任天堂からゲームボーイが発売されたのは1989年4月のことよ。 ファミコンの認知度が高まっていたから『持ち運びできるファミコン』という表現で言われることもあったけど、 実際のところゲームボーイはファミコンじゃなくて、それ以前からの任天堂の主力商品であるゲーム&ウォッチの系統に属するものね。
参考:ゲームウォッチ マルチスクリーン『ドンキーコング2』
ファミコンブームの影響でゲーム&ウォッチの人気が沈静化していったから、次に取り掛かったのがROM交換方式の携帯ゲーム機なのよね。
言うは易いけど難しい挑戦よ。 当時の技術で安価に携帯ゲーム機を作るためにはコスト面で幾つものハードルがあったの。
持ち運びできるくらい小型にしないといけないですし、モニタを付ける必要がありますからね。 それでいてファミコンより高価にすることはできませんし、きっと開発は大変だったでしょう。
液晶画面をカラーじゃなくてモノクロディスプレイにしたのもコスト削減が理由だったんでしょ?
それも理由のひとつではあるわね。 カラー液晶のデメリットは他にも消費電力が大幅に上がったり、明るい場所では視認性が下がる等の技術的問題があってこの時点では不採用となったわ。
ゲーム&ウォッチの後継なので価格を抑えることと持ち運んで遊べることを優先して総合的なメリットを採っていったんですね。
そんなゲームボーイのローンチタイトルは『スーパーマリオランド』、『ベースボール』、『役満』、『アレイウェイ』の4本よ。
ファミコンで実績のある横スクロールアクションのマリオを筆頭に、定番のジャンルがラインナップされていますね。
今回取り上げるのはこのうちの『アレイウェイ』ね。タイトルからはわかりにくいかもしれないけどジャンルはブロック崩しよ。
整然と並んだブロックを全て壊せばクリアーだ。
本作は左右に動かせるパドルにボールを反射させてブロックにぶつけて破壊していく、オーソドックスでシンプルなブロック崩しになっているわ。
ボールを画面外に落下させないように打ち返しながら配置されているブロックを全て壊すとステージクリアとなります。
ステージ数は通常ステージ24面とボーナスステージ8面の計32面あるわ。 ブロックが左右に動いているステージや手前にずんずんと迫ってくるステージなど、ステージ構成に工夫が見られるわね。
ブロックが左右に流れるステージの例。
ステージ構成と言えば、ボーナスステージのモチーフにマリオシリーズのキャラクターが登場しているのもポイントかしら。 マリオ、クリボー、ノコノコ、ゲッソー等々、お馴染みのキャラクターが大勢出演しているわ。
マリオシリーズのキャラクターたちが登場する。
なんと最終ステージのモチーフはクッパ大王なんですよ 長い戦いの最後にまみえるには申し分ない相手ですね(^^)
最終面で待っていたのはマリオの宿敵クッパ大王。
クッパが出てくるといよいよ最後だって思うし、クリアした時の達成感も違ってくるものね。 任天堂だからこそできるズルい起用だと思うわ(^^;)
本作は中断セーブやステージセレクトの機能がないから全ステージクリアのためには本当に長い時間がかかるわ。 長時間プレイの合間にマリオキャラクターが出てくるのはマリオファンにとって良い塩梅の息抜きになっているんじゃないかしら。
全ステージクリアは大変ですが、時間に余裕があったらぜひチャレンジしてみてほしいですね(^^)
ブロック崩し自体はビデオゲーム黎明期からあるけれど、 熱中度は高いし、短時間で手軽に遊べるからゲームボーイに適したジャンルよね。
当時としても内容の古さは否めないところもありますが、コンシューマでこれだけシンプルなブロック崩しのゲームは他にないのでその点では貴重だと思います。無機質で硬質で寂然とした電子の世界をたっぷり堪能できますよ(^^)
ゲームボーイはゲーム&ウォッチの後継機だという話をしたけれど、コンセプトも継承しているわ。 手軽に暇つぶしができて、ともすれば熱中もできる。 その理念を表すために本作がローンチに選ばれたのね。
完全クリア後にはマリオからの祝福が。
初稿:2019年04月21日
改訂1:2024年06月08日