動画のパーツを組み合わせるジグソーパズルという独自のゲーム性が人気を博した『キネティックコネクション』シリーズの系譜、その最後の一般販売作品がゲームギアの『キネティックコネクション』です。
それぞれハードもメーカーも異なるが、全てに開発者として種子田定登(たねだ さだと)さんという方が関わっている。 そのためこれらが正当なシリーズ作と位置付けられているんだ。
ゲームギア版の開発・販売元はプラットフォーマーのセガ・エンタープライゼスよ。 タイトルも原点回帰したし、ファミコンの『きね子』しか知らないファンの中にはこれが続編だと気付かない人もいたかもね。
このゲームギア版はシリーズ最終作ではあるが、ハード性能の都合からボリューム面ではややスケールダウンしているところはどうしても否めない。
具体的に言うと過去作では10ずつ収録されていたステージ数が今作では7つになり、最小16ピースから最大96ピースまで選ぶことができたピースの数は16ピースで固定となりました。
本作でプレイできるステージは7つ。
まあでも、こればっかりは仕方ないと思うわ。アニメーションを分割で動かすのは容量を多く使うからステージをあまり用意できないだろうし、ゲームギアの解像度でピースを細かくするとパズルとして成立させづらくなっちゃうものね。
ですがボリューム不足を補うための工夫も施されていて、本作ではパズルを組み立てるための操作方法を3種類から選ぶことができるんです。それぞれ違ったプレイ感覚が味わえますよ。
2つのピースの場所を入れ替える『スワップ方式』。
では3つの操作方法を順番に見ていこう。 まずは『スワップ方式』だ。任意の2つのピースを自由に入れ替えることができる。
これ、すごくやりやすいわよね。過去作だと間違えて置いたピースは一旦フレームの外にどかしてからじゃないと別の場所に置き直せなくてちょっと面倒だったのよ。操作性が劇的に改善されて感動さえするわ。
本作は過去作のようにフレームの外を使うという概念がなく、ピースはあらかじめフレームの中にすべて収まっています。 これもゲームギアの小さな画面で出来るだけ大きく見せるための工夫ですね。
スライドパズル風の『15パズル方式』。
2つ目はスライドパズルのように操作する『15パズル方式』だ。 任意の1箇所のピースを抜いてからスタートできるぞ。
このゲームって色々当て嵌めてみて試行錯誤するのが定石みたいなところがあるけど、この操作方法だと闇雲に動かすことはできないわね。 事前に頭の中で完成形を想像して、できるだけ手戻りがないようにしたいわ。
縦横1列まるごとスライドさせる『ルービック・パズル方式』。
3つ目はルービック・パズル方式です。 ピースを1つずつ動かすのではなく、縦軸あるいは横軸の単位でスライドさせて揃えていきます。
ルービック系パズルはただでさえ揃えるのに苦労するのに、そこにキネティックコネクションの動画パーツを組み立てる要素を足したものだから高難度の重ね掛けなのよ!ルービックキューブを愛好する人でもこれは苦労するんじゃないかしら(^^;)
しかし、ゲームフィールの根幹であるピースの揃え方に、よくこれだけのバリエーションを持たせたものだ。
まるで違うゲームをプレイしているようなものですからね。 この仕様のおかげでステージの少なさを補うことができています。
ステージ1:『コックピット』
ではいよいよステージ紹介に移ろう。ステージ1は『コックピット』だ。 計器が多くて難しそうだが、よく見ると全て形状が違うな、あらかじめ完成図を頭に叩き込んでおくといい。
ステージ2:『オパオパ』
ステージ2は『オパオパ』。 セガのシューティングゲーム『ファンタジーゾーン』の主人公で本作へはゲスト出演となりますね。 オパオパ達は一斉に並んで行進するので、まずは向きを合わせてしまいましょう。
ステージ3:『ペンタン』
