キティちゃんはサンリオを代表するキャラクターのひとりです。 比類ないスター性で人々にときめきを与え続けてくれる彼女が生まれたのは1974年のことでした。
キティが世の中に現れてからもう半世紀以上も経っているのねえ。ちっとも古びてないから、言われてみてもあまりそんな感じがしないわ。
最初の頃は名前がなかったけれど、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』から主人公アリスの飼い猫『キティ』にちなんで正式に命名されたそうよ。 キティがロンドン郊外生まれという設定はルイス・キャロルの出身に合わせたと言う説もあるわね。
そうなのね。あれ、でもアリスのキティって確か黒猫じゃなかったっけ?
『100年後も読まれる名作 ふしぎの国のアリス』(出版:KADOKAWA、作:ルイス・キャロル、翻訳:河合 祥一郎、絵:okama)よりキティ。
ですね。『鏡の国のアリス』ではアリスの飼い猫として母猫の『ダイナ』、及びその2匹の子猫として黒猫の『キティ』ならびに白猫の『スノードロップ』の2匹が登場するのですが、どうして黒猫の方の名前を採用したのかはわかっていないんです。
だけどそもそもキティという単語には子猫という意味があって、一般的にペットの名前として普及していたから特に不自然というわけではないわね。
まあ、馴染み過ぎて今さら他の名前なんて考えられないわね。結果論かもしれないけどキティでよかったと思うわ。
そこで今回は長い歴史を持つキティちゃんのゲームソフトの中から、記念碑的作品を1本取り上げたいと思います。
ふうん、それなら『ハローキティのマジカルミュージアム』かしら。 1999年に生誕25周年記念を祝してリリースされたゲームボーイ用ソフトよ。
『S』からスタートしてゴールである『G』を目指す。
こちらが本作のゲーム画面です。キティちゃんをスタート地点からゴール地点まで導くとステージクリアとなる、固定画面式のアクションゲームとなっています。
あら、ずいぶん簡単なルールね…? ちょっと気になるから試しに触らせてもらうわね。
ひたすら左右に行ったり来たりするキティ。
あっ?Σ(゜□゜;)
待って待って、十字キーを押してもキティを動かせないんだけど!
それどころか勝手に行ったり来たりして、ちっとも言うこと聞いてくれないわ!
人の話はちゃんと聞いた方がいいわよ。 この子はキティを『操作する』んじゃなくて『導く』と言ったんだから。
え!?Σ(゜□゜;)
あー…、もしかしてそういうこと?
プレイヤーはこのバーを操作する。
このゲームで動かすのはキティちゃんじゃありません。 キティちゃんは自動的に歩き回るだけで、プレイヤーが操作するのは画面上にあるバーなんです。
バーが開いてキティは進む。
Aボタンでバーの開閉ができるのね。バーが開いてキティが前に進んだわ。
しかしゴールとは反対側へ逆走してしまう。
あれ?だけど今度はゴールがある下側じゃなくて上側の方に行っちゃったわ。
キティちゃんはバーに当たったとき、バーに書いてある矢印の向きに転換するのよ。 この向きはBボタンで切り替えられるわ。
ようやくゴールへ。
ふう、やっとゴールできたわ…(´Д`;)
ギミックを使ってゴールまでの道筋を作るタイプのパズルゲームだったのね。
初めのうちは簡単ですが、徐々にステージ構成が複雑になりバーの数も増えて難しくなっていきます。 ゲーム開始時にはまず、どのようなルートでキティちゃんを移動させればいいか考えてみましょう。
やることはシンプルだけど、操作性が独特だから慣れないと苦労するしれないわね。 操作に焦りでもして一度でもA・Bボタンを取り違えたら、リカバリーが大変よ。
じっくり、冷静に考えて対処するのがよさそうね。
転がっている緑の球体が『おじゃまボール』。決して触ってはいけない。
ですが、じっくり考えてばかりもいられないんです。 ステージによっては『おじゃまボール』というものが画面内を動き回っていることがあるのですが、これは触れると即ミスになってしまうんですよ。
即ミスはちょっとばかり凶悪すぎない?(´Д`;) おじゃまボールに当たらないようにゴールできる導線を見つけなきゃいけないのね。
おじゃまボールをキティから引き離したり、閉鎖空間に閉じ込めたりして安全を確保しましょう。タイミングも大事よ。
難易度はお好みで。
オプションで難易度が選べるのね。 『かんたん』『ふつう』『むずかしい』の3段階あるみたい。
『むずかしい』モードは初めは選ぶことができないのですが、『かんたん』『ふつう』のいずれかで全ステージ踏破すると出現します。
難易度に応じてキティの歩く速さやおじゃまボールの数が変わるわ。 おじゃまボールの有無や配置の違いで同じ構造のステージでも攻略法が様変わりする作りは上手いわね。
『かんたん』ではおじゃまボールが2つだけだったステージが…。
『むずかしい』では4つに!
