1981年に業務用が稼働開始した『クイックス』は高評価を獲得し、その後も続編が作られていった。
1982年の『クイックスU』、1987年の『スーパークイックス』では主にグラフィックとサウンド面の強化が図られました。 特にスーパークイックスでの進化は目覚ましいものがありましたね。
クイックスがキャラクター化されたり、囲った部分にはイラストが表示されるようにもなったわ。 ついにBGMもついて、無機質だった世界観が暖かみのあるものに変貌したのには驚いたわよ!
スーパークイックスには他にもアイテム実装などの新要素もあったが、ゲーム性においては初代QIXを踏襲していた。
しかし今回紹介する1989年の次作『ヴォルフィード』では大きな転換期を迎えることになります。
本作の舞台背景は宇宙のどこかで繰り広げられる局地戦、白銀の機体を駆り魔星を攻略することが目的です。
大きい敵をボス、小さい敵をザコと呼ぶ。
これが実際のゲーム画面だ。改めてグラフィックの進歩が顕著だな。
画面上にいる大きなモンスターが従来のクイックスに相当するわ。 これがダイナミックに動き回るんだから迫力十分よ!(^^)
この魔星は16の階層(ラウンド)から成り立っています。 フィールドを占領するとその部分の背景が変化しているのがわかるでしょうか。
ラウンド1は荒れ地のようなエリアだが…。
囲った部分は水面に変化していく。
規定の面積を囲うとクリアになり…。
見えていた水面が次のラウンドとなる。
占領した部分は階層を『切り取った』と理解してもらえればいい。 規定の面積を切り取ることによりボスへのエネルギー供給が停止され、機能を失うという設定なんだ。
ラウンドのつながりを感じさせてくれる面白い演出よね。
では本題であるシステム的な変更部分について見てみましょう。 なんと、本作では従来作に登場していたスパークスがいないんです!
この説明だけでは何のことかわからないだろうから補足するが、 スパークスは残ったフィールドの外周に沿って移動し自機が触れるとミスになる敵キャラだ。
オリジナルの『クイックス』はアーケードゲームだったから、自機が外周に寄り付いたまま放置されて ゲームが終わらなくなることを防ぐために作られたキャラなんじゃないかと思うわ。
そのスパークスがいなくなった。 そのくらい大した変化じゃないと思う向きもあるだろうが、この変更は非常に大きな意味を持つ。
『クイックス』の本質は、フィールドを縦横無尽に動き回る大きなモンスターの動きを先読みしてかわし、間隙を縫って追いつめるところにあります。モンスターの動きはランダムなので待ちの要素が強いのですが、そこにスパークスという横槍が入ることで気持ちが途切れてしまう問題がありました。
スパークスがいなくなったことで『ここぞ』という瞬間をじっくり待てるようになったのよ。
その代わりに時間制限が設けられたからいつまでも待ってるわけにはいかんのだがな。 ゲームの特徴を捉えた良い調整だと思う。
スコアアタックも大幅強化されています。 今作では最大占有率が99.9%と、小数点以下1桁までエリア確保ができるようになりました。
一見ボスの大きさ的に無理なように思えるが、ボスは追いつめるとどんどん小さくなるので問題はないぞ。
空間に合わせて小さくなったボス(右下)。
スコアを稼ぐ手段も増えているわ。 例えば一筆書き。最初に引いたライン1本で80%以上囲うとそれだけで100万点ものボーナスが入るのよ! ハイスコアのために絶対狙いたいわよね(^^)
ボスにも個性があって動きが異なれば攻略法も異なる。 特別な攻略法にはボーナスが隠されていることもあるから積極的に探してみるといいだろう。
他には、ザコをまとめて倒すとボーナスが入る仕様などもあります。 自分なりのパターンを確立してどんどん高得点を目指していきましょう(^^)
『ヴォルフィード』は原作の『クイックス』が持っていたゲーム性を高め、いわばマニアックさを突き詰めた。 かといって決して間口が狭いわけではない。
入り口は広いまま、それでいて奥深さも並び持ったのがヴォルフィードなんです。 簡単に言いましたがなかなかできることではありませんよね。
評価されたところの本質を浮き彫りにして磨き上げた企画力のすばらしさね。 今回は稼働当時にコンシューマ移植されたうち比較的移植度の高いメガドライブ版を取り上げたけど、 PCエンジンやPS1、PS2にも移植されてるからどれほどのものなのかぜひ体験してみてほしいわ(^^)
初稿:2019年11月30日
最終更新:----年-月-日