ファミコンローンチ3大タイトルの『ドンキーコング』、『ドンキーコングJr.』、『ポパイ』。 今回はこのうち『ドンキーコングJr.』について取り上げたいと思います。
本作のオリジナルは1982年に稼働開始したアーケード版だ。 前年に稼働した『ドンキーコング』の続編となっており、ゲームセンターなどでは2作品の筐体を合わせて置いている店舗が多く見られたな。
それに加えてファミコン版は同時発売だったし、なにかと2作合わせて1セットのような扱いをされることが多いわね。
そのことはストーリーが直接つながっていることも影響していると思うわ。 本作はマリオがドンキーコングを凝らしめた後、檻に囚われたドンキーコングを開放しようとするJr.の物語なのよ。
そう、本作の主役はドンキーコングの息子であるドンキーコングJr.です。 すなわち敵役は前作で主役を張っていたマリオであり、マリオに捕らわれた父親のドンキーコングを助けるために奮闘することになります。
マリオが敵役というのは珍しいところだな。 すっかりヒーロー然とした現代ではできない演出だろう。 しかしこういった演出が因縁の深さを強調していて面白い。
父親を助けようと奮闘するジュニアが健気でちょっと可愛いものだから、相対的にマリオの悪役度が増してる気がするわ(^^;)
マリオの立場からすれば前作であれだけ暴れたドンキーコングを世間に解き放ちたくないという気持ちもあるんだろうし、必ずしも悪役とは言い切れないところもあるんだけどな。
ゲーム的にはプレイヤーキャラが人間からゴリラに変わったことで人間離れしたアクロバティックなアクションが可能になっているわ。 マリオより飛距離のあるジャンプができたりツタを渡っていったりね。
機械仕掛けのワニの名前はスナップジョー。
ステージ1はさっそく新アクションのツタ登りを駆使する面よ。 敏腕調教師のマリオが飼い馴らした敵たちはフルーツをぶつければ撃退できるわ。
ツタを2本掴んだ状態では登りが、1本だけ掴んだ状態では降りが速くなります。 これらのアクションを駆使して父親のもとを目指しましょう(^^)
鳥の名前はニットピッカー。
ステージ2にはジャンプ台や動く床などのギミックがある。 最初のジャンプ台ではタイミングさえ良ければ上の足場に直接乗り移ってショートカットすることも出来るぞ。
上空からはニットピッカーが卵を落として迎撃してくるわ。 鳥の動きは単調で避けやすけれど、ジャンプに気を取られて注意がおろそかにならないようにね。
敏腕調教師は電流も飼い馴らす。
ジャングルから移送された父を追い、辿り着いたのがこちらです。 ステージ3は配電室。暗がりで不気味に光るスパークが脅威です。
スパークには同じ場所を周回する赤いタイプとマリオの操作で電路を下ってくる青いタイプの2種類がある。 床も天井も構わず這い回っており、床にいるスパークをジャンプで避けようとして天井のスパークにぶつかった経験は誰しもあるのではないか。
父親コングを檻から救え。
そして最終面のステージ4よ。 天井から鍵付きの鎖がぶら下がっていて、鍵を全部押し上げれば檻が開いて父親を開放できるわ。クリアはもう目の前よ!
マリオも子飼いの二ットピッカーやスナップジョーを差し向けてくる総力戦の様相よ。 最後だからと焦ることのないようにね。
悪漢マリオ、ここに死す。
かくしてドンキーコングJRは父を救い出し、前作からの因縁に決着がつきました。
アーケード時代から約2年間続いたドンキーコングとマリオの競演もここで一旦お終いだ。 ここからは各々別の道を歩んでいくことになる。
マリオは次回作の『ドンキーコング3』には出演しない一方、自身の名前を冠した『マリオブラザーズ』という作品が作られて任天堂の看板キャラクターに成長していくのよね。
ドンキーコングとマリオの再共演は1994年のゲームボーイ版『ドンキーコング』を待つことになるわ。 この作品はドンキーコングシリーズの集大成と言える仕上りになっているから、シリーズファンは必携よ。
『ドンキーコング』シリーズの集大成。
本作『ドンキーコングJR.』はまた、移植度の高さが話題になったりもしたな。
幾つかの演出が削られてはいるけれど、4ステージ全部がしっかり収録されてるからね。 『ドンキーコング』の方は1ステージ削られていて残念だったけど、こっちは完全収録されてて本当に嬉しいわ(^^)
それもあってローンチ3タイトルの中では本作が最も収録ステージ数が多いのよ。 これを理由に買い求めたという人も少なからずいたわ。同じ価格で多くのステージを遊べるからお買い得感があったんでしょうね。
前作の続編でありストーリーも地続きでありながら、敵役の息子をプレイヤーキャラクターにするという離れ業で違和感なくアクション性を高めたのは上手なやり方だと思います。 ゴリラならツタ渡りや大ジャンプくらい難なくできそうな説得力がありますもんね。
前作のマリオよりもダイナミックに動かせるのが単純に気持ちいいのよね。この操作の面白さだけでしばらく遊んじゃってたくらいだわ(^^)
それらのアクションとステージ毎に変化のあるギミックの組み合わせが奥深く、シンプルながら飽きの来ない作品に仕上がっている。 ローンチ3タイトルの中では最もアクション性が高く最もステージ数が多いため、アクションゲームファンから支持を得ていたようだ。
ドンキーコングJrの可愛さも人気の一因だったわ。 愛嬌のあるキャッチ―なキャラクターはプレイヤーキャラとして受けていたようね。 キャラクター設定とゲーム体験が上手く噛み合っていて、ゲームデザインが高水準で纏まった傑作と言えるんじゃないかしら。
初稿:2018年09月10日
改訂1:2024年06月08日