1990年頃、サンリオは新たなキャラクタービジネスの一環として自社キャラクターを使ったゲームソフトの販売を画策します。
だけどそれまで手掛けた分野とは畑違いのゲーム業界、甘い考えじゃやっていけないもの。 サンリオはゲームビジネスに注力する専門の子会社キャラクターソフトを立ち上げて、実開発はゲーム製作の実績が十分な実力派集団に委託する体制を採るわ。
社内に部門を作るんじゃなくて子会社を作るやり方はサンリオらしいわね。 このキャラクターソフトが初めにリリースしたのがファミコンの”サンリオカーニバル”よ。
本作はサンリオの人気キャラクターが多数登場することで注目を集めました。 ひとりやふたりではなく、たくさんの人気キャラクターが一堂に会することができるのは自ら版権を保有しているゆえの強みですね。
それまでにも他社から版権もののゲームは色々と出ていたけど、原作の世界観からかけ離れているものも少なくなかったのよね。 その点サンリオは自ら制作を手掛けるっていうから安心感が違ったわ。
サンリオキャラクター柄のブロックを使ったパズル。
ジャンルは落ちものパズルよ。 このジャンルは”テトリス”の登場以来、一気にポピュラーになったわね。
この落ちてくるブロックの絵がサンリオキャラクターを模しているってわけ。 キティ、たあ坊、けろっぴ、ハンギョドン、ぽこぽん、苺の総勢6キャラが出演しているわ。
この選出にあたっての当時の印象ですが、キティちゃんはサンリオの看板ですし、たあ坊はサンリオキャラクター大賞2年連続優勝中、けろっぴは大ブームに沸いていたニューフェイス、ハンギョドンとぽこぽんは安定して高い人気がありました。そして苺はサンリオの象徴ですから、とても納得感がありました(^^)
ルールはわかりやすいわ。 2個1組で降ってくるブロックを操作して、同じ種類のブロックを縦・横・斜めのどの方向でもいいから3つ以上並べるの。 そうするとブロックが消えてスコアが加算されるのよ。
たあ坊の斜め消し。
で、消しきれずにブロックが上まで積み上がってしまったらゲームオーバーよ。 ゲームモードによって細かいルールの違いがあるけど、それは都度説明していくことにするわね。
ステージごとに決められたテーマ(条件)を達成しよう。
さっそく本作のメインモード、『ステージをクリア』から行ってみましょう(^^)
このモードではステージごとに『テーマ』という名のクリア条件が用意されているわ。 このテーマを達成するのが目的になるわね。
テーマの内容は連鎖数やスコア、テクニカルラインの発生数など様々よ。 ステージ数は6つあってどれでも自由に選べるわ。
ステージ1、2は地道に消していけばクリアできると思います。 ステージ3から個別に攻略法を見ていきますね。
ステージ3。
ステージ3のテーマは『ダブル以上を10回』です。 ダブルとは同時に2ライン消すことです。縦2列でも横2列でも斜め2列でもいいですし、縦横斜めの複合でも構いません。
縦に2列パターン。
例えばこんなのや…。
横と斜めの複合パターン。
こんなのが考えられるわね。 落ちてくるブロックの組み合わせが限定される2列パターンよりも、1種類のブロックだけで作れる複合パターンの方が作りやすいと思うわ。
ステージ4。
ステージ4のテーマは『5長連以上を5回』。 5長連は1列に同じブロックを5個並べて消すことを言うわ。
縦に5つ並べるのは難しいので、横か斜めに並べるようにしましょう。 真ん中を空けて左右に2つ同じ種類のブロックを置き、最後に真ん中を埋めれば完成です(^^)
長連は横か斜めで。左右を組み立ててから真ん中でジョイント。
ステージ5。
ステージ5のテーマは『1連鎖以上を10回』だわ。 ひとつのラインを作って、そのブロックが消えて余ったブロックが落ちた先で別のラインができることを連鎖と言うのよ。
口で言うより見てもらった方が早いわね。
連鎖の一例。
こちらの画面ではキティちゃんを消したことによって落下したぽこぽんが横のラインを形成していますね。 こうして次の連鎖が1回できることを1連鎖と言い、2回なら2連鎖、3回なら3連鎖と数えます。
ステージ6。
ステージ6は2つの条件があります。 『トリプル以上を3回』そして『50ラインをクリア』なのですが、ここで難しいのはトリプルの方ですね。
トリプルはいろんな作り方があるけれど、比較的作りやすいのは縦、横、斜めを同時に作ることかしら。
トリプルの一例。
これ、慣れないとかなり大変なのよね。 トリプル作りに気を取られて関係ないブロックの処理をおろそかにしてたら手詰まりになるのはありがちよ。 …と言うか私のことなんだけど。このステージはまだクリアできてないのよね(´Д`;)
ああ…、ということはみどりちゃんはステージ7以降は未プレイなんですね。
え、ステージ7って?(゜Д゜;)
これステージ6までなんじゃないの?モード選択した後の画面にはそう書いてあったはずよ?
