眠り薬と赤い水

クイズ日本昔話 アテナのハテナ?ゲームボーイ|ゲームレビュー

パッケージ表

パッケージ裏

ROMカセット

タイトル画面

クイズゲームの流行

更科みどりこ

1990年代の初め頃、クイズゲームが大きなブームになっていた時期があったわ。 そのブームの先駆けになったと言われているのが1989年11月に稼働開始したアーケードゲーム『アドベンチャークイズ カプコンワールド』よ。

紫手織ガマズミ

クイズゲームというジャンル自体はもっと早くから存在していたけれど、基本的にはクイズの問題を出題してプレイヤーが解答していくシンプルなものだったわ。 カプコンワールドはそこに多くの新機軸を取り入れて人気作になったのよ。

ピータン

それまではストイックで無機質な印象のゲームが多かったこのジャンルに世界観を与え、すごろく形式のマップを用いて様々なイベントを交えストーリーを進めていくこの作品は実に新鮮に感じられたものだ。

肴倉もろみ

クイズゲームをプレイする上で必要なのは知識と好奇心です。 反射神経やテクニックを要せずとも楽しめることからその人気は普段ゲームをやらない人達にまで拡大しました。 この時期には多くのソフトメーカーがこぞってクイズゲームをリリースしています。

更科みどりこ

今回取り上げる『クイズ日本昔話 アテナのハテナ?』もそんなブームの渦中に発売された1作よ。 前述した『カプコンワールド』の影響を色濃く受けた作りになっているわ。

ストーリー

◆ストーリー◆


ある日、サトルくんとミキちゃんがいつものように絵本を読んでいると、突然本から得体の知れない生き物が飛び出してきました。

サトル「わーっ!」
ペロン「とつぜんゴメンね!ぼくの名前はペロン、絵本に宿る妖精さ!
    ・・・・・・だけど、こうしてキミたちの前にあらわれたのは、頼みごとがあるからなんだ。
    じつは、この本はいま、悪い悪魔によって秩序が失われているんだ。昔話の主人公たちが、悪にそまって悪いコトばかり
    しているんだよ!!ボクは、なんとか彼らを元に戻したいんだ!」

サトル「そんなコトを言われても・・・・・・」
ペロン「だいじょうぶ!本の世界に通じる穴はボクが作るから、そこへ飛び込んでくれ!」
サトル・ミキ「ええっ!!そんなあ!!」
ペロン「本の世界は、いま悪い妖怪でいっぱいだから、気をつけてねェー!」
サトル・ミキ「うわーっ!たすけてーっ!」

ペロンに言われるまま、ついに絵本の中に入ってしまったふたり。はたして、サトルくんとミキちゃんは絵本を
元の楽しい世界にすることができるのでしょうか!?小さなふたりの冒険の、はじまりはじまり・・・・・・。

(取扱説明書より)
肴倉もろみ

今回は悪い妖怪がいるということなので危険ですが、絵本の中に入るのって子供の頃なら憧れちゃいますよね。 きっと楽しい冒険になると思うんですよ。

紫手織ガマズミ

だけどペロンは強引な子ね。 サトルくんもミキちゃんも、ちっとも状況を呑み込めていないままなのに本の中に送り込むんだもの。

更科みどりこ

よほど焦っていたんでしょうし、仕方ないところもあるわよ。 …って、最初は思っていたんだけどね…。

基本システム

サトルくんとミキちゃん、どちらかを選んで進める。

ピータン

サトルとミキ、どちらでプレイするか選んだらゲームスタートだ。 最初に訪れたのは『花さか爺さん』の世界のようだな。

肴倉もろみ

システムは基本的に『カプコンワールド』のものを踏襲しています。 サイコロを振り、出た数字の数だけすごろく型のマップを進み、停まったマスに応じたイベントが発生するというのが雛型ですね。

