ファミコンローンチ3タイトルの1本がこちらの『ポパイ』です。 アメリカンコミックのヒーローを起用したゲームで、こちらも『ドンキーコング』や『ドンキーコングJR.』と同様にアーケードゲームからの移植となっています。
ポパイはセーラー服姿にコーンパイプがトレードマークの船乗り(水兵)だ。 少し小柄だが腕っぷしは強く、好物のほうれん草を食べると超人的なパワーを得ることができるんだ。
その『ポパイ』と恋人の『オリーブ・オイル』、そしてポパイの恋敵の大男『ブルータス』。 原作は基本的にこの3人を中心に繰り広げられるコメディ漫画なのよ。
日本でも1950年代からテレビアニメが複数のTV局で度々放映されていたんだけど、アーケード版やファミコン版が出た1982年〜1983年頃の放送局は全国区のNHK総合だったことも手伝って大きな知名度を得ていたわ。
子供に野菜を食べさせる時に引き合いに出されることもありましたね。 『ほうれん草を食べないとポパイのように強くなれない』ってお母さんに諌められた子も多かったようですよ。
ハートをばらまくオリーブ。
本作は全3ステージの構成となっていて、各ステージともに画面上方にいるオリーブが投げるアイテムの全回収がクリア条件になっているわ。
1面の舞台は港のドックで、オリーブが投げるアイテムはハートマークだ。 ブルータスの妨害をかわしながら拾い集めよう。 しかしアイテムは地面に落ちてしばらくすると消えてしまい、一つでも取り漏らしてしまうとミスになるから悠長にしてはいられない。
ポパイはパンチを打つことが出来るんだけど、このパンチじゃブルータスを撃退することができないわ。 パンチはギミックを動かしたりブルータスの投げる酒瓶を破壊したりするのに使うのよ。
ポパイは時折出現する『ほうれん草』を取って食べると体が紅潮してパワーアップし、ブルータスを勢いよく弾き飛ばせるようになります。 この一発逆転の爽快感がポパイの醍醐味ですね(^^)
ほうれん草パワーで吹き飛ぶブルータス。
ステージ2のアイテムは音符。
ステージ2は夜の街。オリーブが落とすのは16分音符よ。 夜空にオリーブの歌声が響いているようで情景にマッチしているわね(^^)
このステージの特徴は画面左下にあるジャンプ台、そして左上にいる赤ん坊のスウィーピーでしょう。 彼はデモニアという国の王族に生まれたのですがとある経緯により捨て子となり、ポパイに拾われて養子として迎え入れられました。
赤子にして波瀾万丈の人生を歩んでいるな。 スウィーピーが好奇心も旺盛で、危険な場所へ出歩いては騒動を起こすトリックスター的な役割を担うことも多い。 本作中では風船で空中に浮いているのだが、これも彼の好奇心が成せる業なのだろう。
落ちたりしたら怪我では済まない状況なのだから、ポパイも親としてオリーブに構っている場合じゃないと思うのだけどね。 ジャンプ台を使えばスウィーピーの所に行くことができるわよ。
スウィーピーのもとへ大ジャンプ!
だけど本作でのスウィーピーはあくまでボーナスキャラクターとしての扱いになっていて、救助することはできないのよね。 そのかわり大ジャンプでタッチしたらスコアが500点加算されるわよ。
ハゲタカに連れ去られるオリーブ。
ステージ3の舞台は帆船だ。ハゲタカのバーナードにさらわれたオリーブを救出するため、オリーブが落とす『HELP』の文字を集めよう。
このステージではブルータスだけでなくバーナードとも戦わなければならないわ。 バーナードは滑空して体当たりで向かってくるのだけど、位置取り次第ではブルータスと挟み撃ちにされてしまうわよ。
単純に敵の数が増えたことで混乱しちゃいそうになるんだけど、実はバーナードの方はパンチで撃退できるのよ。 このことに気が付けば対処は難しくないわね。
顔がひしゃげるバーナード。
とは言え、足場の配置の関係からルート取りが制限されるステージなので難しさは本作屈指ですね。 ノーミスを目指すならほうれん草の使いどころが特に重要になってきます。
海の魔女シーハッグ登場。
ステージ3をクリアすると2週目に突入する。
2週目では新たに海の魔女『シーハッグ』が登場し、ドクロを投げて妨害してくるようになる。
ドクロは動きが読みづらく、ブルートの酒瓶と挟み撃ちされると厄介なんだ(´Д`;)
シーハッグのドクロ攻撃。
ドクロはパンチで打ち落とせるのですが、ひっきりなしに投げてくるので対処しきれないことも多いんですよね。 『いじわる魔女』の呼び名は伊達ではありません(^^;)
シーハッグ自体は倒す手段がなくてずっと居座るから尚のことね。 それというのも、ポパイは女性を殴らない主義なのよ。だから反撃することはできないわ。
その設定は原作からあるものだけど、難易度を上げるために上手く取り入れられているわね。
基本的にはブルータスから逃げ回りながらアイテムを集めるディフェンシブなゲームですが、ほうれん草による一発逆転が可能な点がアクセントを与えてますね。 原作のキャラクター性をゲームシステムに有効に取り込んでいます(^^)
キャラクターゲームとして矛盾や破綻を感じない丁寧な作りが好印象だ。 BGMにはアニメ版のテーマ曲が使われているし、まさにポパイのために作られたゲームだな。
余談になるけれど、任天堂の『ドンキーコング』は当初ポパイのキャラクターを使って製作される予定だったのよ。 結局ライセンスが取れずにオリジナルキャラクターを使うことになって、そこで考えられたのがドンキーコングやマリオ達なの。
ポパイ、ブルータス、オリーブの立ち位置がそのままマリオ、ドンキーコング、レディに当てはまるのはそのためだな。
まあコンピューターゲームにキャラクターをライセンスするなんてまだ例のない時代だし、任天堂も実績の少ない頃だしね。 だけどドンキーコングの成功によってライセンスを取得できることになって、また別のゲームとして作られたのが本作のオリジナルにあたるアーケード版なのよ。
もし当初からポパイのライセンスが取れていたなら、ドンキーコングやマリオ達は生まれなかったかも知れません。 そう思うと『ドンキーコング』、『ドンキーコングJR.』、『ポパイ』の3作がファミコンと同時発売タイトルに選ばれたのには縁を感じてしまいますね。
初稿:2018年09月10日
改訂1:2024年06月08日