任天堂は今でこそ世界に名だたるゲームメーカーだけど、その事業は花札の製造から始まっていたことはよく知られているわね。
知らない(^^;)
うーん、わりと有名な話だよ(^^;)
1889年に操業して、130年以上の歴史があるんだ。
そんなに!? ゲームで業績を上げてる会社だからもっと新しいのかと思ってた。
昔は社名も『任天堂かるた株式会社』だった時代もあるのよ。
かるた?花札じゃなかったのー?
花札は別名『花かるた』とも言うんだよ。 他にも『いろはかるた』とか『百人一首』も作ってたみたいだけどね。
やがてビデオゲームが事業の柱になっても花札の火は消えたわけじゃないわ。 任天堂は今でも花札を作り続けているのよ。
うちにある花札も任天堂のやつだったのかな? そこまで気にしたことなかったなあ。
花札メーカーは他にもあるからわからないけど、もしかしたらそうかもしれないねー。
花札メーカーとしての任天堂とゲームメーカーとしての任天堂。 同じ会社でも事業は別だったけど、2015年には協同して製品を作ることになるわ。
それが”マリオ花札”だよ!(^^)
あー、大統領の顔がマリオになってるよー(^^)
なるほど、花札の絵をこんな風にマリオキャラに差し替えた商品ってことかな。
花札は1年を12か月に分けて、日本の花鳥風月を表現しているのが特徴よ。
遊び方はみんな知ってるだろうし割愛して、気になるイラストを見ていこうか。
1月は鶴と松だね。どっちも長寿の象徴だよ♪
『ヨッシーアイランド』のキャラでまとめてきたのか。 鶴と松はめでたいし、赤ん坊の誕生が描かれたゲームだからモチーフがぴったり合うな。
文字通り『あかよろし』と言えるね(^^)
『あかよろし』?『あのよろし』じゃなくて?
そう勘違いされることは多いのよね。 良く見ると『の』に見えるところの上に点が付いているでしょう? これは『可』の可変体なの。『あ可よろし』、『非常に良い』という意味なのよ。
2月は梅とウグイスだ。 ヨッシーとキャサリンは『マリオテニス64』以降、何かとペアにされることが多いね。
ヨッシーがウグイスで、キャサリンが梅なのかなー?
それ、身体の色だけじゃない?(´Д`;)
3月は桜に幕よ。 マリオシリーズに登場するヒロインが勢ぞろいしているわ。 高貴なイメージのある札だから、お姫様たちには相応しい配置ね。
ピーチ、ロゼッタ、デイジー。キノピコを除けばみんな花の名前だし、綺麗に収まってる感じがするなー。
桜と一緒に描かれている幕は貴族の象徴なんだよ。そういう意味でもこれ以上ない組み合わせだね。 きっとこの中で宴会を楽しんでるんじゃないかな。
4月は藤だっけ。 ドンキーコングがいるけど、これはホトトギスの代わりか。
藤はホトトギスの止まり木だから、昔から対で描かれることは多いわね。 だけど本来、藤は女性らしさの象徴のはずなんだけど。
よりによってパワー系のドンキーコングを添えるあたりが意外で面白いね。
多分、これは藤をツタに見立てたんだと思うよ。ツタにぶら下がるゲームといえばドンキーコングだもんね。
5月はアヤメだよ。 周りにはゲッソー、プクプク、カエルマリオと水棲生物でまとめられているね。
カエルマリオは水棲生物でいいのか?(^^;)
本来アヤメは水辺に咲く花じゃないから、この絵はハナショウブかカキツバタなんじゃないかって説もあるよ♪
6月は牡丹よ。 優雅で豪華な見た目から『百花の王』と呼ばれることもあるわね。
百花の王…なんかすごそうな二つ名だ!