書いてる。
全く甘いわね、それはあくまでも表ステージの話にすぎないの。 ステージ6をクリアすると歓喜に酔う間もなく唐突に明かされる隠しコマンドがプレイヤーを裏ステージへと誘うわ。
裏ステージへの案内状。
裏ステージの存在を知ったプレイヤーは例外なく知ることでしょう。 ここまではほんの小手調べに過ぎなかったのです…。
2コントローラーのAとBを押したままゲームを始めると出現。
ほ、本当に出てきたわ…Σ(゜Д゜;)
こんなの、ぜんっぜん知らなかった!
裏ステージは表ステージの応用編となるので詳細な攻略は割愛しますが、どれも難しい条件ばかりです。
基本的な作り方は覚えたけれど、2連鎖や3連鎖それにトリプルを何個も作らされるなんて聞いただけで震えがくるわね(^^;)
裏ステージの真価は『レベル』の高さ、すなわちブロック落下スピードの速さにあるわ。 本作にはブロックを10組落とすごとにレベルが上がるようになっているのだけど、裏ステージは初めからレベルが高い状態でスタートするのよ。
複雑な条件と高速落下の掛け合わせは難易度を何倍にも引き上げます。 プレイしてみると表ステージとの落差に驚きますよ(^^;) クリアするつもりなら正確な操作を身に着けるためにじっくりと練習して腕を磨く必要があるでしょう。
最後のステージ12をクリアできたらエンディングとスタッフクレジットが流れるわ。 ここだけで聴けるエンディングテーマは必聴よ。
しっかりエンディングもあったのね。 BGMも気になるし、そう聞いたら改めてチャレンジしたくなったわ(^^)
練習用の大きいブロック。
”入門コース”は初めてプレイする人に向けた練習用のモードです。 横5マス、縦6マスの小さなフィールドでブロックの動かし方や消し方に慣れることができます。
フィールドが小さい分、ブロックが大きく表示されているのが特徴ね。 こんなに大きなブロックを動かせる落ちものパズルはなかなかないから新鮮なのよ。
大きいということは解像度が高いということもあるので、みんなの可愛さも割り増しなんですよ(^^)
このモードでは右下にブロックを消した回数が記録されるわ。 50回消すごとにゲームオーバー時のメッセージが変化する仕組みになってるのよね。
確か、最高200回まで変わるんだっけ?
ですね。 詳しくは0〜49回、50〜99回、100〜149回、150〜199回、そして200以降の5段階でメッセージが変わります。 200回も消せたらもう初心者は卒業と言っていいですね(^^)
0〜49回と50〜99回の画面。メッセージの変更に合わせて背景のキャラクターが増えていく。
そうそう、入門コースは練習用ということとフィールドが狭いということを踏まえて、出現するブロックが通常の6種から4種に減っているわ。出てくるのはキティ、けろっぴ、ハンギョドン、ぽこぽん。削られているのは苺とたあ坊よ。
苺は普通の果物だからまだわかるけど、どうしてたあ坊だったのかしらね。ファンが泣くわよ(´Д`;)
推測ですが、ぽこぽんと並んだ時に色味が似ていて少し紛らわしかったのかも知れません。 顔は全然違うのに間違えちゃうことがあるんですよね(^^;)
この2人はカラーパレットが共通している。
当時ハンギョドンより人気上位だったマロンクリームが出演していないのも同じ理由かもしれないわね。 色合わせのゲームだから視認性は大事だもの。本当の理由はどうあれ、誰を残すかは難しい判断だったと思うわ。
まあ、視認性だけの話をするならキャラクターのスキンをカラーブロックに変えれば結構見やすくなるんだけどね(^^;)
実はキャラクターブロックとカラーブロックの切り替えができるのだ。
確かにそうなんですけど、それだとサンリオが関係ないゲームになっちゃいますから…。 このゲーム最大のセールスポイントを否定してるみたいで心情的に使いにくいところです。 便利ですけど。便利なんですけどー(´Д`;)
ふふ、サンリオファンの度合いを試されているのかもね?
