士でしか対戦できなかったため、この新モードの追加は強く歓迎された。
オリジナル版の当時から欲しいと言われていた機能よね。 私も、それがあるっていうから買うことにしたのよ(^^)
クリアするとウイルスがひっくり返る。
相手となるCPUの強さは3段階から選べます。 青いウイルスがイージー、黄色がノーマル、赤がハードとなり、ルールは通常の対人戦と全く同じです。
お互いのレベルとカプセルの落下スピードを決めた上で開始し、相手より先にウイルスを全滅させるか相手がビンを詰まらせて自滅するかのどちらかが勝利条件だ。最終的には3本先取した方が総合勝利となる。
中央の王冠が勝利数を表している。
CPUはカプセルを積む速さが速くて、もたもたしてるとあっという間に全消しされて負けちゃうことがよくあるわ(^^;) 特に赤いウイルスは本っっ当に強いのよ!
対策としては、できるだけ連鎖消しをするのが有効です。 良いところにハーフカプセルが落ちれば良い邪魔になりますし、落下までの時間稼ぎにもなります。
他はまだしも、赤いウイルスと戦うなら連鎖消しのテクニックは必須だ。 十分に練習を積んでおこう。しかし敵も同じく連鎖消しをしてくるのでどうしても運の要素が大きい。負けても挫けてはいけないぞ。
本作にはパッケージ版が存在しない。 というのも当時任天堂は最新ハードのニンテンドウ64へ注力しており、1997年後半以降スーパーファミコンソフトの新作リリースはニンテンドウパワーでの書き換え用とすることで棲み分けを図っていたことが背景にある。
一部のソフトは後にロムカセット版が作られてパッケージ化したのですが、ドクターマリオはそのラインナップに加わらなかったんです。
<書き換え専用から後にパッケージ化された任天堂のソフト>
パッケージ化するしないはそれぞれの事情があるだろうけど、店頭にパッケージが並ぶっていうのはそれだけで立派な宣伝になるから、それがないっていうのは単純に認知度の低さに直結しちゃうのよね…。
ニンテンドウパワーはローソン専売の商品だったので元より露出が少なかったのですが、宣伝広告費もニンテンドウ64の方に投入されていたため存在自体が一般的に広く知られるには至りませんでした。その影響もありドクターマリオの売上は伸び悩んだようです。
売上が伸びなかったのは認知度の低さに加え、書き換え料金の高さも原因だっただろう。 と言うのも既存ソフトの書き換えは1,000円に統一されていたのに対し、書き換え専用の新作ソフトは2,000円から3,000円と高額の設定がされていたからな。
ドクターマリオも最初は3,000円で、後に2,000円まで引き下げられましたがそれでも割高感は否めませんでした。 他の書き換え専用ソフトはボリュームが大きいものが多かったので、余計にそう見えてしまったかもしれません。
ボリュームの少なさは武器でもあったんだがな。 書き換え用のSFメモリカートリッジには容量が許す限りゲームを詰め込むことができたが、ドクターマリオが必要とする容量は小さかったんだ。
何か大きいソフトを入れていると微妙に容量が余ってしまうことがあるのですが、そこに差し込むことが容易にできました。この手軽さは魅力でしたね(^^)
『せっかくだからこれも入れてみようかな』って気分になるのよね。 過去の実績から面白さは保証されているし、もう少し価格が安ければ売れ行きが伸びたんじゃないかと思うけど…。
なお本作はスーパーファミコン最後のマリオシリーズでもある。 書き換え専用タイトルという目立たない形でのリリースであり、少々寂しい幕引きとなったがCPU対戦の導入などにより高まった完成度は支持されている。 今後のアーカイブに期待したいな。
初稿:2024年09月22日
最終更新:----年--月--日