◆ストーリー◆
(取扱説明書より)
ファミコンで実績を上げていたケムコがゲームボーイで最初に出したゲームが『ミッキーマウス』だ。 サードパーティとしてはHAL研究所に次いで2番目の参入となった。
以前紹介したファミコンの『ドナルドダック』もそうですが、ケムコはこの時期ディズニーキャラクターのゲームを多く開発しています。
やっぱりディズニーキャラクターの顔と言えば何をおいてもミッキーよね。ついに本命が登場したわ。
◆ストーリー◆
本作は横スクロール型式のステージクリア型アクションゲームです。 クリア条件はステージに点在するミニーのハートを残らず回収すること。 取る順番は問いません。
ミニーの愛に導かれて。行け、ミッキー!
ステージ内には敵キャラクターも徘徊しており、触れると即座にミスになってしまう。 しかし対する我らがミッキーは基本的に無力だ。歩くスピードは敵と変わらず、ジャンプもできない。 袋小路に追い詰められてしまったら死を待つだけだ。
袋小路に追い詰められたミッキー。もはや成す術はない。
はーん、上視点と横視点の違いはあるけど、パックマンみたいなドットイートタイプのゲームなのね。
ただ逃げるだけなら勝ち目のない鬼ごっこだからな。 ミッキーにもいくつかのアイテムで敵を倒す手段が用意されている。
くらえロケットパンチ。
グローブを回収すると一度だけパンチが打てるようになります。 携帯できる唯一のアイテムなので持っておくと安心ですね(^^)
怪しげなビンに入った無敵ドリンク。
無敵ドリンクを飲むと一定時間体が点滅し、触れた敵を倒すことができる。 先に邪魔な敵を一掃してあとでゆっくりとハートを回収するのがいいだろう。
崖から落とした10トンで圧殺。
重りを高いところから落として下にいる敵を押しつぶすこともできます。 同じような使い方をするアイテムとして金庫や木箱、バケツなんかもありますよ。
倒し方がえぐい!(´Д`;)
と思ったけど、カートゥーンではよくあることだったわね。
倒すときの効果音が好きー♪
本作にはクリアに欠かせないテクニックがあります。 見てください、この階段は矢印の向いている方向に移動できるようになっているのですが。
矢印の方向に上下できる階段。
この階段の中では敵と出会ってもダメージを受けないんだ。
…ん?
例えば敵が下から登ってくるとして、裏側に回っている最中にこちらが降りればこの通り、無事に通過できるんです。
やられることなく位置を入れ替えることができた。
えー!Σ(゜Д゜;)
裏で襲われたりしないの!
パイプも同じで、潜って移動している最中は敵と出会っても無事にすれ違えるんです。 途中で戻ったりはできないんですけどね。
パイプは移動用の通路として使える。
いやいや、階段は暗いみたいだしすれ違う時に見逃しちゃったとかで納得するとしても、パイプは中で詰まるでしょ!Σ(´Д`;)
このシステムな…、取説にはパイプの移動中に敵と出会うとダメージを受けるって明記されてるんだよな。 だから最初にこの現象を見た時は何が起こったのか意味が分からなかった(´Д`;)
取扱説明書より。
バグなのか誤記なのか判断に困るわ…(´Д`;)
ですが、このシステムがゲーム性の奥深さに大きく寄与しているのもまた事実です。 捕まったら一発アウトの緊張感の中で、上手に逃げられた時の達成感は気持ちいいですよ(^^)
ステージ数は全80と、ゲームボーイ初期にしてはかなり多めだ。
ボリュームたっぷりね。いいじゃない。
だが、私見としてはこれは少し多すぎるんじゃないかと思うんだよな。
少ないよりは多い方がいいでしょ?
