スヌーピーはアメリカの漫画家、チャールズ・M・シュルツ氏が1950年より発表した漫画『ピーナッツ』に登場するビーグル犬だ。 ユーモア溢れるキャラクターが人気となり、全世界で広く愛されている。
そんなスヌーピーたち『ピーナッツ』の面々が日本に上陸したのは1968年です。 徐々に人気が拡大していき、1970年代には誰もが知るほどの有名キャラクターになりました。
スヌーピー生誕70周年には原作コミックの日本語翻訳完全版が出された。
1975年に行われた第1回サンリオキャラクター人気コンテストでもスヌーピーは1位を獲得しているわ。
スヌーピーはサンリオが著作権を持つキャラクターではないが、1998年ほどまではサンリオがライセンス締結していた外部版権のキャラもノミネート対象だったんだよな。
なんとレギュレーションが変わりノミネートができなくなるまでの間、スヌーピーはずっと10位圏内にランクインし続けていたんです。
いち早くライセンス契約をしてグッズ販売を始めたのがサンリオだったし、今でもサンリオショップで普通に見かけるからスヌーピーはサンリオキャラと誤解している人もいるみたい。
サンリオは白くて耳の垂れた犬のキャラクターが受けるというデータを持っていましたが、当時のサンリオにはまだキャラクターを開発するノウハウが不足していました。 そこでサンリオの社長がスヌーピーに目を付けて使用権を獲得したんです。
スヌーピーは大人気になって、データの正確性が裏付けられたわ。 そのデータによれば次に人気があるのは白い猫だったの。 今度こそは自社開発を、との願いが実って生まれたのがあのハローキティなのよ。
『ピーナッツ』が今日のキャラクタービジネスに多大な影響を与えたことは間違いない。 今回はスヌーピーを起用した日本では初のコンシューマゲームソフト、『スヌーピーのマジックショー』を取り上げてみよう。
スヌーピーとウッドストック。
本作は固定画面のアクションゲームです。 操作するのはもちろんスヌーピー、画面内に点在するウッドストックとその仲間を探し集めるのが目的です。
ウッドストック達は各ステージに4匹ずついるわ。 だいたい4隅にいることが多いけど、ステージによって変わることもあるわね。
ステージ内にはボールが跳ね回っており、触れるとミスになってしまう。 ボールの動きに注意し、予測しながら移動しなければならない。
殺意に満ちたボールがスヌーピーを襲う。
なんとなくブロック崩しやクイックスあたりを彷彿させるわね。
固定画面で動き回るものに対処する感覚は近いかもしれません。 ですが、本作の場合は動き回るボールそのものよりもブロックによるギミックがステージ構成の核となっています。
ブロックはその形状によって異なる機能を持っている。 押して動かせるものや触って壊せるもの、上に乗るとワープするものなど様々だ。
ブロックの中にはアイテムが入っていることもあります。 ボールの動きを止めるものと無敵状態になれる2種類があり、いずれも一定時間の効果ですが便利なものです。なるべく取っていきたいですね(^^)
ステージごとに特色があって、どういう順番でウッドストック達を集めるか考えたりするところはパズルゲームっぽいわ。 反射神経だけじゃないのよね。
本作のステージ数は60面とたっぷり用意されています。 それに加え本作の難易度は高めで遊び応えがあり、物足りなさを感じることはないでしょう。
60面クリアーの画面。しかし…?
さらに60面クリア後には『BUT…』という不穏な言葉が流れ、そのまま裏ステージが始まる。 この裏ステージは表と同じ構成だが、スヌーピーの兄であるスパイクが登場し邪魔をするんだ。
久々に再会した兄が弟スヌーピーに牙をむく。
ただでさえ難しいゲームがさらに難しくなったわけね(^^;) でも1プレイが短いしミスしてもすぐにやり直しできるから、不思議と熱中しちゃうのよ。
サクサク遊べる手軽さと熱中性、それにボリュームを兼ね備えた楽しいゲームですね(^^)
ところで本作にはひとつ大きな疑問点がある。 タイトルの『マジックショー』とは何なのか、ということだ。
ああ、私も気になってたのよ。 ボールを避けてウッドストックを集めるゲームのどこを指してマジックショーなんて名付けたのか、考えだしたら夜も8時間しか眠れないわ。
おまえショートスリーパーだろ(´Д`;)
調べてみて同名のTVアニメがあるらしいと知ったんだが、どうも関係なさそうなんだよな。
そのアニメは日本では1982年にTV放映されました。 スヌーピーが皆の前でマジックショーを披露し、やがてチャーリーブラウンに透明人間にしてしまうという異色のエピソードです。 次々と繰り広げられる奇想天外なマジックが観ていて楽しい作品ですよ(^^)
うーん…面白そうだけど、やっぱりゲームの内容とはまるで違うみたいね。
どうしてこのようなタイトルとしたのか、公式な表明は出されていないんです(^^;) 私の解釈で良ければ答えますが、それでもいいですか?
構わないわ。聞かせてくれるかしら。
実は本作、元々はスヌーピーのゲームとして製作されていたわけではないんです。
え!そうなの!?Σ(゜Д゜;)
初耳だ…(´Д`;)
当時のゲーム雑誌に掲載されていたそのタイトルは『デスボール』。 反射して跳ねるボールを避けながらハートを集めるゲームとして紹介されていました。
ファミコン通信1989年第24号より引用。
へえ、画面写真を見る限りは『スヌーピーのマジックショー』そのままね。 キャラクターだけ差し替えたのかしら? 主人公らしい変な生き物がスヌーピーに、ハートがウッドストックになったのね。
推測になりますが、初めはオリジナルキャラクターを使った企画として進められていたものを、開発途中でピーナッツのライセンスを取得できたためスヌーピー達に載せ替えたのではないかと考えています。
なるほど、当初はスヌーピーを使う想定ではなかったのか。道理でスヌーピーを起用したにしては少し無機質な印象が強いと感じていたんだ。
元々は別のキャラクターだったのに、気が付いたらスヌーピーたちに入れ替わっていたんですよ。 これこそスヌーピーの大マジックだったのではないでしょうか?(^^)
そんなオチ!?Σ(´Д`;)
でも、本作にとってスヌーピーのライセンスが取れたのは幸運だったと思います。 なんと言っても注目度が段違いでしたから。
黄色いパッケージがお洒落で印象深いのよ。 店頭でも思わず手に取りたくなる存在感を放っていたわ。
既に大勢のファンがついているキャラクターを使えたのは大きな強みだな。 元々のゲーム内容との相性も悪くないし、キャラクター目当てで買った人達も十分満足できたのではないかな。
初稿:2021年3月15日
最終更新:2021年3月26日