更科みどりこ

このゲームの場合はサイコロを振るんじゃなくて地蔵の笠をめくるんだけどね。 3尊のお地蔵さんから1尊を選ぶと笠がめくれて数字が現れるの。 その数字の分だけマスを進むことができるわ。

地蔵の笠をめくり、すごろく風のマップを進んでいく。

紫手織ガマズミ

止まったマスの種類に応じて各種のイベントが発生するわ。 妖怪とクイズで戦うマス、地蔵とジャンケンして勝つとアイテムがもらえるマス、 3つのつづらから1つ選んでアイテムをもらえるマス、クイズに正解すると体力を全回復できるすずめのおやど、 これらを掻い潜ってステージのボスを目指しましょう。

強力な妖怪たちが行く手を阻む。

ピータン

妖怪に対峙するとクイズでの戦いが始まる。 正解するとダメージを与えることができ、ヒットポイントを削りきると勝利となるが、 正解できなければ逆に自分がダメージを受け、ヒットポイントが尽きるとそこでゲームオーバーになってしまうんだ。

肴倉もろみ

クイズのジャンルは幅広く、芸能、理科、漫画アニメ、車などのジャンルから約2,100問が用意されています。 出題形式は4択クイズを基本としてその他にもシルエットクイズやブラインドクイズ、フラッシュクイズなどバラエティも豊富です。

更科みどりこ

プレイする前はてっきり昔話に関する問題だけなのかなって思っていたんだけど、別にそんなことはないのよね。

紫手織ガマズミ

多少マニアックなジャンルもあるけど、全体的に一般常識を問う問題が多いから気負わず遊べるわよ。

ボスとの対決

『お前もカレキのようになるがいい!』

ピータン

各ステージの最後ではアクマに心を奪われてしまった昔話の主役たちと対峙することになる。しかし、操られているとは言え禍々しい姿だよな。 悪魔化した彼らの姿も本作の見どころと言えるだろう。

更科みどりこ

彼らは雑魚妖怪よりもノルマが高くて勝つのが大変なの。 ゴール前に設置されているすずめのお宿でしっかり体力を回復しておきたいわね。

すっかり毒気が抜けた花咲かじいさん。

肴倉もろみ

クイズ対決に勝利すると彼らは正気に戻り、次に行くべき世界を指し示してくれます。 こうして7つの絵本の世界を元通りにしていきましょう。

独自の個性

紫手織ガマズミ

はじめに言ったけど、本作は『アドベンチャークイズ カプコンワールド』のフォロワー。 同時期に似たタイプのゲームが複数リリースされているから埋没するおそれもあったけど、本作は独自の個性で存在感を発揮していたわ。

ピータン

要因のひとつは子供向けにしたことだな。 昔話という身近なモチーフを使って親しみやすくし、クイズの難度を抑えめにしてプレイの意欲を失わせないようにしている。

肴倉もろみ

ゲームオーバーになってしまった際の再開機能も充実しており、コンティニューやパスワードを用いれば何度でも各章のはじめからやり直せます。 またボスと戦う前にはすずめのお宿で残り体力を全回復するチャンスもあり、遊びやすくする配慮が光ります。

更科みどりこ

だけど、それらのフレンドリーな要素はこのゲームの真の姿を覆う隠れ蓑にすぎないわ。 本作が後世まで語り継がれるようになった理由、それは終盤に巻き起こる衝撃的なストーリー展開にあるのよ!本当にビックリしちゃうんだから!(^^;)

肴倉もろみ

ここから先はストーリーの核心について話すので、知りたくない方は読まないようにお願いしますね。

衝撃的な結末

悪魔の力で竜変化している竜の子太郎を正気に戻すと・・・。

肴倉もろみ

第6話をクリアしてここまでに花咲かじいさん、浦島太郎、かぐや姫、桃太郎、金太郎、竜の子太郎を正気に戻したサトルくんとミキちゃんですが、2人は突如として現れた不思議な穴に吸い込まれてしまいます。

絵本の世界とは違う、異質な冷たい機械の感触。

ピータン

そこは今までいた世界とは明らかに違う機械仕掛けの無機質な空間だった。一体ここはどこなのか? 一体何が起こったのか?疑問に答えてくれる者は一番奥の部屋で待っていた。

どうして、ペロンが…?