どこまで記録を伸ばせるか。
こちらはゲームオーバーになるまでひたすらブロックを消してゆくエンドレスなモードです。 フィールドの大きさは『ステージをクリア』と同じで、本作標準の横7マス縦13マスになりました。
このモードでは消した数だけじゃなくてスコア、レベル、作ったテクニカルラインの数が記録されるわ。
テクニカルラインの作り方を練習するなり、自分の限界を目指すなり、自由にプレイするといいわ。
2種類の対戦ルールが用意されている。
2人でプレイする対戦モードね。 本作は他で見ないような一風変わった対戦システムを敷いているから注目してほしいところよ。
キティVSミミィの姉妹対決。
1Pと2Pでフィールドを左右に分けて対戦するという、一見するとオーソドックスなタイプなのですが、ひとつ大きな特徴があるんです。 こちらの映像をよーく見ていただきたいのですが。
1P側が落下させるぽこぽんに注目。
同じブロックがきっちり3個以上並んだらそれが相手のフィールドにあるブロックであってもラインを作って消すことができるってわけ。 この手のゲームで直接相手側に干渉できるのは珍しいわね。
相手の配置を崩して妨害したりはもちろんだけど、上手くいけば連鎖を奪うこともできちゃったりね。 これが綺麗に奪われると悔しいのよ!(^^;)
他の落ちものでは見かけない面白いシステムだと思います(^^)
それともうひとつ。 キャラクターブロックとカラーブロックのどちらを使うかでルールが少し変化するからこれも合わせて紹介するわ。
カラーブロックの方はダブル・トリプル・フォールド・連鎖・長連のテクニカルラインを作ると相手のノルマが増えてしまうのよ。それと、相手の残りノルマを50以上にしたら自分のポイントになる特殊ルールもあるわ。
カラーブロックによる戦い。
テクニカルな消し方をすると有利になるタイプのルール設定ね。 だけどこのモードはフィールドが縦に分割してるから普段よりもブロックを組むのが難しくなるわ。 それなりに腕に覚えがあるプレイヤー同士でのプレイがお薦めね。
キャラクターブロックの方はテクニカルラインによる特殊ルールはないため、淡々と早消しすることになります。 シンプルな攻防がお好みならこちらをお薦めしますよ(^^)
以上、サンリオカーニバルの内容をご紹介しました。 ブロックの絵柄という形式ではありますが、サンリオキャラクターが大勢出演する華やかな絵作りの作品でしたね。
ルールはわかりやすくて操作性もいいし、音楽だって聴き飽きない。 良く出来たゲームよね。
サンリオファンがゲーム慣れしていないことを想定して『入門コース』を作って敷居を下げているし、そうかと思えば『ステージをクリア』では後半に行くにつれゲームファンも舌を巻く難しさを見せるわ。 だけど極端すぎるということはなくて、徐々に目標を高めて上達を感じられるようにしているのよね。
対戦モードでは他に類を見ない画期的なシステムが楽しめますし、サンリオファンもゲームファンもみんなまとめて満足させようという意気込みが感じられます。
キャラクタービジネスのエキスパートとゲーム制作のエキスパートが組んだ強みを遺憾無く発揮したらこんなゲームができるのね。 キャラクターソフトの門出を見事に飾った良作だと思うわよ。
カセットと一緒に封入されているシール。
ゲーム内容には直接関係しませんが、キャラクターソフトのゲームにはこうしたオリジナルのシールが同封されているのも嬉しいポイントです(^^)
あー、確かにあったわねこんなの。ノートや筆箱に色々と貼っていた覚えがあるわ。
でも一番貼られていたのはこのゲームのカセット本体じゃないかしらね。 おかげで中古ショップにはシールがデコレーションされたカセットが持ち込まれては並べられていたものよ。 これも当時ならではの話ね。
初稿:2023年9月22日
改訂1:2024年05月08日