ケムコというメーカーの名は当時のファミコン少年の胸に深々と刻まれているのではなかろうか。 正確にはメーカー名ではなくブランド名だけどな。
社名は『コトブキシステム』というのですが、母体である『コトブキ技研工業株式会社』の英語名、『Kotobuki Engineering & Manufacturing Co., Ltd.』を略してKEMCO、つまりケムコをブランド名として名付けたようです。
個人的にはその名前がナムコと紛らわしかった思い出が強いわね。 そのせいで間違えてソフト買っちゃった友達もいたわ(´д`;)
現在では考えにくくなりましたけど、当時は特定のメーカーのソフトを優先的に購入するいわゆるメーカー買いというものが普通にありましたから。
理由のひとつにはファミコン初期はメーカーごとのクオリティの差が大きかったことが挙げられるな。 まだゲーム雑誌もインターネットもなくゲームの情報が満足に得られない時代、実際にプレイしてみるまで面白いかどうか分からないのが当たり前だった。 しかしそれでは一本数千円もするソフトを買うのは難しい。 ましてや小学生となれば尚更だ。
ナムコはアーケードやマイコンの分野でも高く鳴らした実力をファミコンでも如何なく発揮していて、出すソフトは総じてクオリティが高かったからユーザー側もわりと安心して手を出せたのよね。
ケムコもわりと良作を多く送り出しているんですが、当時のナムコと比べられては敵いませんでしたね(^^;)
そんなケムコのファミコンへの参入ソフト第一弾が今回紹介する『ダウ・ボーイ』だ。 これは前年にアメリカでコモドール64用として発売されたものの移植となる。
『ダウ・ボーイ』とは第一次世界大戦時におけるアメリカ軍の歩兵を指す言葉。 つまり本作は戦争を題材としたゲームなんです。 守りの堅い敵陣に単身で潜入し、破壊工作を重ね捕虜収容所に捕われた要人を救出することが目的ですね。
今回はただの紹介じゃなく、操作方法と攻略法に重点を置いて説明していくことにする。 かなりの長丁場になるが覚悟しといてくれ。
スペシャル回ってやつね!
MAP1での目的は物資の調達だ。 敵兵の銃撃を掻い潜りつつ慎重かつ迅速に回収しよう。 もたもたしてると先に敵兵に回収されてしまうぞ。 特に梯子だけは入手しておかないとこの先で進行不能になるから、何を差し置いても奪取するんだ!
連射のきかないマシンガン。
ダウボーイの武器はマシンガンよ。 方向キーを押しながらAボタンで使うことができるわ。 8方向に向けて撃つことが出来るけど、マシンガンのくせに連射がきかないから隙があって扱いにくいのよね・・・。
やられた敵兵は煙と化す。
ですが、それは敵も同じこと。逆にその隙をついて接近戦に持ち込めば有利に戦えます。 実は敵兵は体当たりでも倒すことができて、マシンガンを乱発するよりもこちらのほうが有効な場合もあります。
クリアアイテムの鍵。
最後に鍵を回収したら右端から画面外に脱出しよう。
MAP2は渡河作戦です。 MAP1で回収した物資を利用して河川を渡り、鍵を回収しましょう。川に落ちると即死なので、十分注意してくださいね。
ここの攻略法がわからず行き詰まったプレイヤーは多いみたいよ(^^;)
灯台を橋の代わりにせよ。
詳細は上の図の通りだ。 灯台を破壊して橋代わりにして対岸へ渡る。 灯台の近くでAボタンを長押しして『ピッ』という電子音がしたら そのまま移動。するとTNTを仕掛けて導火線を引くから、 その状態でボタンを離すと引火し、爆発し灯台が倒れるという寸法だ。 爆風に接近しすぎると巻き込まれて死ぬから気をつけろ!
樹木を盾に。
それさえできればあとは戦艦の銃撃をかわして鍵を回収するだけよ!
さあて中盤のMAP3。 そこらじゅうに配置されたドラム缶をどんどん爆破して鍵を探すのよ。
クリッパーは持ってきたか?
このMAPはまず鉄条網を破ることから始まります。 上の図はクリッパーを使用した場合のものですね。 鉄条網に向けて十字キーを入れながらBボタンをゆっくり2回以上押すと使用できます。
豪快な破壊工作。
クリッパーを取り損ねていてもTNTで代用できるぞ。 個人的にはこっちの方が使い勝手が良いとさえ思うが。
対戦車地雷を仕掛けろ。
このMAPには生身の兵士の他にも戦車が登場するわ。 流石に体当たりじゃ破壊できないから地雷を踏ませましょう。 地雷はAボタンを長押しして『ピッ』という電子音がしたらボタンを放せば足元に設置されるわよ。
ドラム缶もTNTで爆破だ。
鍵を発見したら、これまでと同様に画面右端を目指してください(^^)
MAP4、いよいよ佳境に入ってきたな。 目の前に立ち塞がる防護壁を乗り越えて鍵を取れ!