紫手織ガマズミ

そこにいたのはペロンよ。 こちらは置かれた状況が理解できずに混乱するばかりだけど、ペロンは構わず襲い掛かってくるわ。 その目はつり上がり口は裂けて、ペロンも悪魔に操られてしまったのかとプレイヤーは疑うことでしょう。

ペロンが醜悪な化け物に!?

ピータン

なんとかペロンに勝利すると、ペロンは思いもかけぬ真実を明らかにする。 悪魔の正体はペロン自身であったということ、ペロンは実は宇宙人であり、彼らの星は文明が発達して自らの体を全て機械化していること・・・。

更科みどりこ

そして生身の体が恋しくなったペロンは地球で子供たちを攫って脳を分離し体を奪うことにしたこと、 絵本の世界は子供たちを誘い込むためにペロンが作り出した偽りの世界だったということを・・・。なんてことなの・・・(゜Д゜;)

敗北し、機械の体から煙を噴き上げるペロン。

肴倉もろみ

この後2人は無事にもとの世界に帰ることができ、そこでエンディングを迎えることになるのですが、きっとプレイヤーの心に残ったのは達成感とは違う感情でしょう(^^;)

紫手織ガマズミ

予想外な展開に思考が追いつかないこともあるでしょうけど、 あの可愛いかったペロンが内部構造剥き出しの醜悪な姿になったり、誘拐されて脳を取り出されそうになったりと、 純粋な気持ちでプレイしていると心に痕を残しかねないわ。

ピータン

この脚本のうまいところは、主人公の2人とプレイヤーの境遇をうまく重ねたことだ。 彼らは絵本の世界という子供が気に入りそうなシチュエーションに誘い込まれた。 一方プレイヤーはパッケージなどの印象から、このゲームを子供向けのほのぼのとしたゲームだと思い手に取ったことだろう。

更科みどりこ

どちらも油断していたでしょうし、狙い通り誘いこまれているのよね。このあたりのシンクロ感が感情移入を深めているんだけど…そのおかげでトラウマも倍増したわ(´Д`;)

イメージキャラクター就任

肴倉もろみ

このように存在感を深く印象付けたペロンですが、後年なんとアテナのイメージキャラクターになります。 この抜擢に本作のプレイヤーはさぞかし驚いたことでしょう。

ピータン

そりゃ驚くさ。 見た目が可愛いとはいえ、ここまで重大な事件を起こした悪役キャラクターだからな。 アテナは何を思ってペロンをマスコットに選んだんだろうか…。

紫手織ガマズミ

活動期間は長くないけれど、シューティングゲームを自作するコンストラクションソフト『デザエモン』シリーズのうち『デザエモン2』と『デザエモンkids!』では作中に登場する機会を得たわ。 こちらで見たことのあるプレイヤーも多いでしょうね。

更科みどりこ

特に『デザエモンkids!』の方はマスコットの役割に留まらず、作中でゲームの作り方をフルボイス付きでレクチャーする大役を担っているわ。 だけどまたどこかで裏切るんじゃないかと気になっちゃって、説明が全く頭に入らなかったのよね(^^;)

マスコット化に伴い体色が緑色と判明した。

ゲームの作り方をフルボイス付きで解説してくれる。

肴倉もろみ

もちろん『デザエモンkids!』におけるペロンは裏切ることなく献身的に制作をサポートしてくれます。 ですが幼少期に『アテナのハテナ?』をプレイしていたプレイヤーにとってはかつて受けたショックを否応なく思い起こさせる罪作りな起用でしたね(^^;)

初稿:2009年09月25日

改訂1:2016年06月12日

改訂2:2019年01月02日

改訂3:2025年03月20日

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