このステージなんかおじゃまボールが4つに増えちゃって…。見ただけで難しいってことが伝わってくるわよ(´□`;)
本作のステージは全て1画面で構成されているのですが、シンプルなルールでこれだけのバリエーションを用意しているのは素晴らしいと思います(^^)
45ステージ×3段階の難易度だもんね。 1プレイあたりの時間は短くてサクッと遊べるんだけど、単純にボリュームが多いから物足りなさは感じないわ。
ステージをクリアすると見られるイラストたち。
ステージをクリアすると、背景に隠されていた一枚絵が登場します。 これらのイラストに見覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。
あら、ほんと。どれもどこかで見た記憶があるわ。
これらのイラストは全て実際に商品展開などで使用されたデザインのものです。 ミュージアムモードでは45枚のイラストが全て解説付きで時系列順に並べられ、じっくり観賞できるようになっているんですよ(^^)
ひとつひとつが解説付き。
そうそう、このモノトーンシリーズは特に好きだったのよね。 それまでに発表されたキティはカラフルなものが多かったけど、こういうシンプルなモノトーンも似合っていて驚いたわ。
1980年代のこの時期は若い人たちの間でモノトーンがブームになっていたのよ。 キティが長年高い人気を保っていられるのは時代の流行を上手に取り込んでいることも大きいわ。
そうですね、キティちゃんの歴史を見れば世の中の流行の歴史がわかると言っても過言ではないでしょう。
キティはサンリオキャラでも特にデザインのバリエーションが多いけど、世間の流行に合わせてたからという理由もあるのね。
気に入ったデザインがあればポケットプリンタを使ってシールとしてプリントアウトすることもできるわよ。 ファン向けの心遣いに抜かりがないわね。
ポケットプリンタは持ってないけどシールは欲しい、という人にはこちらの公式ガイドブックもお薦めです。 全ステージ攻略のヒントはもちろん、全イラストが大きく紹介されていてさらにはシールも付属しているという大盤振る舞いなんですよ(^^)
小学館発行の公式ガイドブック。シール付き。
このガイドブック、ページの半分以上がイラスト紹介に割かれてるし巻末には25年間の振り返りもあるし、実質的にほぼファンブックみたいになってるわね。 攻略情報抜きでもファンなら必携なんじゃないかしら。
別の視点からの話になりますが、本作が発売された1999年は前年に続いてキティちゃんがサンリオキャラクター大賞で1位となり、2連覇を果たした年でした。 しかしそれまではサンリオの看板キャラクターでありながら1位になったことはなかったんです。
今の人気を考えるとそれまで1位になったことがないのは意外に思えるかもね。 だけど人気がなかったというわけではなくて、毎回上位に付けていて地力の高さは十分に見せつけていたわ。
当時のサンリオには一度ブームになったらあとは廃れるだけという考えがあり、あえてブームを仕掛けていなかったという事情もありますね。
だけどその後も廃れたりなんてしてないわよね。 むしろそこからさらに拡大を続けている印象があるもの。 2000年代には色んなところとコラボし始めたし、ご当地キティなんてのも根付いたわよね。
ええ、以降もキティちゃん人気は衰えることなく1998年から2009年まで12年連続1位という快挙を達成し、その後も度々1位に返り咲いていますから。
時代に合わせて進化してきたこと、それが群雄割拠で入れ替わりの激しいキャラクタービジネス業界のトップを走り続けていられる秘訣なのね。
言うのは簡単だけどさ、そんなの生半可にできることじゃないわよ(^^;)
ですがそれ確かに実践できているのが『ハローキティ』というブランドなんです。 きっとこれからも私たちと一緒に新しい時代を歩んでいってくれることでしょう。
初稿:2020年03月01日
改訂1:2020年03月08日
改訂2:2025年04月27日