そういう考えもあるが、後半になってくると理不尽なところがたびたび見受けられるようになる。 出口が画面外にあって入るときには確認できないパイプの出口で敵が待ち伏せしていたりな。
パイプは一旦入ると途中で止まったり引き返したりができないので、こうした場面に出くわすと回避が不可能なんですよね(^^;)
ああ、それはキツいわ…(´Д`;)
難しくするのはいいが理不尽なのはいかん。 たまにはそんなステージもあっていいが、割合の問題だな。
もっとも先に述べたように基本的には良作の部類です。 私は序盤から中盤ばかり繰り返して遊んでますが、それでも十分ボリュームは多いですし楽しいですよ(^^)
ケムコのゲームということでこの話題にも触れておこう。 ファミコンの『ドナルドダック』と同じように本作もキャラクターを差し替えた移植がなされているんだ。
今度は何?またスヌーピーかしら?
まずはこちらを紹介しましょう。
ディスクシステムより『ロジャー・ラビット』。
知っているか?ファミコンディスクの『ロジャー・ラビット』だ。 これもディズニーキャラクターの一人で、1988年には映画が日本公開されている。
製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。4部門のアカデミー賞を受賞した。
あー、知ってる知ってる!カートゥーンと実写を合成して作った映画でしょ? ゲームになってたのは知らなかったけど。
現実の人間とトゥーンのキャラクターが違和感なく共存した映像が凄いんですよね! 私もスクリーンで鑑賞しましたが、驚きと期待に満ちた楽しい映画でした(^^)
『ロジャー・ラビット』のゲーム画面。
もう、一目でわかるほどにそっくりね(^^;)
こちらのゲームは発売が1989年2月16日と、実は『ミッキーマウス』より半年ほど早いんです。 ステージ総数は20少ない全60面となっていて、構成にも違いが多いです。
そもそもハードが違うから作り直してるんだろうし、 ステージも違うならキャラ替え移植とは言わないんじゃない? それぞれのハードに合わせて作った結果でしょ。
そうだな。まあこいつはあくまで前座に過ぎん。
この日本における『ロジャー・ラビット』および『ミッキーマウス』だが、アメリカではバッグス・バニーに差し替えられて発売されている。
NES版。
うわー、これは(^^;)
日本版との比較。
寸分違わぬわあ!Σ(´□`;)
ゲームボーイ版も同様ですよ。
日本版との比較その2。
これは紛れもないキャラ替え移植だわ、うん(´Д`;)
だが話はここで終わらん。 なんとこのバッグス・バニーのゲームボーイ版が1997年に日本で『バックス・バニーコレクション』に収録される1本として発売されることになるんだ。
逆輸入盤として帰ってきた。
スーパーゲームボーイ用にフレームが用意されている他には特に違いがありませんから、初めて見つけた時はそれはもう驚きました(^^;)
専用のフレームが美しいコレクション版。
新しいバッグス・バニーのゲームを買ったと思ったのに、中身は昔遊んだミッキーマウスならそりゃ驚くわ(´Д`;)
キャラ替え移植というとネガティブなイメージを持つ人もいますが、こういう版権ものの場合は事情が違います。 そもそもミッキーマウスやロジャー・ラビットはウォルト・ディズニー・エンタープライズ社の許諾のもと使用できるキャラクターなんです。
許諾を得た期限を過ぎてしまうとそのゲームは発売できなくなってしまう。 だから『ミッキーマウス』も『ロジャー・ラビット』も幾らかの店頭在庫を除けば市場からは早々に姿を消してしまった。
そっか、確かに版権物はそういう宿命にあるわね。 キャラクターよりもゲームのシステムに思い入れがあるなら、キャラを差し替えて再販するのは案外価値あることなのかも。
差し替えだからってキャラクターをぞんざいに扱ってるわけでもありませんからね。 このゲームに登場するミッキーがクラシックミッキーなのは画面がモノクロなゲームボーイに合わせたからでしょうし、 同様にバックス・バニーも基本的には白と灰色の2色でモノクロ表現に適しています。実は理にかなった起用なんですよね。
ケムコは特にその数が多いということで話題になりやすいが、こうしたキャラ替え移植の事例は他社でも見かけることがある。 他にもどのゲームがどう差し替えられているのか、調べてみるのも面白いだろう。
初稿:2019年1月26日
最終更新:----年--月--日