ステージ3『ペンタン』は青いペンギンと赤いペンギンが歩き回るステージよ。 これも先に上下の向きを合わせるといいわね。それと赤いペンギンは1匹しかいないから、動向を見ていればピースの繋がりを見つけやすいはずよ。
ステージ4:『クライマー』
ステージ4は『クライマー』。 男の人たちが柱を延々とよじ登ります。柱の陰影で横の向きを、登る方向で縦の向きを調整するといいでしょう。
ステージ5:『パイプライン』
ステージ5は『パイプライン』だ。 入り組んだ配管の上を青とオレンジの玉が沿っていく。 どの配管にどの色の玉が通るかは決まっているため、これもあらかじめ覚えておくといいだろう。
ステージ6:『キューブ』
ステージ6はこちらの『キューブ』。 2つの立方体がそれぞれ左向きと右向きに回転しています。 しかしどちらも同じ形のため、どちらの立方体のピースなのか判別するのが難しいですね(^^;) 高さが僅かに違うことがヒントになるでしょう。
ステージ7:『モノリス』
最後のステージ7は『モノリス』よ。 赤緑2枚ずつの石板がくるくる回りながら流れていくわ。 石板は必ず左から右に流れるというところ、そして右向きの矢印が描かれているところが大きなヒントね。
ステージ紹介でも触れたが、本作はパブリッシャーがセガになっているということでセガの他タイトルからゲスト出演が行われている。
ファンタジーゾーンは好きなゲームだから、オパオパの登場は嬉しかったわ(^^) ボックスアートでも存在が全面に押し出されていて宣伝効果も大きかったと思うわよ。
オパオパがひしめくボックスアート。
セガには名のあるキャラクターたちが多いので、他にも出演してくれたら更に楽しかったでしょうね。さすがに高望みしすぎでしょうか。
ゲームギア版ではオパオパのみだが、メガドライブ版の方では他のキャラクターも出演していたぞ。 ゲーム配信サービス『ゲーム図書館』を覚えているか?
電話回線を通じてゲームをダウンロードできるサービスよね。 月額換算800円の定額料金で好きなだけ遊べたけど、9,800円もする高額の専用モデムが必要だしダウンロードにかかる電話料金が別に必要なこともあって導入のハードルが高かったのよ。 ってことで名前は知ってるけど実際に遊んだことはないわね。
そのゲーム図書館で『きねちっく☆こねくしょん』というタイトルが配信されていたんだ。 全5ステージの2つに『ファンタシースターU』の『ネイ』が登場しているものがあった。
参考:メガドライブ『ファンタシースターU』よりネイ。
ネイはメガドライブユーザーにとって屈指の人気キャラだったわね。 できたらプレイしてみたいけど、既にサービスが終わっているゲーム図書館じゃもうどうにもならないわ(^^;)
メガドライブにはハードディスクがないのでダウンロードしたゲームを保存することができませんでした。 なので残念ですがこの作品を今からプレイすることは叶いませんね(^^;)
もはやファンでも知っている人は少なくなった幻のゲームだ。いつかまた日の目を見ることを願うぞ。
『きねちっく☆こねくしょん』について『BEEP! MEGADRIVE』1991年3月号より抜粋。
と、最後は少し脱線したが本作の紹介はこれで以上とする。 シリーズの過去作品と比べるとステージ数は減り動画も簡素になったが、新しい操作性やキャラクターゲームの要素も取り入れて更なる面白さを打ち出した意欲作だった。
名残惜しいけどこれがシリーズ最終作なのよね。 作品数を重ねてもマンネリ化せずに新要素を入れていて進化の途上にあるように思えたし、これで終わっちゃうのはもったいない気がするわ。
まだまだポテンシャルを秘めていると感じますし、後にフォロワー作品がたくさん登場することもそれを証明していると思います。 このシリーズが続いていたらどんな風にバージョンアップしていくのか見てみたかったですね。
初稿:2019年06月27日
改訂1:2024年07月04日