◆ストーリー◆
文明と自然とが、共に息づく珍しい島です。
この島に、大陸から人が移り住んで20年。
ある日、島の中央にそびえる活火山「ダイヤモンドマウンテン」から、不思議な光体が舞い降りてきました。
それは、モンスタニアに初めてふりかかった不思議な事件の始まりだったのです。
主人公は妖精探しを続ける少年・フロン。そして、幼なじみの少女・ティア。
二人は、不思議な力を持つフェアリーストーンを巡って大冒険。
おちゃめな妖精・チッタも加わり、モンスタニアは爆発寸前!
(取扱説明書より)
◆ストーリー◆
さて、じゃあ俺はスーパーファミコン末期のRPG『モンスタニア』について講釈を垂れようかな。
あ、知らないタイトルだわ(^^;)
私もです(^^;)
スーパーファミコン時代はRPGブームが長く続いていたからね。 あなたたちと言えど遊べていない作品は多いんじゃないかしら。
そのブームもこの1996年にはだいぶ沈静化してたように思うが、それでも後に語り継がれる有名作品が多数出揃っているからな。 以下にその一部を挙げるが、聞いたことがあるタイトルも多いんじゃないか?
RPGだけでもこれだけビッグタイトルが揃ってるんだもん、見逃しちゃうのも無理ないわよね?(^^;)
ではさっそく本題に入るが、本作『モンスタニア』は非常にコンパクトなRPGなんだ。
そりゃまあ今回の特集に合わせて持ってきたんだし、改めて言うことでもないでしょ。
プレイ時間でいうとどれくらいになりますか?
そうだな…一度クリアするだけなら3〜4時間もあれば足りてしまうだろう。
3〜4時間!それは短いわね!?
この時代のRPGといえば大容量を売り文句にして壮大で感動的な物語がもてはやされていたけど、 この『モンスタニア』はその流れに真っ向から逆らっていたわ。
RPGというのはストーリーはもちろん、探索や収集、レベル上げなど遊びの要素が詰まったジャンルです。 それなのに3〜4時間でクリアできちゃうというのは俄かに信じがたいものがありますね(^^;)
あ、もしかしてマルチストーリーになってるとか? プレイヤーの行動次第で展開が変化して、1回あたりのプレイ時間が短めだけど何度も楽しめるみたいな…。
そういう要素も僅かにあるが、ストーリーはほぼ一本道だ。 どういうものなのかは実際に見てもらった方がいいだろう。
出会いの森で見た謎の光の正体は?
妖精を探して旅する少年フロンは、謎の光を追いかけるさなかコボルドと遭遇してしまう。さあバトルだ!
なんだろ、開幕すぐに戦闘が始めるRPGには名作が多い印象があるわ。これはどうかしらね。
2人合わせてフロンティア。彼らは幼なじみ。
コボルドを倒したフロンとティアは旅を続けるが、行く手ではスライムの大群が道を塞いでいた。さあバトルだ!
イベントバトルが続きますね。
森で見つけた謎の石板。そこには何が封印されている?
昨夜の謎の光に導かれ、森の中で見つけた石板の謎を解き地下への入り口を開け! ここではティアが扉の封印を解くまでの間コボルドを近づけてはならない。さあバトルだ!
ちょ、ちょっと待って。さっきからイベントが全部自動で進行してるけど、もしかしてずっとこんな調子で進んでいくの?(´Д`;)
そういうことよ。短い会話イベントシーンと戦闘の繰り返しでゲームが進行していくわ。
鉄鍋を被った不思議な少女チッタとのドタバタな出会い。
ええと、フィールドや町の中を歩いたり、買い物したりといったことはないんですか?
ない!
そりゃ短くなるわけだわよ!Σ(´Д`;)
その話はいったん置いておいて、戦闘シーンについて説明しよう。 本作の画面ではクォータービューのタクティカルコンバット方式が採用されている。
シミュレーションゲームでよく使われるシステムですね。
こちらが1つ行動すれば相手も1つ行動するターン制の戦闘システムだ。 操作系が工夫されていて、慣れるとアクション感覚でスピーディーに動けるぞ。
へえ、ローグライクゲームみたい。 ちょっと独特だけどなかなか面白いわね。
このシステムで行われるのは何も戦闘だけじゃない。 一筆書きの要領で雑巾がけをしたり、見張りに見つからないように脱出するステルスゲームの場面もある。
強敵ジャイアントベア。まともに戦えば歯が立たないが…。
財布を無くしてしまい、食事代の代わりに働くことになった。
船底に捕えられた二人。見張りの目をかいくぐり脱出しよう。
ところどころにパズルっぽい謎解きがありますね。 一筆書きでの雑巾がけがちょっと難しかったです(−−;)
パズルと言うなら、このゲームの戦闘は全部パズルみたいなものだけどね。
え?
あー!わかった、全部イベントバトルだから…。
気が付いたか。本作にはレベル上げがないと言ったな。 つまり戦闘は必ず決まった条件で行われる。負けたからといって強化して出直すことはできない。
逆に言えばクリアのために必要なものは最初から与えられてるってことだから、プレイヤーの知恵と工夫が試されるわね。
このようにRPGにシミュレーション、アクション、ローグライク、そしてパズルの要素を加えた本作は『マルチジャンルRPG』を標榜しているというわけだ。
そう聞くと複雑そうに聞こえるのに、プレイしてみるとシンプルにまとまってるのよね。
だからこそなんでしょうね、サクサクとテンポよく進められて気持ちいい反面、プレイ時間の短さにつながってしまうのでしょう。
チッタを狙う2人組の目的は?
モンスタニアは決して派手な物語ではないし、特別なシステムもなければやり込み要素もない。 だがストーリー展開は早くステージがバラエティに富んでいるから中だるみは感じないし、なにより気軽にプレイできる。 ここが最大のポイントなんだと思う。
大作RPGはユーザー側も食傷気味だったし、大作ゆえに再度プレイするには腰が重くなる事も多かったわ。 気が向いた時にいつでも気安い気持ちで帰ってこられるのがモンスタニア最大の魅力だったんじゃないかしら。
そうね、プレイした後には心地よい読後感のようなものが残ったわ。 いい意味で心に引っかからないって言うか。
モンスタニアは病んでいる?
フルコースや満漢全席ばかりじゃ胃にもたれますものね。 軽食をつまむような取っ付きやすいものも必要ですよ。
小説や漫画のように、ゲームにも短編集があっていいじゃないか。 モンスタニアはそういうことを考えさせてくれた作品だった。
リピート生産もされていたしメーカーの想定以上には売れたようよ。 コストパフォーマンスを見れば決して良いものではないけど、世の中もこういう内容のゲームを求めていたのかもしれないわね。
ティアと交わした約束を胸に、いざ最終決戦へ。
初稿:2019年2月24日
最終更新:----年--月--日