眠り薬と赤い水

魔法騎士レイアース ゲームボーイ|ゲームレビュー

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パッケージ裏

ROMカセット

タイトル画面

魔法騎士レイアース

◆ストーリー◆

東京に住む中学2年生の獅堂光・龍咲海・鳳凰寺風の3人は、ある日、異世界「セフィーロ」の危機を救うため、 伝説の騎士「マジックナイト」としてセフィーロの世界に召喚されました。 セフィーロについた3人は、導師「クレフ」と出会い、「エメロード姫」が悪の神官「ザガート」に幽閉されたためにセフィーロの平和が乱れたこと、ザガートを倒さないと東京に帰れないことを知りました。 創師「プレセア」に会いに行くよう言われた3人は、ザガートの部下である魔導師「アルセオーネ」の追撃を振り切り、プレセアの元へと向かいました。 無事プレセアと出会うことができた3人は、プレセアから武器と不思議な生き物「モコナ」を預り、ザガートを倒すために冒険を続けるのでした。

(取扱説明書より)
更科みどりこ

魔法騎士レイアース、原作漫画は少女漫画誌の『なかよし』で1993年11月号から1996年4月号にかけて連載されていたわ。 この頃は毎月の楽しみだったのよね〜。

なかよし1994年8月号。テレビアニメ化決定の文字が躍っている。

紫手織ガマズミ

制作はヒットメーカー集団として名を上げていたCLAMPよ。 さすがと言うべきかしら、開始直後から大人気となり早々にTVアニメ化を果たしているわ。

肴倉もろみ

連載開始から1年経たずにアニメ化されたこと、単行本にして全6巻しかないことによるエピソード不足から アニメオリジナルの物語が多く作られましたが、それらも好評を得て約1年間、全49話を走り切りました。

紫手織ガマズミ

注目したいのは、その1年の間だけでゲームソフトが7作も発売されていることね。 ファンタジーな世界観がテレビゲームに向いていたというのはあるでしょうけど、この量はなかなか圧巻よ。

肴倉もろみ

それだけ人気があったということの証左ですね。 この中から今回はゲームボーイ版の1作目を取り上げます(^^)

プロローグ

3人は広い森に迷い込んでしまう。

肴倉もろみ

なお今回はスーパーゲームボーイでプレイした画面を用意してみました。 13色対応ソフトなのでフレームが専用のものになってますね。

更科みどりこ

主人公の3人はパーソナルカラーがはっきりしてるから個性が際立つわね。色彩の配置が綺麗に見えるわ。

紫手織ガマズミ

3人は打倒ザガートの旅の途中に迷い込んだ森の中で1枚の絵を見つけるわ。 だけど不思議なことに3人とも別々の絵が見えているようなの。

3人とも同じ絵を見ているはずだが…?

更科みどりこ

そうしていると風がこの絵に書かれたサインを見つけるわ。 この不思議な絵を描いたのは…なんと宿敵のザガートですって!?Σ(゜Д゜;)

肴倉もろみ

その刹那、3人は絵の中に吸い込まれてしまいました。 いったい彼女たちはどいなってしまうのでしょうか? 知られざる魔法騎士達の冒険が幕を開けました。

残されたモコナは何を思う?

散らばった魔法騎士

3人の行き先は…。

紫手織ガマズミ

3人が飛ばされた先は、それぞれが見ていた絵の中の世界だったのよ。

更科みどりこ

事態を察した3人はそれぞれ絵の世界からの脱出を図ることになるわ。 普段は3人一緒に行動していることが多かったから一人旅は新鮮ね。

肴倉もろみ

では全員の足取りを順番に追ってみましょう。

好きな順番でどうぞ。

光の冒険

突然現れたために魔物に間違われる光。

更科みどりこ

光が現れたのは翼の生えた人達が暮らすロゼッタの町よ。 井戸の中から突然飛び出したものだから魔物と間違われて住人達に逃げられてしまうんだけど、直後に町を襲撃に来た本物の魔物を撃退することで誤解が解けるわ。

紫手織ガマズミ

町のリーダーを名乗るラデルの言うことには、ロゼッタの町は魔物に脅かされていてこれまでに幾人もの死者を出しているそうよ。 光が現れた時に住人たちが過剰に逃げ惑っていたのにはそういう事情があったのね。

ラデルの表情には悲壮感が漂う。

肴倉もろみ

ラデルさんはこれ以上の犠牲者を出せないと最後の戦いを挑もうとしていたところだそうです。 そこで光ちゃんにも助力を求めるのですが、この状況を見過ごせるような光ちゃんではありませんよね。 自分の境遇は一旦置いて魔物退治の協力を快諾しますよ。

更科みどりこ

このパートでは光の魔物退治がメインになるわ。 光はロゼッタの町を救って元の世界に帰ることができるのかしら。

海の冒険

喋る兎が現れて仰天する海。

肴倉もろみ

海さんが落ちてきたのは、元いた森とは別の森の中でした。 単身脱出を目指そうとしていたところ、魔物に追われている兎のロテックに助けを求められます。

紫手織ガマズミ

難なく魔物を倒した海はロテックに森を出る方法を聞き出そうとするけど、ロテックは知らないと言うわ。 だけど長老が詳しいかもしれないということで案内してくれることになったわよ。

