ファミコンのロンチとして『ドンキーコング』が現れたとき、私たちは2つの思いを味わったわ。 家庭でアーケードと同等なゲームをプレイできる驚き、それと移植にあたりステージがひとつ削られていた嘆きよ…。
『ドンキーコング』は本来全4ステージですが、ファミコン版では第2ステージが収録されていませんでした。 これは容量不足のためか、あるいは開発の納期に間に合わなかったための措置だったと言われています。
これにより第2ステージは幻の存在となっていく。 というのはファミコンが軌道に乗ると任天堂はアーケード事業を停止し、過去に出したタイトルの家庭用への移植も行われなくなっていったからだ。 Wiiで展開されたバーチャルコンソールアーケードに自社作品をひとつも供給しなかったことは印象的だな。
はじめて完全に近い形で移植されたのは1999年に発売されたニンテンドウ64の『ドンキーコング64』においてです。 道中に登場する筐体で実際にアーケード版をプレイできる演出があり、ここにきてようやく原作ファンの溜飲は下がったのではないでしょうか(^^)
N64版では筐体の形から再現するこだわりの深さ。
で、さらに時代が下った2012年の夏よ。 突如もたらされた一報に界隈には激震が走るわ! 『ドンキーコング』の第2ステージが収録されるっていう『ドンキーコング オリジナル・エディション』が3DSで配信されることになったのよ。
元々は2010年にヨーロッパで発売された『スーパーマリオブラザーズ』25周年記念のWii本体にプリインストールされた特別版のゲームでしたが、日本でのリリースに関しては当時触れられることはありませんでしたのでこのタイミングでの告知は本当に意外でした!
任天堂に封書でリクエストを出した甲斐があったってものよね!
お前そんなことしてたのか!?(´Д`;)
本作のコンセプトはファミコンへの再移植です。 アーケードの完全移植ではなく、ファミコンのスペックで作られた第2ステージをプレイすることができますよ(^^)
流れるベルトコンベアーに立ち向かえ。
これは感慨深いよな。 もしあの時ちゃんとファミコンに移植されていたらどうなってたのか、オリジナルのアーケード版を知る者なら必ず夢想していたに違いない。 それが現実として目の前に現れたんだからな。
いい企画よね。これでメーカーとユーザー双方の無念が晴らされたんだわ。
他にも、ステージクリア時にコングがレディをつかんで逃げるシーンの再現が追加されてますね。
些細な演出だけど、建設中のビルを登って逃げてるコングを追いかけてくっていう話が多少わかりやすくなったわね。
コングは逃げる。レディを担いで上へ上へ。
しかし残念なのは、本作がキャンペーンによる期間限定の配信だったことだ。
そのキャンペーンとは『クラブニンテンドー 夏のダウンロード版スタートキャンペーン』です。 この頃、任天堂は3DS用ゲームソフトのダウンロード販売を開始することになりました。 今では当たり前となったダウンロード販売も当時はまだ存在せず、実現が待たれていたんです。
新しいサービスの開始を盛り上げるために、ダウンロード販売第1弾の『Newスーパーマリオブラザーズ2』と『東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング』の2本を購入すると様々な特典が付くキャンペーンをやったのよ。
通称『鬼トレ』。毎日継続してプレイするタイプのゲームであることからダウンロード版は好まれた。
『ドンキーコング オリジナル・エディション』はその特典の1つとしてプレゼントされたものだが、本キャンペーンのみが終了した現在では新たにダウンロードすることが不可能となってしまった。
公式にも別の形で配布することはないと告知されてしまいました(^^;)
まあねえ…これ目当てでダウンロードソフト買った人がいたとして、あとで別の形で配信したらいい顔はしないでしょうしね(^^;)
なお本作はヨーロッパとオーストラリアでは3DSバーチャルコンソールとしての販売が行われており、2020年現在も購入が可能です。それだけにドンキーコングやファミコン発祥の地である日本での取り扱いがこのような形になってしまったのは少々もったいなさを感じてしまいますね…(´・ω・)
新たに広めることができないものはいずれ忘れ去られる。殊更に特別感を出すのもいいが、それよりも皆がプレイできるようにしてほしかったなあ。
向こうのハードを手に入れてアカウントを作れば買えないことはないんだけど、そこまでするのはちょっとハードル高いわ(´Д`;)
初稿:2020年1月18日
最終更新:----年--月--日