牡丹の周りを飛ぶ蝶はマントマリオに置き換えられたね。 蝶は復活の象徴なんだ。この組み合わせには末永い繁栄の意味が込められているよ。
7月は萩だよね♪ タヌキマリオとキツネルイージのペアは『スーパーマリオ3Dランド』からの登場だねー。
元は猪だけどちょうどいいモチーフがなかったのかしら、野生動物同士の緩い関連性に留まってるわ。
萩は臥猪の床と言って猪の寝床になっていたらしいよ。 タヌキやキツネの寝床はどうだったのかなあ?
8月はススキだな。 一五夜のお月見を現す絵だったはずだけど、満月の代わりにでかいテレサがいるぞ!
8月は全体的に『ルイージマンション』をモチーフにしているわ。 ちょっとホラーめいた異質な雰囲気になっているわね。
9月は菊だよ。 古来には菊に不老不死の力があると信じられていて、お酒に菊花を浮かべて飲む風習があったんだって。
でもパックンフラワーじゃそんな効果なさそうだねー。 逆にお腹壊しそうな気がするもん(^^;)
10月は紅葉よ。 一緒に描かれていた鹿がネコマリオに置き換えられているわ。
この札だけど、不慮の鹿殺しの罪で生き埋めにされた子供を供養するためにお母さんが紅葉の木を植えた伝説が基になっているんだって(^^;)
とんだ悲劇じゃん! なんだか手招きしてるみたいだけどそう聞くと近寄りがたいな(´Д`;)
11月は柳だよ。 蛙が柳に飛びつこうとしている様子を見ていた小野道風は『離れているから無理だ』と思っていたけれど、たまたま吹いた風が柳をしならせて蛙はうまく飛び移った。 そこで道風は『自分はこの蛙のような努力をしていない』と目を覚ましたんだ。
いい話だけど、道風をマリオに、蛙をクリボーに差し替えちゃったらだいぶ意味が変わってこないか? クリボーは踏まれちゃってるし(^^;)
右端の鬼札はドッスンになったんだね。 もともと怖い顔だからよく似合うねー♪
12月は桐よ。 桐は特に12月の花じゃないけれど、1年で最後の『これっきり』の月だからこの位置に回されたと言われているわ。
古代の中国では未来の皇帝が生誕するときに鳳凰が現れるという伝説があるんだ。 この鳳凰が宿る木が桐というわけだね。
幸運を呼ぶ鳥の王者だけど、クッパに置き換えられちゃったんだねー(^^;) まあカメ王国の大王だし、自国ではいい統治者をやってるのかもしれないけど。
桐の花はクッパJrと7人衆のシルエットか。遠目からは花に見える巧い配置だな。
花札で1年12か月を巡ってみた感想はどうかしら?
任天堂らしい遊び心に満ちた図柄で面白かったよー♪ マリオキャラをそこに置いた意味を想像するのも楽しいね。
花札として使うにはちょっと問題もあるんだけどね(^^;) カス札のところにもキャラを置いちゃってるから、どの札が何点の札なのか初心者には分かりづらくなっちゃったところはあるかな。
実用性にはちょっと欠けるかな? でもせっかくのマリオ花札なんだし、何も置かないのもそれはそれで寂しいからなあ。 これでいいと思うぞ。
このマリオ花札、以前なら考えられない商品だったのよ。 ひと昔前の花札は賭博の道具として使われていてイメージが良いものじゃなかったから。
あー、もっと昔の江戸時代や明治時代には何度も法律で規制されてたらしいねー。
世代によってはまだまだ悪印象を持っている人もいるみたいだけど、伝統的な日本のカードゲームっていうイメージも広まってきた感じはあるよね。
時代が変わったってことなのかな。 そうじゃなきゃ健全さの象徴みたいなマリオを使うなんてとてもできないだろうし。
少なくとも任天堂はそう判断したんじゃないかしら。 花札屋としての矜持もあるんでしょうけどね。
マリオの力で悪評を払拭する、くらいの意気込みなのかもしれないねー。
任天堂キャラを使った花札は他にもポケモン花札やカービィ花札があるけど、それらはどれも他社からのライセンス商品なんだよ。 任天堂はその役目をマリオにこそ託したいって考えてるのかもしれないね。
初稿:2020年09月30日
最終更新:2024年06月08日