更科みどりこ

ロテックは戦いには参加しないけど、海と事あるごとに繰り広げる漫才のような掛け合いが楽しいわ。

肴倉もろみ

このパートは長老に会って帰り道を踏破するのが目的になります。 新たな友人ロテックとの旅を楽しんでください(^^)

風の冒険

1人屋上で佇む風。

紫手織ガマズミ

風が降り立ったのはどこかの城の屋上よ。 脱出するには城の中の抜けて出口を探す必要があるけれど、内部は迷宮となっていて一筋縄ではいかない予感がするわ。

肴倉もろみ

さらには鍵のない扉や正しい返答をしないと先を通してくれない不気味な像など、風ちゃんの行く手を阻む謎が次々とが待ち構えています。

返答を誤ると追い返されてしまう。

更科みどりこ

他のパートとは違って協力者もいないから謎は自力で解くしかないわ。 攻略の難しさでは一番かもしれないわね。挫けずに出口を目指しましょう。

合流、そして決戦

合流した3人は外を目指す。

肴倉もろみ

全てのステージをクリアすると3人が合流し、一緒に外を目指すことになります。 ところが出口を前に何者かが立ち塞がりました。

ザガートがなぜここに?

紫手織ガマズミ

現れたのは魔法騎士の打倒すべき敵、ザガートだったわ。 3人は驚くけど、同時に様子がおかしいことにも気が付くわ。ザガートの体は何故か透けていたの。

更科みどりこ

このザガートの正体は絵を描いた時の想いが具現化した残留思念だったのよ。 分身して迫ってくる強敵だけど、どんな敵が相手だって3人の力を合わせれば怖くないわ。 こいつを倒せば感動のエンディングよ!

バトルシステム

肴倉もろみ

先にストーリーから紹介しましたが、次は戦闘システムについて見てみましょう。 本作はランダムエンカウント制を敷いており、辺りを歩いていれば戦闘が始まるようになっています。

戦闘シーンは横視点で行われる。

紫手織ガマズミ

選べるコマンドは『攻撃』、『魔法』、『逃げる』の3つよ。 『攻撃』は剣を使った通常攻撃、『魔法』はMPを消費して放つ強力な攻撃、『逃げる』は文字通り逃走して戦闘から離脱することができるわ。

剣道で鍛えた一流の剣捌き。

光が放つのは炎の矢。

更科みどりこ

魔法は本当に強力で、その威力は使ったが最後ほとんど全ての敵を一撃のもとに葬り去れるほどよ。 消費MPが多いから連発はできないんだけどね。

肴倉もろみ

とは言えHPとMPはフィールドを歩いていればすぐに回復するのであまり出し惜しみしなくても大丈夫ですよ。

更科みどりこ

それと演出の話なんだけど、こちらのレベルによって魔法のエフェクトが進化するのよ。 このあたりは凝っているわね。成長が実感できてレベル上げの楽しみが増えるわ。

レベル1とレベル5の比較。炎の矢がパワーアップしている。

原作付きゲームとして

肴倉もろみ

本作は原作漫画が連載されていた『なかよし』読者層に向けて制作されています。 つまり小学生くらいの女の子がターゲットですね。

紫手織ガマズミ

そのあたりの子達はゲーム慣れしてないことが多いから、ゲームファンというよりは原作ファンを楽しませることを主眼に置いているわ。 敢えて難易度を下げているのもそのためね。

更科みどりこ

戦闘シーンはよく動くし、メッセージウインドウにキャラクターの顔が表示されるのも当時では珍しかったわね。

アイコンの表情も多彩でころころ変わる。

肴倉もろみ

戦闘の際、掛け声や魔法の名前を叫ぶことにも驚きました。 わざわざアニメ版の声優が声を当ててるんですよね。ゲームボーイなので音質はちょっとよくないですが、ちゃんとアニメと同じ声だということはわかりましたし感動しましたよ。

更科みどりこ

マップの一見何もない場所に行っても何かしらリアクションが返ってくるから面白いわよね。 攻略上必要があるわけじゃないんだけど、探索が楽しくなるわ。

窓や行き止まりを調べるだけでも反応が返ってきたりする。

紫手織ガマズミ

ストーリー面で言うと3人を単独行動させたことで全員が均等に活躍できたのも良いところね。 こういう原作付きゲームは一部のキャラクターに出番が偏ることは少なくないけれどうまく解決しているわ。

更科みどりこ

メインストーリーが短いのは難点かもしれないけど、難易度が低いことも手伝って漫画を読み返すように繰り返し遊べるのは利点だと思うわ。作り込みのおかげで飽きないしね。

肴倉もろみ

原作らしさをきっちり表現し、ファンが楽しめるような配慮が行き届いています。 原作付きゲームとは、原作ファンに向けたゲームとはどうあるべきか、その回答のひとつを見せてくれた作品ですね。

初稿:2019年04月28日

改訂1:2024年05月11日

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