ここまで担いできた梯子がようやく役に立つ。
この壁はTNTでも破壊することはできないわ。 赤い壁に隣接したままBボタンを長押しすれば梯子が掛かるからそれを渡っていくのよ。 使った後は回収するのを忘れずにね!
このマップ最後の関門。
鍵の傍には再び戦車が現れますが、ここは狭いので無理に破壊しようとせず鍵から離れた隙を狙って脇から突破しましょう。 戦車の銃弾は壁を貫通するので要注意ですよ!(^^;)
忍び込むには絶好の夜。
ついに最終面MAPの5まできました!
このミッションは宵闇に紛れて遂行します。
普段は見えないマップの全貌。
夜は隠密行動をするには絶好の時間・・・。 とは言え、何も見えないんじゃどうしようもないわね。 TNTを発破させれば一瞬だけ画面がフラッシュして地形が見えるようになるから、覚えつつ進みましょう。 上のMAP図はそれを利用して作ったんだけどなかなか大変だったわあ〜(´Д`;)
安全な突入ルートはここだ!
さて、MAPを見てもらえれば分かると思うが、スタート地点からすぐには地雷原が広がっている。 正しいルートは矢印で示した通りだが、暗闇の中縦横無尽に張り巡らされた地雷をかわし、さらに要人を連れて帰還するのは困難だろう。
最短の突入ルートはここだ!
実は、もっと楽にこの任務を達成する方法があるんです…。 それがこちらのルートです、マップ左上からほぼ一直線に抜ける最短のルートです。 しかし…。
これは…地雷の上を通過しているわね(´Д`;)
そう、もう一つの方法とはわざと一人の兵士に地雷を踏ませて除去し、その犠牲と引き換えに安全な道を切り開くことだ。 1人の犠牲も出さずにすむかもしれないが多くの人員を危険に晒すルートと確実に1人の犠牲を出すがそれ以降は安全に進めるルート。 どちら選ぶかはプレイヤー次第だが、この選択肢に正解はない。 戦場で迫られるギリギリの選択がここにある。
命を消耗品のように扱う…戦争って虚しいですね(−−;)
最後の鍵。
いずれかの方法で地雷原を抜けたら、建物を破壊して捕虜収容所への門鍵を見つけましょう。 ここまで来ればもう一歩よ。でも気を抜かずにね!
捕虜収容所を破り、要人を助け出せ。
長い道程を経て、ようやく捕虜収容所に到着しました。 他に手段がないのでここもやはり爆破しましょう。 すると捕らわれていた要人が解放されます。 要人を無事に画面左端まで連れ帰れば念願のミッションクリアです!(^^)
ミッションクリア!
さて、今回は操作方法と攻略について普段より詳細に解説してきた。 なぜこんなことをしたのかというと、世間での本作の評価がどうも低すぎるんじゃないかと思ったからだ。
そこで過去にプレイしたことのある何人かの人達から意見を聞いてみたところ、『何をすればいいのかわからなかった』という回答が多く寄せられたんです。
このゲームはアイテムの種類も多いしMAPごとに攻略法も違うから、当時のファミコンにしてはかなり複雑な部類なのよね。 もし取説を読んでいないんだとしたら、そういう感想になるのは仕方ないところはあるわ。 ゲーム内で説明するだけの容量の余裕もないし。
なので本当はどういうゲームだったのかを見てもらって、少しでも当時抱えていた思いを払拭していただければいいなと思った次第です。
そもそも、オリジナル版はアメリカゲーマー御用達のコモドール64用だからな。 そちらのユーザーならこのぐらいの複雑さはなんてことないだろうが、ライトユーザーを対象にしていたファミコンでそのまま売るにはやや取っ付きが悪かった。
まだまだゲーム文化が成熟していない頃のファミコンだもの。出すには少ーしだけ時代が早かったわね。
ダウ・ボーイは時代性ゆえに日本では評価されなかったゲームです。 しかし戦闘工兵任務という珍しい題材を用いたプレイ感覚には新鮮味を感じられますし、ギミックが豊富でMAPにもメリハリがあり、よく工夫されてると思います。
ケムコはこの後自社開発のゲームも発売するようになるが、並行して洋ゲーのローカライズも続けていく。 そして『シャドウゲイト』や『スパイVSスパイ』など、元が洋ゲーであることも言われないとわからないくらいの見事なローカライズ手法を見せることになる。
そうしたローカライザーとしての方向性を決めたのは、間違いなくこのダウ・ボーイでした。
初稿2019年12月28日
最終更新:----年--月--日